新製品「BINOKIT用10.2cm3枚玉SD対物レンズユニット」

今年6月に販売終了となった10.2cm2枚玉に代わるBINOKIT用対物レンズユニットとして、3枚玉SDアポクロマートを販売開始いたします。

口径:102mm
焦点距離:714mm (F7)
レンズ枚数:3枚
FPL53使用
価格:税別 276,000円/2本

旧モデルより高くなっていますが、それでもこのスペックでこの価格はたいへんお値打ちです。これとBINOKITを組み合わせた税別価格は、

BINOKIT本体(アルミコート仕様) 248,000円
10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニット(2本) 276,000円
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合計 524,000円

となります。接続リングやフードリングがEZMの中間リングと同じ色にしてあるので、見た目もおしゃれです。写真紹介コーナーも併せてご覧ください。

またこの対物レンズユニットは単品でも販売いたします(税別138,000円)。これにBORG製80Φ鏡筒や鏡筒バンド、接眼部を取り付ければ単眼の望遠鏡になります。

構成例:(価格はすべて税別)
10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニット(1本) 138,000円
BORG 80ΦL100mm鏡筒BK【7101】 5,905円(2021.12.28訂正)
BORG 80ΦL25mm鏡筒BK【7026】 4,286円(2021.12.28追加)
BORG アダプター7801 4,287円
笠井トレーディング V-POWERII接眼部(L) 34,500円
笠井トレーディング BORG互換アダプター 3,800円
MORE BLUE 内径80mm鏡筒バンドTB017 9,546円
MORE BLUE アリガタ金具AU003 3,182円
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合計 203,506円(2021.12.28訂正)

一般的にFPL53を使った10センチ3枚玉アポ鏡筒は30万円以上しますから、いかにお値打ちかご理解いただけると思います。ご希望があればビノテクノですべてパーツを調達していたします(このサービスはビノテクノ直販のみ)。

また、上記の構成例でもわかるように、すでにBORG80Φシリーズの機材をお持ちの方にもご利用いただける仕様となっています。追加する対物レンズの選択肢としてご検討ください。

新製品「小口径用簡易クレードル CRDL-mini」

すでにHPの商品ページには掲載済みですが、本日より小口径用簡易クレードルCRDL-miniの販売を開始します。

このクレードルの特長は、市販鏡筒に付属している鏡筒バンドとアリガタ金具がそのまま使えるところにあります。下の写真はその搭載例です。

正立デバイスは、これも最近発売した正立天頂プリズムEZPです。

これまでビノテクノの正立デバイスは、光路長が長く、高価な正立天頂ミラーEZMしかありませんでした。しかしEZPの登場で、小口径(主に8センチ以下)でもピントが出るようになりました。しかもEZMの半分以下の価格です。これに安価なクレードルがあれば、以前から抱いていた、小口径の双眼望遠鏡を安価に提供したいという想いが実現します。そこで開発したのがこのクレードルです。

このクレードルは、左側の鏡筒で目幅調整を行い、右側の鏡筒で平行調整を行います。

目幅調整は下部に取り付けてあるアリガタ金具に沿って動かすサバイバルな構造です。そのため、操作性では従来のクレードル(CRDL-105, CRDL95等)に劣ります。基本的にはあまり頻繁に目幅調整を行わない、パーソナルユースが前提の商品です。

平行調整(鏡筒の上下左右調整)は、EZMでいうところのXY調整ネジに相当するものです。実はEZP自体にXY調整機構を組み込もうとしたのですが、プリズムの自重が大きく、スムーズな微調整がどうしても実現できませんでした。そこでこの機能をクレードル側に持たせることにしたのですが、逆にそれが功を奏して、鏡筒付属の鏡筒バンドとアリガタ金具の使用が可能になりました。これは大きなコストダウンになりました。

