9/15「星をもとめて」出店内容

以前このブログに書いたとおり、京都るり渓で行われる星をもとめてにビノテクノは出店します。その内容についてお伝えしておきます。

開店時間は、
9/15(日)12:00-22:00ごろ
の予定です。9/16(月)の出店はありません。

デモで展示するのは、以下の機材の予定です。

また販売もあります。主なアイテムは以下のとおりです。

いずれも特価販売です。価格は当日のお楽しみに。

みなさんのご来店を楽しみにしています。

昨年の出店風景

肉眼では大迫力の星空が、望遠鏡ではそれほどでもなかった件

西表島のレポートでも書きましたが、肉眼で見るとすごい迫力の離島の星空が、なぜか望遠鏡で見ると本州の暗い空での観望とそれほど変わりませんでした。離島から帰ってきて以来、このことがずっと頭に引っかかっていました。

ところが先日の胎内星まつりで、双望会にもよく来てくれていたベテラン観測者Tさんがビノテクノのブースに立ち寄ってくれたので、この疑問をぶつけてみました。するとたちどころに問題点を見つけてくれました。そのときのやりとりはこんな感じでした。

Tさん「何倍ぐらいで観てました?」
私「えっと、23倍ぐらいです」
Tさん「あ~、それはたぶん倍率が高すぎますね」
私「えっ?」(自分の中ではかなり低倍率)
Tさん「望遠鏡の口径は?」
私「102mmです」
Tさん「ということは、瞳径が5mmもないですね」
私「そうなりますね」(瞳径=口径÷倍率=102÷23=4.4mm)
Tさん「本州では5mmぐらいしか開かない瞳径が、離島のような暗い空では7mmまで開きます。そういう極低倍率でみると、本州との差がわかりますよ」

瞳径の問題とは思ってもいませんでした。目からウロコです。たしかに数十年前は、7X50というスペックの双眼鏡をよく見かけました。この場合の瞳径は約7mmです。しかしその後販売される天文用双眼鏡の瞳径5mmぐらいが主流となりました。その理由は「もう空がそんなに暗くないので人間の瞳は7mmも開かないから」でした。しかし今でも離島は7mm開く環境にあるということです。腹に落ちる解説でした。さすがTさんです。

しかし別の問題が見つかりました。瞳径が7mmになるような光学系の実現が意外と難しいです。詳しい計算は省きますが、瞳径7mmとなるアイピースの焦点距離は、瞳径に対物レンズのF値をかけた数値になります。例えば今回私が使った望遠鏡のF値は7だったので、瞳径7mmとなるアイピースの焦点距離は7X7=49mmとなります。2インチの差し込みでこんなアイピースありません。仮にあったとしても、目幅が合わないか、見かけ視野が極端に狭いかです。つまりF7の鏡筒では事実上無理となります。

F6ぐらいの対物レンズと焦点距離40mmぐらいのアイピースでやっと7mmに近い瞳径が得られるので、このあたりの組み合わせが現実解のような気がします。もちろんF5ならさらにアイピースの選択肢が増えますが、今度は逆に、そういうFのアポクロマート鏡筒がなかなかありません。しかし極低倍率で使うならアクロマートもありかもしれません。

来年もどこかの離島に行こうと思っているので、それまでにいろいろ考えるつもりです。

胎内星まつり御礼

予定通り胎内星まつり2024に出店しました。たくさんの方がビノテクノのブースにお立ち寄りいただきました。暑い中本当にありがとうございました。

また、毎年のことながらこれだけのイベントを開いていただいている主催者の方には頭が下がります。あらためて感謝申し上げます。

金曜日午後の風景

当初の予報では曇のち雨でしたが、よい方に裏切られ、昼間はピーカン、夜も多少星が見えました。

ブース裏手に機材を移動させて観望
個人所有の30センチ屈折勇姿

来年も出店したいと考えています。またみなさんにお会いできることを楽しみにしています。

StellaBino-50インプレッション

少し前に発売された笠井トレーディング天体観測専用双眼望遠鏡「StellaBino-50」のインプレッションです。

StellaBino-50(アイピースはPF-25mm)

