CRDL-miniをブルドッグ架台に組み込みました

お客様のリクエストに応えて、小口径用簡易クレードルCRDL-miniブルドッグ架台に組み込んでみました。

当初はブルドッグ架台のフォーク部にそのまま載せたいというご希望でしたが、鏡筒の平行調整ハンドルが操作できなくなってしまうので、フォーク部の底板を外し、CRDL-miniを直接取り付けました。結果としてこのブルドッグ架台はCRDL-mini専用となります。

またブルドッグ架台のフォーク内寸290mmは、CRDL-miniにとって少し狭かったので、長さ10mmのカラーを両側に入れて、内寸310mmに広げました。

これに載せる鏡筒はお聞きしていませんが、正立デバイスはEZPを使われるご予定とのことです。

EZM(B品)処分販売します

EZMのB品(訳あり品)を1個、処分販売します。

2インチバレル取付部6個のネジの内1個(上の写真の時計文字盤4時の方向のネジ)がありません(ネジの出来栄えが不完全だったので再タップを試みたところ、タップが折れて取れなくなってしまいました)。そのため5個のネジで固定されていますが、強固に固定されていて実用上問題ありません。

ミラーは新品の銀メッキコートで、左側仕様です。

税込み64,800円で販売します(通常価格税込み85,800円の約24%オフ)。

ご希望の方はビノテクノまでメールでご連絡ください。

オーストラリアで星を見てきました

10/19-26の日程で、笠井トレーディング代表・笠井氏とユーシートレード店長・大野氏に帯同してもらって、オーストラリアへ星見に行ってきました。図らずも同業者の懇親会ツアーです。

オーストラリア、ニュージーランドの星空の素晴らしさはかねてから聞き及んでいましたが、サラリーマン時代はなかなか休みが取れず、ずっと行かずじまいでした。コロナも概ね収束し、やっと行ける環境になったので、憧れの地に足を踏み入れることにしました。

滞在したのはニューサウスウェルズ州のクーナバラブランという、シドニーから内陸部に500キロほど入った小さな町です。この街から車で30分ほどの場所に、オーストラリア最大口径3.9mが主砲のサイディング・スプリング天文台があります。

羽田空港-(ANA)-シドニー空港-(カンタス航空)-タムワース空港-(レンタカー)-クーナバラブランというルートで現地入りしました。

タムワースはカントリーミュージックの聖地だそうです。
レンタカーで移動中に見たのどかな風景
クーナバラブランの中心にあるラウンドアバウト

現地での宿泊は5泊。つまり5晩星を見るチャンスがあったのですが、あいにく初日からの3晩は曇り時々雨の悪天候でほとんど星が見えず。何回も来ている笠井氏によると、これだけ天気が悪いのは珍しいとのこと。そもそも乾きすぎて森林火災が発生するお土地柄。それなのにこの悪天候。南隣のヴィクトリア州に至っては、記録的な豪雨で大洪水が発生していました。はっきり言って、かなり運が悪いです。

それでも4晩目、ついに夕方から0時頃まで晴れました。西の地平線に平行して横たわる天の川が印象的です。北半球ではありえない構図です。

コンデジカメラで30秒露出の固定撮影

薄明が終わる前から、大マゼラン雲、小マゼラン雲もよく見えました。

写真上の輝星はアケルナル、左端はカノープス

現地での観望は40cmドブソニアンを使いました。これぐらいの口径があると、10等級の銀河も迫力があります。5晩目も夕方から23時頃まで晴れました。観望できた天体は以下のとおりです(北半球から見える天体も少し見ました)。