従来のクレードル(CRDL-105, CRDL95)との違いをまとめると、次の表のようになります。

項目 CRDL-mini 従来のクレードル
市販鏡筒付属のアリガタ金具(ビクセン規格) 使用可 使用不可
市販鏡筒付属の鏡筒バンド 使用可 使用不可
使用する正立デバイス EZP EZM
目幅調整 アリガタ金具を利用した簡易方式 ネジを利用した微調整方式
鏡筒の平行調整 右側鏡筒の微動ステージで調整 調整レス(金属パーツの精度で保証)
適用鏡筒 8センチ未満 8センチ以上

 

安価な工業用アルミフレームを使ってさらにコストダウンを図り、この価格(税別58,000円)を実現しました。

HPの商品ページにも掲載しましたが、例えば笠井トレーディングBLANCA-72SED鏡筒を載せた場合、クレードル、EZPペア、鏡筒2本でちょうど25万円(税別)になります。FPL-53の硝材を使った72mmの双眼望遠鏡がこの価格で提供できる意義を強調したいです。

一度も見たことのない人に双眼望遠鏡の楽しさを言葉で伝えるのは難しいです。逆に一度でも本物を覗けば、一瞬でその楽しさが理解できます。価格が下がればその機会は増えるはずです。EZPとCRDL-miniは、ビノテクノの起業動機である「双眼望遠鏡の楽しさをより多くの人に知ってもらいたい」という想いが詰まった商品です。

60ED鏡筒,AZ-Palm架台 処分販売します

以下の機材を処分販売いたします。

1 60ED鏡筒

※ 売約済み(2021.10.31)

以前弊社で販売していたBINO-60EDの片割れです。何回かデモで使いましたが、外観に目立つ傷はありません。ビクセン規格のアリガタ金具と2インチ→1.25インチアダプターが付属します。

対物レンズは笠井トレーディング BLANCA-60SEDと同じです。ただし鏡筒のバックフォーカスが20mmほど長いため、ビノテクノ製EZM(光路長約150mm)でもピントが出ます。さらにEZP(光路長約110mm)でもピントが出ます。

販売価格は48,000円(税別)です。

参考:笠井トレーディング BLANCA-60SED 58,000円(税別)

同時にEZMまたはEZPをご購入いただける場合、EZM、EZPどちらも販売価格を10%オフいたします。スポッティングスコープや、大型鏡筒のファインダーとしてお勧めです。

 

2 Kasai AZ-Palm架台

※ 売約済み(2021.11.04)

笠井トレーディングのKasai AZ-Palm架台です。室内でしか使っていないので、新品同様です。

販売価格は15,000円(税別)です。

参考:通常販売価格は18,000円(税別)です。

 

SKY90ビノ

先日納品したSKY90ビノを紹介させていただきます。

鏡筒はタカハシ製SKY90(D=90mm, f=500mm)です。すでに販売中止になっていますが、オーナー様が2本お持ちで、支給してくださいました。

クレードルはタカハシFC100シリーズ用に使えるクレードルCTRL-95(鏡筒径95mm用)です。

オリジナル状態ではEZMでピントが出ないので、2インチスリーブのみ特注で製作してバックフォーカスを20mm稼ぎました。これにより、アイピース突き当て面に焦点があるアイピースで、ピント余裕が約10mmあります。

鏡筒が短く、コンパクトな外観に仕上がったので、引き取りに来られたオーナー様も大変満足されたご様子でした。

EZPとEZM、原理は同じ

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、EZPEZMはどちらも、像が正立して直角視できる原理はまったく同じです。今回はその説明をさせていただきます。

まずEZPですが、こちらはアミチプリズムの2回反射で像を正立させています。そのイメージは、笠井トレーディングHPのEZP紹介ページの動画にあるとおりです。

一方EZMは、平面ミラーの2回反射で像を正立させています。そのイメージと原理は、ビノテクノHPの技術解説「EZMの機能と原理」をご覧ください。

一見すると別の理屈に見えますが、実は対物レンズからやってくる光路が2回反射で描くベクトルは、どちらもまったく同じです。それを理解していただくため、上記動画にさらに手を加えました。それが下記の動画です。