StellaBino-50は今までありそうでなかった手持ち双眼鏡(以下、双眼鏡)です。通常の双眼鏡は像を正立させるため、対物レンズとアイピースの間に、ポロプリズムやダハプリズムといったプリズムが入ります。しかしこの双眼鏡にはそれがありません。像は倒立のままです。プリズムによる像の劣化がない、極めてシンプルな光学系です。また口径50mmはこの光学系の限界サイズです。これ以上になると目幅が合いません。

ちなみにあえて昼間の景色を見ると、倒立像であると同時に、遠近が逆転して見えます。とても長い時間見る気にはなりません。やはりこれは天体専用です。

外観の印象は「写真で見るより細長く」、持った感じの印象は「やや華奢」です。通常のプリズムが使われている双眼鏡は概ねずんぐりむっくりしているのに比べて筐体が細長いので、他の荷物と混載してラフに扱うと、連結部に無理がかかりそうです。

アイピース(アメリカンサイズ限定)を変えることで倍率を変えることができますが、実用的には8倍以上となります。手持ち双眼鏡としてはやや高めの倍率です。

高めの倍率の双眼鏡を使う場合、双眼鏡を持ってアイピースの縁を目に押し付け、自分の頭を利用してホールドすると見やすいです。そのため、ラバーカップのあるアイピースがおすすめです。当初ラバーカップのない手持ちのアイピースで観望しようとしましたが、目に押し付けるワザが使えないので、PF-25mmを後追いで入手しました。

ピント調整は左右独立の回転ヘリコイドです(直進ヘリコイドではありません)。このため、ラバーカップを目の周りに押し付けすぎるとヘリコイドの操作がしづらくなります。かといって押し付けるのを止めると双眼鏡が安定しません。ピントの追い込みは正直難しいです。どうしても追い込みたい場合は、別途三脚取付アダプターを購入する方法があります。もっとも、この双眼鏡のピントはそれほどシビアではないので、あまり神経質にピントを合わせる必要はありません。

実際に星を見た印象は「さすが50mm」でした。天の川あたりに向けると、微光星の数で口径の威力が分かります。口径40mm未満の双眼鏡とは一味違います。ただし倒立像なので、見る方向の調整はすべて逆になります。「もうちょっと右が見たい」と思ったら双眼鏡を左に振らなければなりません。この操作は慣れが必要です。正立像の双眼鏡とこの双眼鏡をチャンポンで使うと頭が混乱しそうです(笑)。

メインの機材にはなりませんが、ちょっとした観望用にこういう双眼鏡があると、星見が一層楽しくなりそうです。

「立秋」、私なりの解釈

一昨日8/7は立秋でした。

ご存知の通り立秋は二十四節気のひとつです。二十四節気はもともと中国の華北地方(黄河流域)で発明された暦の一種らしいので、微妙に日本の季節と合わないところがあります。

それにしても、秋の気配のかけらもない、この一番暑い時期に立秋と言われて、以前はピンと来ませんでした。でもあるときからこう思うようになりました(ひょっとしたら何かで読んだのかもしれません)。

立秋は「夏(=前の季節)のピーク」を表すという考え方です。立秋を境にして夏が緩んでくるイメージです。

2月上旬の立春も同様です。「一番寒い時期に春と言われましても」と以前は思いましたが、これも冬のピークと思えば腹落ちします。

では5月上旬の立夏や、11月上旬の立冬はどう考えればよいのか。上記の考えに照らせば、それぞれ春のピーク、秋のピークという意味になります。

春のピークとか秋のピークとか言われても、これまたすぐにピンときませんが、春や秋の特徴を「寒暖差の大きい季節」と考えれば説明がつきます。実際立夏や立秋を境にして寒暖差が小さくなっていきます。

例えば立夏を過ぎると、最高気温も緩やかに上昇していきますが、最低気温がそれ以上のスピードで上昇していって寒暖差が小さくなっていきます。

立冬も同様に、これを過ぎると最低気温が緩やかに下降していきますが、最高気温がそれ以上のスピードで下降していって寒暖差が小さくなっていきます。

二十四節気は毎月2回ずつ変わりますが、数年前からこれを意識することで、季節の移ろいに敏感になりました。こんなことに興味を抱くようになったのは歳のせいかもしれません(笑)

9/15 星をもとめて出店します

京都るり渓で行われるをもとめてに、ビノテクノは今年も出店します。

開店時間は、
9/15(日)12:00-22:00ごろ
の予定です。9/16(月)の出店はありません。

デモで展示する機材や特価販売するアイテムは、また日が近づいたら案内させていただきます。

昨年の出店風景

西表島・小浜島で星を見てきました

一昨年の父島、昨年の宮古島に引き続き、7/5-7/10の日程で西表島(いりおもてじま)と小浜島(こはまじま)へ行ってきました。以下はそのレポートです(長文注意)。

西表島ってどこ?

