銀ミラー、ラインナップに加えました

ご要望の多かった銀メッキミラー仕様のEZMを製品ラインナップに加えました。

銀ミラーは、可視域で最高の反射率を有する『銀』を用いた高反射ミラーです。銀メッキそのものは耐食性が低いため、誘電体保護膜(増反射膜)がコートされています。アルミメッキを剥がして銀メッキを行うとムラが出やすいため、ビノテクノでは無メッキミラーを調達し、京浜光膜工業様に依頼して銀メッキを施しました。完璧な反射率にこだわるユーザーにお勧めのミラーです。

参考:京浜光膜工業/銀ミラー

一度知ったら止められない

導入支援は便利です。カーナビ同様、一度体験したら止められません。

かつて、そういうものを使うのは『邪道だ』ぐらいに思っていました。星図を見なくても次々と天体の導入ができる人を『人間スカイセンサー』と呼んで褒めたたえ、自分もそれを目指していました。

ところが星見の頻度が減り、マイナー天体の場所が怪しくなってくると、星図のお世話になります。そしてその作業すら億劫になってきました。そんなとき私の目の前に現れたのが導入支援です。

導入支援には、星図ソフトに表示される望遠鏡の位置を見ながら自分で望遠鏡を動かす『Push TO』タイプと、架台のモータが望遠鏡を動かしてくれる『Go To』タイプがあります。

『Push To』の代表格は、架台の2軸に取り付けたエンコーダの現在値をWi-Fiで送信できる『NEXUS』と、その現在値を取り込んで星図に表示させるスマホアプリ『Sky-Safari』の組み合わせです。エンコーダとNEXUSが組み込まれた経緯台も商品化されているようですし、自作架台用に、エンコーダとNEXUSのキットも販売されています。

一方『Go To』は、タカハシ、ビクセン、スカイウオッチャー、ケンコー・トキナーなど、メーカー製の架台に組み込まれています。これらの架台はモータ付なので、当然自動追尾機能もあります。高倍率での惑星観望などに有利です。私個人はケンコー・トキナーのAZEQ6GTという架台を使っていますが、これに搭載されているSynScanコントローラは操作が直感的にわかりやすく、重宝しています。さらに、ステラナビゲータのような天文シミュレーションソフトとも連携できます。

いずれのタイプも、昔に比べれば随分リーズナブルな価格で提供されるようになりました。架台にこういう機能があると、一晩に見られる天体の数が増えます。観望会でとっかえひっかえいろいろな天体を見せる時も、人を待たせなくていいです。

今でも自力導入で頑張っている仲間たちからは、『裏切り者』と呼ばれていますが(笑)、そのうち大半はこちら側へ来ると予想しています。

 

HINODE80SDビノ

日の出光学のHINODE80SD鏡筒2本を使った双眼望遠鏡を製作しました。

クレードルのベースはCapri102ED用ですが、鏡筒径を90mmに変更してあります。依頼者の希望で、ビクセンのHF経緯台に搭載できる仕様になっています。

※ 画像をクリックすると紹介ページにジャンプします。

ツブツブ系とサラサラ系

写真屋さんにはあまり人気がありませんが、散開星団は眼視派にとって、何回見ても飽きない対象です。

その散開星団を私はひそかに、『ツブツブ系』と『サラサラ系』の2種類に分類しています。

ツブツブ系は、比較的明るい星が目立つ星団です。代表格は二重星団、M35,M36,M38など。双眼で見ると、明るい星が手前に見え、暗い星が奥に見える、妙な立体感があります。

サラサラ系はたくさんの暗い星で構成された星団です。代表格はM11,M37,M46など。両目で見続けると、初めは頼りなく見えていた暗い星々が、じわじわと、そしてはっきりと見えてきます。黒い漆の盆に白い砂をまいたような景色です。このサラサラ系こそ、双眼望遠鏡で見ていただきたい対象です。手持ち双眼鏡ではパッとしなかったこれらの散開星団も、口径と倍率が大きくなるとまったく違う見え方をします。ちなみに私の最近のお気に入りは、カシオペア座のNGC7789(←サラサラ系)です。