星座天体等級種類
くじゃくNGC67525.4球状
くじゃくNGC687610.9銀河
きょしちょうNGC1044.0球状
きょしちょうNGC3626.4球状
きょしちょう小マゼラン雲2.7銀河
かじき大マゼラン雲0.8銀河
かじきタランチュラ星雲5.0散光
かじきNGC1546, 1549, 15539.3-11.1銀河
かじきNGC15669.6銀河
かじきNGC16729.7銀河
レチクルNGC155910.4銀河
とけいNGC12618.3球状
つるNGC7552, 7582, 7590, 7599
(つる座カルテット)
10.5-11.4銀河
NGC13168.6銀河
NGC1365他(ろ座銀河団)9.4-12.0銀河
さそりM6, M7
いてM8, M20, M22, M16, M17
たてM11
みずがめNGC7293
うおM74
くじらM77
オリオンM42
ちょうこくしつNGC253

圧巻だったのは、小マゼラン雲の近くにあるNGC104という球状星団でした。180倍で見ると、視野いっぱいに星が広がっています。しかもその立体感が球ではなく、富士山を真上から見た感じ(尖った円錐状)です。M13とは異なるど迫力でした。

一方、大マゼラン雲も望遠鏡で見るとすさまじい光景です。端っこにあるタランチュラ星雲は別格として、それ以外にも、ここになければそれぞれニックネームが付けられるレベルの明るい散光星雲がとっ散らかっています。UHCフィルターを使うとさらにその様が際立ちます。

この他にも「ろ座銀河団」、「つる座カルテット」が印象的でした。

ちなみに今回の観望対象は、小雲夕著「DSO観望ガイドブック南天編」を参考にしました。

0時以降もはれていたら、りゅうこつ座が昇ってきてエータ・カリーナが見えたはずです。これは心残りでした。

観望はこんな感じでしたが、少しだけ観光もしました。近くにあるサイディング・スプリング天文台です。

主砲の3.9m鏡

食事は近所のレストランへ行ったり、スーパーで買ってきたものを食べたりしました。当たり外れもありましたが、大当たりはTボーンステーキでした。

付け合せの温野菜とマッシュポテトも絶品

恥ずかしながら知らなかったのですが、Tボーンステーキの半分はサーロイン(写真右側)で、もう半分がヒレです。どちらも美味でした。これで30豪ドル(日本円で2900円ぐらい)。仮に日本で食べるとこの3倍ぐらいの値段だそうです。ホテルから車で40分ほどかかるお店でしたが、あまりに美味しかったので、滞在中2回行きました。

そして滞在最終日、ハプニングがありました。

ヴィクトリア州に大雨をもたらした雨雲は、私たちがいたニューサウスウェルズ州にも影響を及ぼし、ホテルからタムワース空港へ戻る途中のハイウェイが、洪水で通行止めになってしまいました。数十キロの迂回を余儀なくされましたが、その迂回路にも途中冠水箇所がありました。

深さが分からないので、渡るべきかどうか躊躇していたら、向こうからためらいもなく渡ってきた車があり、深さが分かったので無事通過することができました。ここが通過できなかったら、百キロ以上の迂回になったはずです。オーストラリアは道が少ないので、ちょっとしたことでとんでもない迂回が発生します。ホテルを早めに出て正解でした。

こんな感じでいろいろありましたが、無事帰国できました。羽田に到着したのは朝の5時台。6時台の品川発新幹線のぞみはがらがらでした。途中車窓から見た富士山の勇姿で帰国したことを実感しました。

遠いのとお金がかかるのでオーストラリアはそう頻繁に行けない場所ですが、少なくとももう一度は行って、エータ・カリーナ星雲を見てみたいです。

アイピースの干渉限界

比較的短い焦点距離のアイピースには、2インチバレルの先に31.7mmバレルが突き出たタイプがあります(例:イーソス13mm以下ハイペリオン)。

このタイプのアイピースをビノテクノ製EZMに挿入すると、奥にあるミラーと干渉する可能性があります。その具体的な数値は下図のとおりです。

図にある通り、2インチバレルと31.7mmバレルの長さを足した数値が40mmを超える場合、ミラーに干渉する可能性があるのでご注意ください。

40mmを超えるタイプのアイピースを使いたい場合は、ピント位置等、事情が許すなら2インチ→31.7mmアダプターをご利用ください。

2インチバレルを挿入して使いたい場合は、長めの2インチスリーブや、2インチバレルの根元にはめるスペーサ等、特注部品で対応いたします。その際はお気軽にご相談ください。