Googleマップより

まずは場所の確認です。西表島や小浜島、石垣島は、上の地図の赤丸の位置にあります。沖縄本島よりも台湾に近いです。北緯25度で本州より約10度低く、東経124度で明石より11度ほど西です。このため太陽の南中高度はこの時期ほぼ天頂、太陽の南中時刻は午後1時近くになります。

アクセス

竹富町観光協会HPより

この地域で空港があるのは石垣島だけです。他の島へ行くにはまず飛行機で石垣島へ行き、そこからフェリーに乗ります。中部国際空港から石垣島への直行便は1日1便ですが、那覇経由も含めれば一日数便の飛行機があります。同様にフェリーも一日数便あります。

ここから各島へのフェリーが出航

日程

今回のツアーは欲張って2つの島に行きました(西表島3泊&小浜島2泊)。そのため移動の多いツアーとなりました。ここまで来たら憧れの波照間島行きも考えましたが、さらに移動のロスが大きくなるので断念しました。

機材と梱包

鏡筒:BINOKIT用10.2cm3枚玉SD対物レンズユニット+BORG鏡筒
接眼部:EZM(アルミメッキ)+ハイペリオンズームアイピース
架台:Sky-Watcher AZ-GTi+ノースマウントCT-20用ハーフピラー
三脚:MORE BLUE製カーボン三脚
バッテリー:MAKITAリチウムイオンバッテリー18V6Ah+電源変換アダプター
カメラ:富士フィルムX-T20+18-55mmズーム

今回の機材はこれです。商売柄双眼にしたいところでしたが、今回は島をまたぐ移動があるので宅配が使えず、すべて自分で運ばなければならないので単眼にしました。それでもけっこうな重量となりました。

スーツケースに詰め込んだ機材

運ぶにあたってカメラバッグも考えましたが、最終的には大きめのスーツケースにしました。上の写真のように段ボールで個包装し、隙間が空かないようにスーツケースに詰めました。この状態で航空会社に荷物を預けましたが特に機材の破損はありませんでした。もちろんこれは国内線だったからよかったのかもしれません。国際線はもう少し手荒いと聞いてますが、海外へ行くことはもうないので要らぬ心配です。

西表島について

前半3晩を宿泊した西表島は、ジャングルとマングローブに覆われた自然豊かな島です。最高標高が470mもあり、降雨量も多いようです。そのため離島にしては珍しく水が豊富です。宿や飲食店のほとんどは島の北部(上原港を中心としたエリア)にあります。

マングローブ林

イリオモテヤマネコで有名な島でもあり、実際島内いたることろに「ヤマネコ注意」の看板がありますが、夜行性ということもあり、滞在中一度も見ることはありませんでした。

ハブもいるらしいのですが、島の住人ですら滅多に見ることはないそうです。しかも西表島のハブは弱毒性らしく、いまだかつて西表島でハブに噛まれて死んだ人はひとりもいないとのことでした。

西表島での観望

観望は「うなりざき公園展望台」という場所で行いました(下のマップの赤丸)。ここから南はすべてジャングルで街の光がなく、地平線近くまでびっしり星が見えました。

Googleマップより

泊まったペンションから車で10分もかからない場所にあり見晴らしも抜群です(ほぼ360度パノラマ)。

明るい時間のうなりざき公園
うなりざき公園から見た日没直後の海岸風景

この場所に毎晩通って星を見たのですが、一度もスコールに見舞われることもなく3晩とも快晴でした。こんなに晴れたのは一昨年から始めた離島ツアーではじめてのことです。ちなみにこの時期梅雨前線は本州に北上しているので、西表島はすでに梅雨明けしています。