秋冬は、見ごたえのある散開星団が多い季節です。ぜひお楽しみを。

加工屋さんの身も蓋もない話

これももう10年以上前の話です。

仕事で知り合ったある金属加工業の営業さんにこんな質問をしました。「御社は難しい加工もきちんとそつなくこなされています。やはり腕のいい職人さんをたくさん抱えていらっしゃるんですか?」

「まあそれも大事かもしれませんが、」という前ふりで始まったその営業さんの答えは、私にとって意外な内容でした。

「まあそれも大事かもしれませんが、一番大事なのはいい工作機械を買うことですね。それがあれば、すごい職人でなくてもきれいに加工できますよ。」

私の頭の中にあった、金属加工の古いイメージが音を立てて崩れました。凄腕の職人さんが、長年の経験を頼りに工作機械を操って部品を仕上げていく世界は、このときすでに昔話になりつつありました。

今日、名古屋ポートメッセで開かれている工作機械見本市『メカトロテックジャパン』に行ってきました。工作機械は今も進化し続けています。

EZMの設計

30年以上機械設計に従事していますが、若いころはこの仕事について少し勘違いしていました。適切な機構を考案し、それを図面にすればよいのだと。

大事なことが欠けていました。それは計算することでした。

どんなに画期的な機構を考案しても、設計者の仕事としてはまだ半分です。そこから、強度や剛性、要求精度に対する必要精度などを計算しなければなりません。そこまでやって、はじめて設計の仕事をしたと言えます。計算もせずに作成した図面で機械を作り、あとで不具合を対処療法的に改善していくという仕事の進め方は、設計者としては失格です。もちろん設計者でもミスはあります。しかし計算してあるのとないのとでは、ミスのレベルが違います。小さいミスは挽回可能ですが、大きいミスは最悪全部作り直しです。

また、計算するということは、理論も熟知していなければなりません。理論があって計算があります。

ビノテクノのEZMを設計したときも、徹底的に計算を行いました。

EZMの設計で最も気を使ったのは、正確な視野回転量(=180.0度)の確保です。EZMはいくつかのパーツに分かれますが、それらがいったいどれぐらいの精度で作られていなければならないかを計算しました。そのためにオリジナルの理論式も作りました。

その結果、下記の3つの精度が特に重要であることがわかりました。

1 第1ミラーケースと第2ミラーケースのねじれ角度(理論上は70.53度)

2 第1ミラーケースの頂角(理論上は60.0度)

3 第2ミラーケースの頂角(理論上は60.0度)

特に1の精度は敏感で、これが0.1度狂うと、視野回転量もほぼ0.1度ずれます。0.1度というとピンと来ないかもしれませんが、たとえばミラーケースの接続リング外径を60mmとすると、0.1度は外周上で約0.05mmに相当します。2、3も1ほどではありませんが、それなりに敏感です。

ちなみに視野回転の許容ずれ量は、ビノテクノでは0.5度以下としています。事前に行った実験の結果、敏感な人は0.5度ぐらいからずれに気づくことがわかったからです。

これらの計算から、ビノテクノ製EZMでは、1,2,3の許容角度をそれぞれ0.1度以下と設定しました。

このため、1については、部品の加工精度と構造でねじれ角度を保証し、調整レスとしました。2,3については、ダイカストも含めてアルミ鋳物では要求精度が満たせないと判断し、5軸CNC加工機による削り出しとしました。

ビノテクノ製EZMをコピー製品と思われている方もいるかもしれませんが、ここまで読んでいただいてお分かりの通り、オリジナルの設計思想に基づいた製品です。ユーザーを調整作業から解放するために製品化しました。

 

作曲家はピアノを使わない

10年以上前のことです。運転中のラジオから、音楽家・団伊玖磨氏の語りが聞こえてきました。この少し前に亡くなられたので追悼番組だったと思います。この中で団伊玖磨氏は興味深い話をしていました。