手を加えたのは、入り口と出口の円、そしてその円を反射面に投影した2つの楕円です。ちなみにこの楕円の長径:短径比は2:1になります。これは、EZM(正立天頂ミラー)の楕円ミラーの理論比と同じです。つまりEZMは、アミチプリズムの反射面に沿って2枚のミラーを配置したものであることが分かっていただけると思います。

 

※ 以前から「正立天頂ミラーはアミチプリズムの一種」とおっしゃる方がいらっしゃいます。像の正立原理だけをみればそのとおりですが、このアミチプリズムを見て、底に平面ミラーを仕込んだ頂角60度の2つのケースをひねってつなぎ合わせる構造を誰が着想できるでしょう。これを着想して形にされた松本龍郎氏には、今でも畏敬の念を抱いています。

EZPを使った双眼望遠鏡(ユーザー様より)

EZP(天頂正立プリズム)はまだ発売したばかりですが、さっそくペアで購入して双眼望遠鏡に仕立てられたユーザー様がいらっしゃいます(その素早さに驚いています)。その写真を紹介いたします。

鏡筒はAPMの8センチ、架台はSLIKのTELE BALANCEのようです。

EZPはEZMのようなXY微調整機構が組み込めないので、左右の鏡筒を正しく平行に取り付ける必要があります。鏡筒の平行を微調整する機構は無いようですが、ある程度平行を追い込まれたようで、30倍程度なら快適とのことです。

新製品「EZP」

本日より新製品「EZP」の販売を開始します。

EZP(Erecting Zenith Prism)は、笠井トレーディングと共同開発したアメリカンサイズ(31.7mm)アイピース専用の正立天頂プリズムです。

製品の詳しい仕様や特長は、ビノテクノの商品ページ笠井トレーディングの商品ページをご覧ください。

この商品はビノテクノ、笠井トレーディング、および販売店からご購入可能です。

またこのEZPを使った小口径用双眼望遠鏡も開発中です。出来上がり次第このブログで紹介させていただきます。

パラリンピックに思うこと

今日(9/5)でパラリンピックが閉幕しました。自国開催ということもあってたくさんの競技をテレビで観ることができました。おかげでやっとパラリンピックの意義が私なりに理解できました。端的に言えばパラリンピックは、やり抜く意思の大切さをあらためて私に教えてくれました。

パラのアスリートたちは、自分が負っているハンディを嘆いてなどいません。残っている機能を最大限活用して武器のレベルにまで磨き上げています。やり抜く熱い意思でたくさんのサポートを集めています。

「障害があるのに頑張ってるね」などという感想はとんでもない上から目線、失礼の極みです。パラのアスリートを見て感じるのは、「自分はあの人達ほど頑張っていない」という自省です。何かがないことをやらないことの言い訳にしていないか、やるといいながら勝手にやめていないか、何がしたいかをきちんと周りに伝えているか。

障害があろうがなかろうが、やり抜く意思は大切です。それができている人には最大限のリスペクトを捧げたいです。頑張らなければならないのは、それができていない自分です。

Ninja320 on AZ-EQ6GT-J

以前このブログで紹介した改造AZ-EQ6GT-J架台に、Ninja320鏡筒を載せた写真をオーナー様からいただいたので紹介させていただきます。

接眼部が高くならないよう、ピラー高さがかなり低く切り詰めてあります。

AZ-EQ6GT-Jはそんなに小さい架台ではありませんが、Ninja320鏡筒を載せるとさすがに小さく見えます。これでもオーナー様の話によると、200倍でも問題なく追尾できたそうです。AZ-EQ6GT-Jのポテンシャルは高いです。

視野回転の不一致が発生する意外な原因

今まで問題なく使えていた双眼望遠鏡が急にひどい視野回転の不一致に見舞われたとき、原因として見落とされがちなのがEZMの取付状態です。

EZMの2インチバレル根元フランジ部を、接眼部の2インチスリーブ端面に密着させるのが正解ですが(上の写真のオレンジ色の四角の部分)、ここが密着していないと、接眼部に対してEZMが傾く可能性があります。その許容値は脳に依存するので人によりますが、経験的に、0.5度以上傾くとほとんどの人が視野回転の不一致に気づきます。これぐらい傾いているとEZM調整ネジを盛大に回すことになり、視野中央で無理やり一致させた星が視野の端で2つの星に見えます(=視野回転の不一致)。

0.5度というとピンとこないかもしれませんが、これを2インチ差込部の外周(直径50.8mm)付近の隙間に換算すると、隙間の最大と最小の差が0.44mmとなります。つまり1mmの半分以下です。けっこうシビアだと思いませんか?