架台AZ-GTiはそこそこ優秀で、ドンピシャとは言わずとも当たらずとも遠からずといった感じでサクサクと自動導入してくれました。

春から夏の主だった星雲星団はすべて見ましたが、圧巻の天体はケンタウルス座のオメガ星団(NGC5139)でした。この場所でも南中高度は15度ぐらいで、薄明が終わるのを待って見る頃にはもう少し高度が下がっていました。それでも十分な明るさでその勇姿を眺めることができました。

10cmは10cm

少しクールな話になります。これは父島や宮古島でも感じたことですが、10cmでの観望は、本州の暗い空での観望とそれほど変わりません。もちろん肉眼で見える天の川付近の星の数はこちらの方が圧倒的に多いのですが、不思議なことに望遠鏡で覗いてみるとそれほど迫力がありません。「これぐらいなら本州で見たことがある」というのが正直な感想です。

暗い天体も同様で、安定して見えるのは10等級ぐらいまで。11等級はほとんど見えません。頑張れば存在ぐらいはわかるかもしれませんが、間違っても20cmクラスの見え方にはなりません。これぐらいの暗さが10cmクラスの限界なのかなと思います。

星座双眼鏡大活躍

逆にこの空で大活躍したのが星座双眼鏡です。持参したのはメガネ使用者でも最大視野が確保される笠井トレーディングWideBino30GF。ただでさえ星数の多い天の川付近の星の数がさらに倍増。変な話ですが10cmより感動しました。暗い空でこそ真価を発揮する機材です。

笠井トレーディングHPより

星野写真

時間があったので、持ってきたミラーレス一眼をAZ-GTiに載せて、30秒のタイマー撮影で写真も撮りました。

アルカスイス台座を使った自作雲台

ISO6400、開放から半分だけ絞りました。一応自動追尾しているのでガイド撮影です。おかげで割とクオリティの高い写真になりました。

クリックすると画像が拡大します。さそり座の高度に注目!
クリックすると拡大します。さそり座からいて座付近
クリックすると拡大します。夏の大三角

西表島の宿泊

泊まった宿はペンション・イリオモテというペンションでした。島内の周回道路沿いにありますが、特に看板が出ていないので、うっかりすると入口を見落とします。

ペンション・イリオモテの入口

部屋の窓の外はすでにジャングルでした

部屋から撮った風景

夕方になると毎晩ペンションの中庭にたくさんのカメが現れました。愛嬌ある歩き方をしますが、天然記念物とのことで接触禁止でした。

ヤエヤマセマルハコガメ(?)

由布島水牛ツアー

西表島の東部海岸から数百メートル離れた場所にある由布島(ゆぶじま)まで、水牛車に乗って渡るツアーに参加しました。

ほぼ干潮の時間帯

ときどき水牛が尻尾を振るので「あれは機嫌がいいのですか?」とガイドに訊ねたら、「いえ、逆です」とのことでした。

水牛のサオリちゃん
由布島内のショップにて

カヌー&トレッキング&キャニオニングツアー

西表島ならではのアクティビティーにも参加しました。利用したのは西表ポロロッカさんの「大はしゃぎコース」です。

まずはカヌーを漕いで川を遡上。川といってもほとんど流れがなく、カヌー初心者の私でも難なく漕げました。ジャングルの養分がたっぷり溶け込んでいるので川の水は濁っています。

生まれて初めて漕ぐカヌー

20分ほど漕いだらカヌーは係留してここからジャングル内の滝までトレッキング。

カラフルなカヌー係留所
ガジュマルの大木
足元は木の根がびっしり
最初の目的地ピナイサーラの滝に到着

ここからまたカヌー&トレッキングで別の地点に移動。そこから沢下り。途中数か所、岩の上から水に飛び込みました。ヘルメットとウォータージャケットを装着しているので怖くありません。

大はしゃぎ中の服部

ツアーが終わって部屋に戻ると足が筋肉痛で悲鳴を上げていましたが、貴重な体験となりました。

子午線モニュメント

島内にはこんなモニュメントもありました。1から9までの数字が並ぶ経度地点のモニュメントです。それだけといえばそれだけの場所です(笑)

そのすぐ隣りにあったイタリアンのお店で一服。この時期の沖縄地域は、パイナップルをはじめあらゆるフルーツの旬だそうです。ここではマンゴー100%ジュースをいただきました。