なお、31.7mmバレルの突き出しがないアイピースは、2インチスリーブの奥、35mmの位置に段差があるので、2インチバレル部がどれだけ長くてもミラーと干渉することはありません。

星をもとめて ご来訪お礼

昨日(9/18)京都るり渓で開催された星まつり「星をもとめて」に行って来ました。2018年に続いて2回め、4年ぶりの出店です。

出店風景

台風が近づいていてどうなるかと心配していましたが、9/18のみの日程で開催されました。自宅の三重県から滋賀県あたりは行きも帰りも雨でしたが、ラッキーなことに開催地は夜まで雨がふらず、写真のように、お店の前にデモ機を陳列することもできました。ビノテクノの場合、出店の一番の目的は双眼望遠鏡を体験していただくことなので、デモ機陳列の可否はとても重要です。

おかげでたくさんの方に双眼望遠鏡を体験していただいたり、特価品をお買い上げいただきました。あらためてお礼申し上げます。

やはり直にお客様とお話できるのはいいですね。今年はもう出店予定はありませんが、また来年、胎内星まつり(来年こそはぜひ!)か星をもとめてで、みなさんとお会いしたいです。

9/18-19「星をもとめて」出店について

新たに発生する台風が少し心配ですが、今のところ予定通りビノテクノは出店する予定です。

開店時間は、
9/18(日)12:00-22:00
の予定です。9/19(月)の出店はありません。

デモで展示するのは、以下の機材の予定です。

  • BINOKIT本体+10.2cm3枚玉アポ対物レンズユニット
  • 上記専用運搬コンテナ
  • 小型簡易クレードル CRDL-mini
  • 正立プリズム EZP
  • BINOKIT対物レンズ単眼鏡キット
  • 電子ファインダー「アストロイド」
  • 自作電子ファインダー

また今回は販売もあります。主なアイテムは以下のとおりです。

  • 笠井BLANCA-80SED(デモ使用品1本)
  • 高級アイピース(デモ使用品3種類各1本)
  • 笠井WideBino28(新品)
  • EZM単体・銀メッキ・左側仕様(外観難あり品2個)
  • アストロイド(現物なし予約販売のみ、3個限定、今月中に納品予定)
  • EZP(新品)
  • 未使用パーツ、残部品、中古品等
  • アダプター、キャップ等

いずれも特価販売です。価格は当日のお楽しみということで。

それからもうひとつ、会場に来られる方に耳寄り情報があります。

ビノテクノ製品の割引クーポン

を配布します。このクーポンは、今年の12月31日まで何回でも使えます。販売店様からの注文でも使えます。ただし枚数に限りがあります。会場に来られたら早めにお立ち寄りください。割引率については、これも当日のお楽しみということで。

いずれにしてもビノテクノが出店したい星まつりは、胎内星まつり星をもとめてだけで、しかも胎内星まつりが直前にリアル開催中止となってしまったので、今回の星をもとめてに全集中して出店に臨みます。買わなくてもかまいません、ぜひ実物をご覧になって、双眼望遠鏡の見え方を体験してください。たくさんの方のご来訪をお待ちしています。

2018年の出店風景

電子ファインダー完成

以前紹介した電視ファインダーのその後です。

望遠鏡に取り付けるためのブラケットを製作しました。

望遠鏡に取り付けた状態

CMOSカメラの背面にアルミプレートを取り付け、さらにその後ろに3本のボルトによる微調整機構を設けました。

また、スマホアプリASICAPの使い方で、画面に十字線を表示する機能を発見しました。

デフォルトでは表示がオフになっていますが、設定画面を開くと一番下に”Bull’s eye”という項目があります。

設定画面を開いた状態

これをONにすると十字線が表示されます(この変更は起動するたびに必要です)。

Bull’s eyeをONにした状態

十字線を表示してから、冒頭に説明した3本のボルトで、望遠鏡の視野中心と十字線の中心を合わせます。十字線の中心はCMOS画像の中心と一致しているので、レンズをズーミングしても中心がずれません。

