中倍率も面白い双眼望遠鏡

特に星雲星団の観望がお好きな方には、50~80倍の中倍率をお勧めします。

この倍率で二重星団やM42を見ると視野からはみ出してしまいますが、別の見方をすれば、はみ出してしまうほど大きい星雲星団はそれほど多くありません。たとえば110番まであるメシエ天体のうち9割以上が視直径30分(=0.5度)以下です。10分未満も多いです。NGC天体も同様です。

これだけ小さい天体を見るのに、実視野は2度も要りません。1度ぐらいあれば十分です。さらに言うなら、広い見かけ視野+高倍率が見やすいです。例えば、どちらも実視野は1度ですが、見かけ視野50度で倍率50倍より、見かけ視野80度で倍率80倍の方がより詳細な観察ができます。

視直径の小さい星雲星団は、倍率を上げることで表情ががらりと変わります。低倍率ではただの小さい星の集まりに見えた地味な散開星団が、中倍率では星の配列がはっきりわかり、微光星もいっぱいあったりして、まったく違う印象になります。同じにように見えていた星雲星団が、実はそれぞれ個性のあることに気づきます。

低倍率でしか見たことのない天体は、あらためて中倍率でご覧になることをお勧めします。特に双眼望遠鏡では両目が使えるので、さらに認識力がアップします。同じ倍率でも単眼と双眼では別世界です。