小浜島へ移動

西表島観光を満喫したあと、4日目に小浜島へ移動しました。小浜島へ渡るには、西表島の大原港へ移動しなければなりません。宿があった上原港付近からレンタカーで小一時間かかりました。レンタカーは大原港の営業所で乗り捨てです。

ちなみに西表島でタクシーを見つけることは困難です。ゼロでは無いそうですが、イリオモテヤマネコ同様、滞在中一度も見ませんでした。

小浜島の宿泊

小浜島では奮発して、高級リゾートホテルはいむるぶしに宿泊しました。小浜島は朝の連ドラ「ちゅらさん」の主人公エリーの出身地として有名ですが、実際には小さい島で、観光資源もほとんどありません。

その代わりにホテルはいむるぶしは、広大な敷地の中にいろいろなタイプの宿泊施設、レストラン、カフェ、ショップ、プール、プライベートビーチを備え、ホテル内で自己完結しています。すぐとなりの星野リゾートもおそらく同じだと思います。

またホテル内はゴルフ用(?)カートで移動します。これがないと部屋からレストランまでの移動すら困難です。しかしこのカートが曲者で、運転しづらく、振動の激しい乗り物でした。とてもではありませんが、これで望遠鏡を運ぶことはできません。かといって敷地内に車の乗り入れができないので、観望するとしたら、部屋のすぐ外になります。

ところがあろうことか、ホテルの敷地内はどこも照明が「完備」され、暗い場所がありません。実にもったいない話です。

小浜島滞在中、天気はそれほど良くなかったのですが、それでも二晩とも夜中に少しだけ晴れました。そのとき照明の直撃がないところへ徒歩で移動して空を見たら、西表島と遜色ない雄大な天の川が見えました。地理的条件を考えたら当然です。

望遠鏡を出そうかと思っていたらすぐに曇ってしまって結局観望は諦めました。西表島で好天に恵まれたから良かったものの、小浜島で勝負だったら悩ましい状況でした。教訓です。小浜島で星を見たかったら、こういうところに泊まってはいけません。もっと安い宿に泊まって、夜間車で観望地に移動するのが賢い選択です。もっとも星空観望を除けば、ホテルはいむるぶしではリゾート気分が十二分に満喫できます。

幻の島上陸ツアー

自己完結しているホテルを抜け出して、小浜島の港からボートで15分ほどのところにある、満潮になると水没する幻の島に上陸するツアーに行ってきました。正式名称は『浜島』というそうですが、三日月状の砂地ですぐそばまでボートが近づけます。

海の色と空の色に注目!

この世の楽園のような景色を楽しんだあとは、さらにボートで移動して、水深が浅く、サンゴ礁のある場所で小1時間ほどシュノーケリングをしました。

シュノーケリングも今回で3回目になるのでだいぶ要領が分かってきました。戸惑うことはありません。シュノーケリングジャケットを装着しているので、疲れたら仰向けになるだけです。そうすると自動的に顔が水面から出て休憩できます。

回復したらまたうつ伏せ姿勢で足ヒレを動かしてサンゴ礁の観察です。指先ほどのサイズから手のひらサイズぐらいまで、大小さまざまな魚がサンゴ礁を縫うように泳いでいました。何度見ても癒やされる景色です。

静かな島、小浜島

「何もないですよ」と言われたものの、それでもレンタカーで島内を回りました。確かに特別なものはありませんでしたが、サトウキビ畑や牛の牧場があり、実にのどかで静かな風景でした。島の中央部を除けば、人がほとんど見当たりません。

本州なら観光客が殺到しそうな美しいビーチにも人がいません。小浜島ではまったく特別な景色ではなく、ごくありふれた景色なのでしょう。素敵です。

細崎(くばざき)海岸付近のビーチ

最後に

そんなこんなで今回もひと足早く夏休みを満喫してきました。今回は特に西表島で3晩快晴に恵まれたので大成功と言えるツアーでした。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

おわり

双望会はDSPの前身?