この電子ファインダーを使った導入イメージは次のようになります(こと座M57の場合)。

まずは最も広視野(レンズの焦点距離17mm)を使って大体の位置に望遠鏡を向けます。

焦点距離17mmの視野、右端の輝星はヴェガ

次のレンズをズーミングして視野を拡大して望遠鏡の向きを微調整します。

焦点距離50mmの視野

これで70倍程度でもドンピシャです。ちなみに上の画像では、満月の夜にもかかわらずM57がうっすら映っています。今回紹介した画像は市街地の自宅で映したものですが、月の無い晩の暗い空ならもっとはっきり映るはずです。近いうちに暗い空に持ち込んでさらに使い勝手を試してみるつもりです。

それから前回ブログで提起した、ズーミングによるピント移動の問題ですが、その後詳しい方からアドバイスをいただきました。結論からいうと、現在のズームレンズはそういう仕様(ピントが移動する仕様)が一般的だそうです。

正確にいうと、ズーミングでピントが変わるレンズは「バリフォーカルレンズ」と呼ぶそうです。これらは通常AF(オートフォーカス)機能と組み合わせて使うので、ピントの移動は問題になりません。

そういうものだと割り切って使っているうちに慣れてきました(笑)

冷却カメラによる電子観望

私のプライベートなホームページ(BigBinoのホームページ)のネタです。冷却カメラによる電子観望ギャラリーを追加しました。

非冷却カメラでも実によく映るのですが、「さらにクオリティを上げたい」という想いで冷却カメラを導入しました。

あえて画像処理をしてないのは、「電子観望に冷却カメラを使うとこう見える」ことを紹介したいからです。電子観望の記録としてご覧ください。

銀ミラー価格改定のお知らせ(9/1より)

たいへん申し訳ありませんが仕入れ価格の上昇に伴い、9/1以降のご注文より、下記の通り銀ミラーの価格を改定いたします。 

商品8/31までの価格
(税別)
9/1以降の価格
(税別)
BINOKITオプション
-AG
追加金額14,000円増追加金額18,000円増
双眼望遠鏡完成品
オプション -AG
追加金額14,000円増追加金額18,000円増
EZMペアオプション
-AG
追加金額14,000円増追加金額18,000円増
EZM単体オプション
-AG
追加金額7,000円増追加金額9,000円増
ミラー単品10,500円12,500円

値上げ前の価格で購入ご希望の方は、8/31までにご注文いただくようお願いいたします(納品は9月以降になります)。

緩衝材の特注承ります

BINOKITの運搬用にこんな緩衝材を作ってみました。

BINOKITは分解できるので運びやすいと言えば運びやすいのですが、それでもダンボールで運ぼうとすると次のような問題点があることに、先日の小笠原ツアーで気づきました。

  • つい過剰に緩衝材を入れてしまうので体積効率が悪い
  • 一つひとつをエアパッキン等で包むため梱包に時間がかかる
  • 一度出してしまうとどう入っていたか忘れてしまう
  • ダンボールが複数回の運搬に耐えられない

そこで、前から持っていた樹脂製コンテナ専用の緩衝材を作ることにしました。

折りたたみ可能な樹脂製コンテナ(タテ33.6 X ヨコ49 X フカサ36.4cm)

緩衝材は上段と下段に分けました。上段がBINOKIT本体関係、下段が10.2cm対物レンズユニットです。

まずは3D-CADで形状を設計しました。

上段の3D図面
下段の3D図面

製作は自宅から40分ほどにある発泡スチロール加工メーカーに依頼しました。このメーカーは自社で原料から発泡スチロールを作るので、硬さも大きさも自由自在。さらに複雑なカットも可能です。