「ピアノがないと作曲できません、という作曲家はプロではありません。取材を受けるとき撮影用にピアノへ向かうことはありますが、ピアノは使わないようにしています。」

そしてこれに続く言葉が私に刺さりました。

「ピアノに頼ると、自分のピアノテクニックで表現の幅が制限されてしまいます

それから月日が経ち、2年前、ビノテクノの起業をある方に相談したところ、「自分で金属加工ができないのは致命的だ、やめた方がいい」というアドバイスをいただきました。そのとき、この団伊玖磨氏の話を思い出して、こう考えました。

「たしかに金属加工はできないが、私には設計スキルがある。自分が作りたいものは設計図面で表現できる。金属加工ができるなら加工業者としての取り分も自分の収入になるが、双眼望遠鏡本来の付加価値はそこにはない。顧客から見た付加価値は、使いやすいか、安心して使えるか、欲しいと思ったときすぐに手に入るか、であって、だれが金属パーツを加工したかではない。」

結局アドバイスに逆らって起業したことになりますが、金属加工ができなくてもこのビジネスが成り立つことを証明したいと奮闘しています。

『趣味』について思うこと

「趣味とは?」と問われればいろいろな定義がありますが、私が聞いた中でもっとも納得したのが、経済的合理性のない行為という定義です。つまりコスパ(コストパフォーマンス)とは無縁の世界です。

「そんなもの買うならこっちの方がいいのに」「自分で作るより買った方が安いよ」、、、すべて要らぬおせっかいです。ご本人はこっちがいいんです。自分で作りたいんです。それが楽しいんです。そう、楽しいかどうかが重要な尺度です。

また、趣味は深くなればなるほど、その方向性もどんどん細分化していきます。しかしその最先端にいる人たちの多くは、別の方向にいる人たちと仲良くやってます。それは、そもそも方向性に正解も不正解もないことをよく理解されているからです。また、そこにたどり着くまでにどれだけの努力が必要だったかを想像することができ、お互いをリスペクトしているからです。

私自身は起業してしまったので、望遠鏡については『趣味』と言えなくなってしまいましたが、約20年スターパーティーの主催をさせていただいたおかげで、趣味というものを深く理解することができました。この理解をこれからは製品に反映していきたいと考えています。

中倍率も面白い双眼望遠鏡

特に星雲星団の観望がお好きな方には、50~80倍の中倍率をお勧めします。

この倍率で二重星団やM42を見ると視野からはみ出してしまいますが、別の見方をすれば、はみ出してしまうほど大きい星雲星団はそれほど多くありません。たとえば110番まであるメシエ天体のうち9割以上が視直径30分(=0.5度)以下です。10分未満も多いです。NGC天体も同様です。

これだけ小さい天体を見るのに、実視野は2度も要りません。1度ぐらいあれば十分です。さらに言うなら、広い見かけ視野+高倍率が見やすいです。例えば、どちらも実視野は1度ですが、見かけ視野50度で倍率50倍より、見かけ視野80度で倍率80倍の方がより詳細な観察ができます。

視直径の小さい星雲星団は、倍率を上げることで表情ががらりと変わります。低倍率ではただの小さい星の集まりに見えた地味な散開星団が、中倍率では星の配列がはっきりわかり、微光星もいっぱいあったりして、まったく違う印象になります。同じにように見えていた星雲星団が、実はそれぞれ個性のあることに気づきます。

低倍率でしか見たことのない天体は、あらためて中倍率でご覧になることをお勧めします。特に双眼望遠鏡では両目が使えるので、さらに認識力がアップします。同じ倍率でも単眼と双眼では別世界です。

低倍率が得意な双眼望遠鏡

20倍から30倍は、屈折式双眼望遠鏡のもっとも得意とする倍率です。

単眼の望遠鏡に組み合わせて使用する双眼装置は、リレーレンズを必要とするので主鏡の合成焦点距離が長くなり、この倍率が出せません。さらに言うと、2インチサイズのアイピースが使える双眼装置は今のところ市販されていません。また、ニュートンやカセグレンのように中央遮蔽のある鏡筒に長焦点アイピースを組み合わせると、副鏡の影が見えて不快です。