成澤広幸氏が天文ガイドで連載している「星空に会いに行く撮りに行く」の今月号(8月号)の話題はDSP2024でした。記事によるとDSPはますます盛況のようで何よりですが、その中で看過できない記述がありました。私が仲間と主催していた双望会がDSPの前身とあります。これはあたかも、DSPが双望会の後継イベントであるという誤解を招く表現です。形としては似ているかもしれませんが、DSPは双望会の後継イベントではありません。双望会とまったく関係のないイベントです。主催者もまったく別メンバーです。「双望会を参考にした」というのが正確な表現ではないでしょうか。

双望会のホームページより

さらに

の記述は何を指しているのかよく分かりません。少なくとも双望会では初心者の参加を制限したことは一度もありません。もちろん排除したこともありません。

双望会に関する記述はおそらく成澤氏が会場で聞かれた情報を下に書いたと推測しています。双望会がDSPの中でそのように語られていることを残念に思います。

しかし繰り返しになりますが双望会とDSPは無関係であり、比較すること自体意味がありません。双望会の話がなくてもこの記事は成立しているので、言わずもがなという思いです。

10.2cm対物レンズユニット 残り1セット

BINOKIT-BORGのオプションとして販売している10.2cm3枚玉SDアポ対物レンズユニットが残り1セット(2本)となりました。BORG107FL対物レンズに決して引けを取らない光学性能でお勧めの10センチでしたが、この在庫がなくなったら今のところ追加で仕入れる予定はありません。仮に仕入れるとしてもこの円安なので次ロットの販売価格はかなり上がると思います。ご購入を検討されている方はどうかこの機会をお見逃し無く。

プレートソルビング自動導入観望

遅ればせながらプレートソルビング自動導入観望を始めました。

ご存じの方も多いと思いますが、プレートソルビングとはCMOSカメラに写った星空から星の座標(赤経赤緯)を解析する技術です。この技術が商品に実装され始めたころはもっぱら写真撮影用の技術として紹介されていました。

「これって観望用にも使えないの?」と思っていたら、協栄産業さんのHPでその使い方がすでに紹介されていることに最近気づきました。完全に出遅れてます(笑)

ハイランダープロミナーとAM3でプレートソルビング自動導入観望を楽しもう!
AM3、AM5赤道儀の経緯台モードで天体観望を楽しもう

ご覧の通り経緯台モードでもできるとあって、さっそく機材を入手しました。買い揃えたのは、
ZWO AM5架台
ZWO ASIAIR mini
ZWO TC40カーボン三脚
ZWO AM5・新型ハーフピラーPE200
です。

それなりの金額になりましたが、こういう技術は実際に使ってみないとお客様に勧めることもできません。

AM3架台ではなくAM5架台(以下、AM5)にしたのは、10センチ双眼望遠鏡を載せたかったからです。ハーフピラーは当初ノースマウントCT-30用のハーフピーラを使おうとしましたが、なぜか取り付け座面あたりがぐらぐらしたので、純正のハーフピラーにしました。こちらにしたらぐらぐらは無くなりました。

この純正ハーフピーラを使う場合、三脚もZWO純正のTC40になりますが、これについては少し不満があります。脚がそれほど伸びないので接地半径が小さく、10キロ以上ある双眼望遠鏡を片持ちで載せると転倒の恐れがあります。そのためAM5にウェイトシャフトを取り付けてウェイトを使うことにしました。もう一段伸びたなら転倒リスクは無くなると思われるので惜しいです。ちなみにウェイトシャフトはCT-30用が流用できました。

AM5自体の剛性はケンコー・トキナーAZ-EQ6GTに劣りますが、この軽さは魅力です。持ち運びは断然AM5が楽です。

AM5に10センチ双眼望遠鏡を載せるとこんな感じになります。

バランスウェイトは外してあります

下の写真は双眼望遠鏡を外した状態です。右側の箱がASIAIR miniです。本格的な写真を撮る場合はASIAIR Plus-32GとかASIAIR Plus-256Gが必要ですが、観望だけならASIAIR miniで十分です。

電源はAM5から供給(逆でも可)

ちなみにこの架台に望遠鏡を載せるときは、アリミゾ金具に描かれた絵のとおりの向きにしなければなりません。対物レンズが逆向きになるように載せると正常に動作しません。そのためBINOKITのアリガタ金具の取り付けをいつもと逆にしました。