また接眼部には、傾きやすいものと傾きにくいものがあります。2インチの内径部が口元しかなく、奥の内径が大きくなっているものは傾きやすいです。一方奥まで2インチの内径があるものは傾きにくいです。

仮に傾きやすい接眼部だとしても、望遠鏡を真下に向けてEZMを取り付けると、密着させやすいです。もちろんこのときアイピースは外しておきます。

それからEZMの取付に限りませんが、2インチ部を固定するための3方向からのネジは、3本のうち2本だけをきつく締めればOKです。3本ともきつく締めると、逆にガタが出やすくなります。かといって、3本目のネジをゆるゆるにしておくと知らないうちに落下してしまうので、他の2本よりは緩く締めるか、いっそ3本目(手が届きにくい方向)を取り外しておいてもいいです。ネジで確実な締結を求める工業製品は120度離れた2方向から締め上げる構造が一般的なので、これは乱暴な話ではありません。

BINO-60ED ハンドル取付

以前BINO-60EDを買ってくださったお客様から、ハンドル取付のご要望をいただいたので、特注対応で製作しました。うまい具合に底面へのアリガタ金具取り付けのご希望もいただいたので、写真の通り、底面のアリガタにハンドルを取り付けました(2つのアリガタ金具で多種の架台に対応)。

底面から見るとこうなってます。

実を言うと製品企画の段階でハンドルオプションも考え、実際に試作もしたのですが、そのときはどことなく野暮ったい感じがしたので取りやめました。今回は底面アリガタ金具を使って取り付けたので、野暮ったさはありません。

BLANCA-102EDPビノ

以前納品したBLANCA-102EDPビノがオーナー様の自宅天文台に設置されたので、訪問して写真を撮らせていただきました。

写真右側がBLANCA-102EDPビノで、左側がケンコー25cmニュートン(電子観望専用)です。架台はケンコー・トキナーAZ-EQ6GT-J、ピラーは特注品です。

BLANCA-102EDPは笠井トレーディングの10.2cmF11という眼視専用の鏡筒です。昨年単眼でこの鏡筒を覗いたオーナー様がこの星像に惚れ込んで、ビノ製作をご注文くださいました。ご自宅は街なかにあるので、ご覧になるのはもっぱら月、惑星、明るい星団になります。

鏡筒が長いため、弊社製クレードルCRDL-105に一部特注部品を追加して、鏡筒バンドの間隔を広げました。ピントハンドルが妙な位置にあるのは、この鏡筒の接眼部が、ハンドルの左右入れ替えができない構造となっているためです。

スライドルーフの外から撮った写真です。観測室の壁が立体的に見えるのは目の錯覚です。遊び心を掻き立ててくれる空間となっています。

オーナー様、プライベート観測所の完成おめでとうございます!

BINOKIT(10.2cm対物) on AZ-3経緯台

先日納品させていただいたBINOKITのオーナー様から写真をいただいたので紹介させていただきます。

機材は、右側がBINOKIT-BORG+10.2cm対物レンズユニット、左側が以前からお持ちのBORG50mmアクロマート対空双眼です。バランスウェイトは5kgとのことです。

架台はKasai AZ-3経緯台、三脚はアイベル強化型ステンレス三脚です。経緯台と三脚を接続するアダプターはビノテクノで特注製作させていただきました。

バランスウェイトを含めた搭載重量は約20kgと思われますが、見た目、まったく危なげなく、実際、問題なく使えているとのことです。

Kasai AZ-3経緯台は元々剛性ポテンシャルが高いのと、微動ができるので、双眼望遠鏡によく合う経緯台と言えます。搭載方法の参考として紹介させていただきました。