当初発泡スチロールではなく、クッション性の高いポリエチレンフォームでの製作を希望したのですが、このメーカーによると、これだけ大きなサイズのポリエチレンフォーム素材はかなり高価になるとのことでした。

そこで骨格は30倍の発泡スチロールで製作し、必要な部位にポリエチレンフォームのシートを貼ることにしました。ちなみに家電品の梱包に使われる発泡スチロールは50~60倍で、それに比べると30倍はかなり硬く、複数回の運搬に耐えられます。一方硬い分クッション性がないためポリエチレンフォームを貼るハイブリッド構造としました。

提供した3D図面を元にメーカーさんの方でさらに分割して加工しやすくしました。出来上がったのがこういう緩衝材です。

下段の緩衝材を収めた状態

外側の白い部分が30倍発泡スチロールで、内側の黒い部分がポリエチレンフォーム(接着剤で貼り付け)です。

10.2cm対物レンズユニットを収めた状態

運搬中に緩衝材と直接擦れ合うと対物レンズユニットの表面がテカってしまうため、ポリ袋に入れてあります。

上段の緩衝材を収めた状態

もちろん上段の緩衝材が下段の対物レンズユニットに直接触れることはありません。

BINOKIT本体を収めた状態

EZM、持ち手ハンドル、アリガタ金具、パン棒はすべて分解して収めてあります。ただし入れる場所が決まっているので迷うことはありません。

フタを閉じた状態

最後はこんな感じになります。この中に対物レンズユニットを含むBINOKITのフルセットが収まりました。

このコンテナの実戦デビューは胎内星まつりのはずでしたが、ご承知の通り直前で今年もリアル開催が中止になってしまいました。9月の星をもとめてがデビューとなりそうです。

いずれにしても今回のトライで、緩衝材の設計の勘所が分かりました。ご希望があれば特注の緩衝材製作を承りますのでご相談ください。3D図面作成を含めた見積取得までは無料です。

今回のトライでは外箱が樹脂製コンテナでしたが、もちろんアルミケースでも対応可能です。

ちなみに今回製作したものを販売するなら税別44,000円です(2段あるのでそれなりの金額になります)。価格の目安にしてください。

10.2cm3枚玉SDアポ単眼鏡 セット販売します

BINOKIT用の新製品10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニットの記事で構成例のみ掲載した単眼鏡をセット販売します。

価格は198,000円(税込 217,800円)です(前回記事で掲載した価格よりお値打ちな価格にしてあります)。

パーツ構成は以下の通りです。

10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニット(1本)
BORG 80ΦL100mm鏡筒BK【7101】
BORG 80ΦL25mm鏡筒BK【7026】
BORG M77.6→M68.8AD【7801】
笠井トレーディング V-POWERII接眼部(L)
笠井トレーディング BORG互換アダプター
MORE BLUE 内径80mm鏡筒バンドTB017
アリガタ金具(ビクセン規格)

架台とEZMは別売
架台とEZMは別売

なお、パーツの一部が定価の仕入れになるので、このセットはビノテクノ直販のみの扱いとさせていただきます。

以前の記事にも書いた通り、FPL53を使った10センチ3枚玉アポ鏡筒は通常30万円以上します。それが2/3以下の価格で手に入ります。低倍率だけでなく、高倍率の性能も素晴らしいので、観望好機を迎えている木星や土星もぜひこのセットでお楽しみください。

ユーザーレポート(BINOKIT+10.2cm3枚玉SDアポ)