ガイドスコープは産業用CCTVレンズ(100mmF3.5)と、以前から所有しているZWO非冷却カメラASI462MCの組み合わせです。Askar製やZWO製のガイドスコープを使うという選択肢もありますが、こちらの方がコンパクトで安価(14,000円程度)でした。像質は劣るかもしれませんがプレートソルビングに支障がなければ大丈夫です(後述しますが実際問題はありませんでした)。

ガイドスコープ

このガイドスコープと双眼望遠鏡本体の光軸を合わせるため、SLIK 微動雲台SMH-250を使いました。この微調整機能は必須です。使ってみて分かったのですが、プレートソルビングを使った自動導入は、目標の天体を、惚れ惚れするぐらい完璧に「ガイドスコープ視野」のど真ん中に持ってきます。したがって目標天体が望遠鏡本体の視野ど真ん中に来るかどうかはこの微調整次第です。

ちなみにSLIK 微動雲台SMH-250をファインダーアリミゾ金具に取り付けるため、底面に特注サブプレートを介してMORE BLUE ビクセン規格ファインダー台座 FG304を取り付けました。

これらの機材を実際に使う場合、スマホにASIAIRのアプリを入れる必要があります。これはGoogle Playから無料でダウンロードできます。ZWOのアプリは他にも電視観望でASI STUDIOを使ったことがありますが、どちらのアプリも直感的に分かりやすいです。きっと優秀な技術者がアプリを作っているに違いありません。

それと買う前は基本的なことが分かってなかったのですが、プレートソルビングを行うのはAM5ではなくASIAIR miniの方です。ASIAIR miniはCMOSカメラの画像を取り込み、プレートソルビングで画像の赤経赤緯を解析し、目標天体までの赤経/赤緯軸修正量を架台に指示します。

ということはASIAIR miniがあれば、AM5でなくてもこの機能は使えるわけで、実際アプリの起動画面の架台選択肢に他社製架台の名前がずらりと出てきます。ただし問題は接続ケーブルで、AM5用のケーブルは使えません。例えばSky Watcher製架台に接続するには、ASIAIR mini側がUSB-A、架台側がRJ45モジュラージャックのケーブルが必要です(販売店に問い合わせるとたぶん見つかると思います)。

さて本題に戻ります。実際に使ってみました。笑いが止まらないぐらいど真ん中に導入できます。これまでも自動導入架台というのはありましたが、当たらずとも遠からずといった感じの微妙なずれ方をすることがよくありました。しかしプレートソルビングではそういうことはありません。視野がずれていたら自己修正するので必ずど真ん中に来ます。期待以上の性能です。

下の画像2つは、天体を導入したときのスクリーンショットです。使用場所は桑名市内の自宅ベランダです。肉眼では2等星ぐらいしか見えませんが、CMOSカメラはプレートソルビングを行うのに十分な星の数を映しています。

M27導入時のアプリ画面
M13導入時のアプリ画面(操作パネルオフ状態)

最後に、使ってみて分かったことを挙げておきます。

アプリ起動時、メインスコープとガイドスコープの焦点距離を入力する必要があります。先述のガイドスコープはここではメインスコープになります。ややこしいかもしれませんが、ガイドスコープの焦点距離をメインスコープ欄に入力します。

また上記焦点距離はできるだけ正しい値を入れなければなりません。いい加減な数値をいれるとプレートソルビングでエラーが発生します。余談ですが上記システムでプレートソルビングをしたところ、メインスコープの焦点距離が入力値の100mmから95mmに自動修正されました。購入した産業用レンズの本当の焦点距離は95mmかもしれません。

それからAM5を赤道儀モードから経緯台モードに変更する場合、左右の「高度固定ネジ」(どのネジかは取扱説明書参照)を必ず締め直さなければなりません。これを忘れると、望遠鏡のポジション次第でバランスが崩れて高度が急に変わり、最悪望遠鏡の落下事故につながります。

またAM5は、望遠鏡を真北水平に向けた状態で電源をいれると、その後の動作で対物レンズが下に向いたり、天頂を超えてのけぞるようなポジションを取ったりすることがありません。

というわけで、やっと究極の自動導入架台に出会えました。このシステムならお客様にも安心して勧めることができそうです。