双眼望遠鏡のあるべき姿

昭和30年代に運転免許を取得した父によると、当時学科試験に『構造』という科目があったそうです。自動車のエンジンや変速機、ブレーキなどの知識を指します。私が取得した昭和50年代にはすでにこの学科はなくなっており、構造科目で苦しんだ父からうらやましがられました。

この科目がなくなった理由は、自動車という製品が進化したからにほかなりません。昭和30年代はまだ自動車の品質が低かったため、ユーザーに構造の知識は必須でした。多少の不具合は自分で直せないと使えない製品でした。逆に言えば、ユーザーの構造理解が前提の製品でした。

もちろん今の自動車は違います。構造を知らなくても操作はできます。もちろん構造の知識はあって邪魔にはなりません。でも必須ではありません。ユーザーが覚えるべきは正しい操作です。

これを双眼望遠鏡に照らせばどうでしょう?

ユーザーの原理・構造理解が前提になっているなら、双眼望遠鏡という製品はまだまだ進化の余地があります。大半のユーザーは原理・構造を理解したいのではなく、両目による観望を楽しみたいだけです。

目幅調整と、視野一致のためのX-Y微調整の方法さえ習得すれば、あとは普通の望遠鏡と同じように使える、これがビノテクノが目指す双眼望遠鏡のあるべき姿です。