以前納品したBINOKIT+10.2cm3枚玉SDアポのオーナー様からユーザーレポートをいただいたので紹介させていただきます。

先週、23日(土)21:30頃から24日3:00頃まで伊豆の天城高原で星を見てきました。
標高1000mくらいのところなので、夏ですが、夜は冷えますね。
見た天体は以下のとおりです。
M11 たて座 散開星団
M17 いて座 散光星雲(オメガ星雲)
M22 いて座 球状星団
M21 いて座 散開星団
M20 いて座 散光星雲(三裂星雲)
M8   いて座 散光星雲(干潟星雲)+散開星団MGC6530
M6   さそり座 散開星団
M7   さそり座 散開星団
M13 ヘルクレス座 球状星団
M57 こと座 惑星状星雲(リング星雲)
ダブルダブルスター こと座 
アルビレオ(二重星) はくちょう座
M27 こぎつね座 惑星状星雲(あれい星雲)
いるか座γ星(二重星)
M15 ペガスス座 球状星団
M31 アンドロメダ座 渦巻銀河
アルマク(二重星) アンドロメダ座
M34 ペルセウス座 散開星団
二重星団(NGC869+884) ペルセウス座 散開星団
上記以外に土星、木星、海王星、天王星、月を観望

ビノテクノ(服部注、BINOKIT+10.2cm3枚玉SDアポ)は、星団、星雲から惑星、月までバランス良く見ることができますね。
個人的には散開星団を見るのが楽しいです。
今回も友人と一緒に行きましたが、木星の縞と月のクレーターに感動していました。

以上、簡単ですが、レポートさせて頂きました。

オーナー様、ユーザーレポートありがとうございました。

ご覧になった天体が夜空のどの位置にあるかを頭の中でなぞっていくと、夏から初秋にかけての見どころを一網打尽にされていることがよく分かります。

散開星団は双眼望遠鏡、特にビノテクノ製10.2cm3枚玉アポのような切れ味鋭い対物レンズにとって、もっとも見応えのある対象です。写真では味わえない感動があります。

どうぞ引き続き観望をお楽しみください。

電子ファインダー考

昔ながらの光学ファインダーが苦手です。理由はいくつか挙げられます。

  1. 倒立像である
  2. 望遠鏡の姿勢によっては覗きにくい
  3. 視野の中央を示す十字線が見づらい
  4. 視野が狭いので空のどのあたりを見ているのか把握しづらい

1と2については、90度正立ファインダーをつかうことでほぼ解決します。

3については、暗視照明を使うことである程度解決しますが、十字線を見やすくするために照明を明るくすると視野全体も明るくなって、暗い星が見づらくなります。またつい照明を消し忘れてしまい、次の観望時に電池切れというのが私の場合よくありました。

4については、広視野のファインダーを使う方法がありますが、今度は中倍率での導入が難しくなります。

もちろん自動導入・自動追尾のGO-TO架台や、エンコーダーを取り付けたPUSH-TO架台を使う場合、そもそもファインダーが要らないのでこれらの悩みは不要ですが、そういった導入支援のない架台の場合、ファインダーは必須なのでこれらの悩みがついて回ります(逆に言えば、こういった光学ファインダーの使いづらさが導入支援のニーズを高めたのかもしれません)。

先日小笠原に持っていった電子ファインダー「アストロイド」もひとつの解決策ですが、導入の最終段階で現れる照準チャートのど真ん中に対象をロックオンする作業に私はいつも手こずります。「もうちょっと上」「もうちょっと右」と微妙に架台を動かしてもすぐに行き過ぎて、なかなか収束しません。慣れの問題とは思いますが、個人的には使い勝手の悪さを感じています。

そういうわけで前置きが長くなりましたが、こんなファインダーを考えてみました(これは新商品の試作ではなくあくまで自分用です)。

まだ試行段階なのでカメラ雲台に直付けしてあります

これはカメラのズームレンズと非冷却COMSカメラを組み合わせたものです。

レンズはヤフオクで手に入れた中古のタムロン17-50mmF2.8ズーム(キャノンEFマウント)、非冷却カメラは昨年まで電子観望に使っていたZWO ASI462Cです。接続はZWOのカメラマウントアダプターです。