この倍率での観望は双眼望遠鏡の独断場です。

見かけ視野60度以上のアイピースを使えば実視野は2度以上、二重星団、M42、M31、プレアデスの全体が見渡せます。星雲星団にこだわらなくても、天の川の濃い部分に双眼望遠鏡を向ければ、手持ち双眼鏡より集光力があるため、微光星がびっしり見えて星の多さに驚きます。頭から暗幕をかぶって完全に外の光をシャットアウトすれば、まさに気分は宇宙遊泳です。

手持ち双眼鏡の観望が好きな人はきっとこの倍率が好きになります。

双眼望遠鏡観望の必須アイテム

人間は立っているとき、頭を長時間静止させることができません。理由はよくわかりませんが、人間の身体はそのようにできているようです。このことが、立ったままの長時間観望を困難にしています。アイピースに対して目の位置が固定できないからです。

ところが、座ったり、片手で何かにつかまったりすると上半身が固定され、長時間観望が可能になります。

うまい具合に屈折式双眼望遠鏡のアイピースは低い位置にあるため、椅子に座って観望することができます。椅子に座る効果は絶大で、同じ対象を快適に見続けることができます。パッと目には見えなかった微光星や星雲の形が、じっくり見ることでじわじわと浮かび上がってきます。さらに言えば、一晩中観望していても、足腰の疲れを感じません。もちろん目は疲れますが(笑)。

使う椅子は、座る高さを変えられるタイプが好ましいです。移動観測で使う場合、折りたためることも条件です。具体的には、国際光器のエコノミー観測チェアやルネセイコウのワーキングチェア(Amazonで購入可能、各種あり)などがあります。望遠鏡が天頂を向くとアイピースの位置はかなり低くなるので、なるべく低い位置まで座面が下げられるタイプがお勧めです。

 

クレードルのあたりまえ

クレードル(鏡筒連結部)は、双眼望遠鏡を構成するシステムの中で、EZMと同じぐらい重要なパーツです。特に目幅調整機構を有するクレードルは、その完成度が観望時の操作性に大きな影響を及ぼします。

目幅調整時にクランプ(固定)、アンクランプ(解除)の操作が必要であったり、目幅調整時に左右の像の一致が崩れたりするのは、煩雑で不快です。ひとりで見ているならこの操作も一晩に一度きりですが、観望会などで仲間にも見せようとすると(映像が楽しいのでつい見せたくなります!)、

「ちょっと待ってね、ここを解除して、このハンドルを回して、、、どう?目幅合う?」

「うーん、合ってるのか合ってないのか、、、左右の像がずれてるから合ってない?ハンドルから手を放すと合う。。。うーん、まあこんなもんかな。固定するのはどこだっけ?」

といったことが頻繁に起こります。クレードルの完成度が高ければ、本来しなくていい苦労です。

「双眼望遠鏡って、ちゃんと合えば楽しいけど、合わせるのが大変」「難しい」「割と面倒くさい」という声を時どき聞きますが、その原因のほとんどはクレードルの完成度にあります。

ビノテクノ製クレードルは、目幅調整時も左右の平行がずれないよう、十分な剛性と精度が確保されています。固定/解除操作も不要です。はじめて操作される方でも安心して使えます。貴重な観望時間をつまらない作業で浪費してほしくないと、ビノテクノは願っています。

日本の空が暗くなった?