同じくZWOが提供しているスマホアプリASICAPで、非冷却カメラの映像をリアルタイムでスマホ画面に映します。

下の写真はこの組み合わせで映した画像です。ズームの設定は最広角の17mmです。ASICAPの設定はゲイン400、露出は1sです。場所は自宅ベランダです。

レンズ焦点距離17mmでのキャプチャ画像

非冷却カメラのチップサイズはヨコ5.6mmXタテ3.2mmなので、レンズ焦点距離17mmの場合、視野は18.7°X10.8°になります。画像の左上隅の輝星がこと座のベガです。こと座の全景が余裕で入っているのが分かります。

さすが超高感度カメラで、肉眼では2等星がやっと見える程度の空でしたが、暗い星までよく映っています。

ここからレンズをズーミングして焦点距離50mmで映した画像が下の写真になります。この場合の視野は6.4°X3.7°になります。少なくとも8等級の星が映っています。

レンズ焦点距離50mmでのキャプチャ画像

比較用に同じ場所のSkySafariのスクリーンショットを掲載しておきます。Ring Nebula(M57)がかろうじて映っているのが分かります。

青い線の長方形が今回のシステム(レンズ焦点距離50mm)の視野角

実際にはスマホ画面を見ながら、まずは最広角で大体の方向を決め、その後最望遠にズーミングして精密に望遠鏡の方向を決めるという使い方になります。

十字線を書き込んだ透明アクリルシートをスマホ画面に貼り付けて、再望遠での十字線中心と、望遠鏡の視野中心を事前に調整しておけば、冒頭に掲げた4つの課題はクリアできそうです。

また望遠鏡への取り付けは金属パーツを特注して行う予定です。微調整を組み込んだ機構になりますが、すでにイメージはできていてそれほど問題ではありません。

と、ここまではバラ色の話だったのですが、少し誤算がありました。最広角と再望遠でピント位置が異なることです。

ZWOのカメラマウントアダプターには0.1mm単位で0.1mmから1.0mmまでフランジバックの調整ができるスペーサーが添付されています。それを使って最広角のピントリング無限大でピントが合うようスペーサー厚みを決めました。ところがこの状態で最望遠にすると、ピントがボケます。ピントリングを近距離側に少し回すとピントが合いますが、その操作はけっこうデリケートです。

キャノンのEFマウントレンズは、ほとんどの場合カメラボディが持っているオートフォーカス機能でレンズ内蔵のモーターを動かしてピントを合わせるのでこれでも困らないと思われますが、今回のような使い方では困ります。

カメラレンズの仕様に詳しくないのでよくわかりませんが、今どきのズームレンズはすべてこういう仕様なのでしょうか?あるいはたまたま今回入手したレンズがこうだったのでしょうか?詳しい方からのアドバイスがいただけるとありがたいです。

昔のFDマウントのようなオールドレンズならこういうことにはならないと思いますが、残念ながらマウントアダプターがありません

仮にEFマウントのズームレンズの仕様がこういうものなら、我慢して毎回ピント合わせをするか、あるいは中間の単焦点距離レンズに変えるか、です。正直Fの明るいズームレンズは重いので、単焦点レンズで済むなら、それはそれでありがたいです。光学ファインダーよりも視野中央への導入が正確にできそうなので、ズームにこだわるつもりはありません。

このあたりの見極めは、実際に望遠鏡に取り付けて検証してみようと思います。

小笠原の天の川

先日ブログで紹介した小笠原ツアーの続報です。ウェザーステーション展望台で星を見ているときに出会った方から素敵な天の川の写真をいただいたので紹介させていただきます。

ウェザーステーション展望台のテラスから撮影

流れる雲がオレンジ色(肉眼ではただの白い雲)に写っているのは、港の光(ナトリウム光?)の影響と思われます。

ウェザーステーション展望台横の駐車場から四阿(あずまや)を見上げたアングル

じっと見ていると、あのときの興奮が蘇ってきます。