あまり実感はありませんが、日経ビジネス9月25日号によると、日本の夜の明かりは減少傾向にあるそうです。ただしその理由は国民の省エネ意識の向上ではなく、夜の経済の衰退だそうです。人口減少、高齢化、健康志向、SNSの普及などで夜遊びする日本人が減ってしまったため、夜の歓楽街はじり貧、24時間営業だったお店も深夜は閉店するようになりました。

空が暗くなるのは天文ファンにとって喜ばしい傾向ですが、夜の経済の衰退は、回りまわって昼の経済にも影響するそうです。手放しで喜んでいいものか、微妙です。

双眼望遠鏡に適した鏡筒

口径

移動観測に使うなら9センチから12センチぐらいがお勧めです。

これより小さい口径は鏡筒単価が安いため、EZMとクレードルの費用(合わせて30万円弱)に割高感が出てしまいます。ただしそこに目をつぶるなら、6~8センチの双眼望遠鏡もおもしろいです。

一方13センチ以上のアポクロマートは鏡筒が重いため移動観測が大変です。架台もほとんど特注になります。

レンズの種類

アポクロマートがお勧めです。低倍率では針で突いたような気持ちの良い星像を見せてくれます。よい架台を使えば中倍率、高倍率も楽しめます。

アポクロマートの中でも2枚玉と3枚玉があります。もちろん3枚玉の方が高級品ですが、多くは写真性能を意識したモデルで、眼視用にはオーバースペック気味です。さらにいうと、レンズセルが大きいため、2本並べたときのピッチが大きくなり、より長いバックフォーカスが必要になります。重さも2枚玉の1.5倍ぐらいあります。もちろんこれらの問題がクリアできるなら、3枚玉は最高級の双眼望遠鏡になります。逆に言えば、2枚玉モデルは双眼望遠鏡用の鏡筒として、コストパフォーマンスに優れています。

低倍率専用と割り切るなら、15センチクラスのアクロマートも面白いです。口径が大きくても意外と軽量で市販の架台が使えます。口径が大きいので暗い天体の観望に有利です。

バックフォーカス

10センチクラスまでなら160mm以上欲しいです。ところがこれだけのバックフォーカスが確保されているモデルは、どちらかといえば少数派です。メーカーカタログにこの数値が明記されていない場合も多いです。お客様からご要望があれば、ビノテクノからメーカーへ問い合わせをいたします。

バックフォーカスが足らない場合、鏡筒を切断する方法もありますが、望遠鏡メーカーは基本的に対応しません。また、望遠鏡メーカー以外で切断加工した場合、メーカーの保証対象外となります。光学性能の保証も含めた切断加工可能の業者がいないので、ビノテクノでは切断加工はお断りしています。

接眼部

ラックピニオンまたはクレイフォードタイプがお勧めです。ただし安っぽいものはだめです。

ヘリコイドはEZMの自重で発生するトルクで操作が重くなるのでお勧めしません。

ビノテクノのおすすめ鏡筒

ビノテクノで製作可能なお勧め鏡筒は次の通りです。(バックフォーカス確認済み)

・ Capri102ED(笠井トレーディング)

・ Blanca102SED(笠井トレーディング)

・ FC-100DL(タカハシ)

双眼望遠鏡のあるべき姿

昭和30年代に運転免許を取得した父によると、当時学科試験に『構造』という科目があったそうです。自動車のエンジンや変速機、ブレーキなどの知識を指します。私が取得した昭和50年代にはすでにこの学科はなくなっており、構造科目で苦しんだ父からうらやましがられました。

この科目がなくなった理由は、自動車という製品が進化したからにほかなりません。昭和30年代はまだ自動車の品質が低かったため、ユーザーに構造の知識は必須でした。多少の不具合は自分で直せないと使えない製品でした。逆に言えば、ユーザーの構造理解が前提の製品でした。

もちろん今の自動車は違います。構造を知らなくても操作はできます。もちろん構造の知識はあって邪魔にはなりません。でも必須ではありません。ユーザーが覚えるべきは正しい操作です。

これを双眼望遠鏡に照らせばどうでしょう?

ユーザーの原理・構造理解が前提になっているなら、双眼望遠鏡という製品はまだまだ進化の余地があります。大半のユーザーは原理・構造を理解したいのではなく、両目による観望を楽しみたいだけです。

目幅調整と、視野一致のためのX-Y微調整の方法さえ習得すれば、あとは普通の望遠鏡と同じように使える、これがビノテクノが目指す双眼望遠鏡のあるべき姿です。