パーフェクトバランスキット

フリーストップ経緯台を使う場合、望遠鏡の重心バランス(以下、バランス)はとても重要です。スムーズに動かすため、できるだけフリクション(摩擦)を与えたくないのですが、バランスが崩れていると、ある程度のフリクションを与えざるを得ません。ノースマウントに代表されるような良質の経緯台なら、多少のフリクションを与えてもそれなりにスムーズに動かせますが、それでもフリクションは最小限にしたいものです。逆にいうと、バランスを完璧に取れば快適な観望が実現します。今回の内容は、これを解決するための、Tの字型フリーストップ経緯台用に特化した提案です。

まずバランスは、2種類あります。ひとつは鏡筒水平時のバランス、もうひとつは鏡筒垂直(天頂方向)時のバランスです。この両方のバランスを取れば、水平から垂直まですべての高度ポジションでバランスが取れていることになります。(参考→ビノテクノホームページ『使い方-バランス取り』

水平時のバランス取りは比較的容易です。鏡筒バンドに対して鏡筒取り付け位置をずらせばバランスが取れます。さらにアリミゾ金具内でアリガタ金具の取り付け位置をずらせば微調整ができます。

問題は垂直時のバランスです。ビノテクノも含めたメーカー側は、一応「当たらずとも遠からず」の位置に重心を設定していますが、使うアイピースやファインダーの重さで重心位置が変わります。この重心位置は割と微妙で、5ミリ変わるとバランスが崩れたりします。一部のユーザー様はこのためのバランスウェイトを自作で取り付けていらっしゃいますが、取り付けずに済むなら取り付けたくないはずです。

そこでひとつめの提案です。今回こういうものを作ってみました。

ご覧のとおりシンプルな構造です。アリミゾ金具の背面にアリガタ金具を90度回転させて取り付けたものです。これを経緯台に取り付けます。水平時のバランスは写真手前側のアリミゾ金具と望遠鏡のアリガタ金具の位置で微調整します。垂直時のバランスは写真背面側のアリガタ金具と架台のアリミゾ金具の位置で微調整します。

これで水平時も垂直時もバランスが取れるのですが、実際の運用ではもう一つ困ったことがあります。それは、重さの異なるアイピースに交換すると、せっかく合わせたバランスが再び崩れてしまうことです。このため一部のユーザー様は、最も重いアイピースと同じ重さになるよう、ウェイト代わりの金属リングを軽いアイピースに抱かせて運用されています。これはこれでひとつの解決方法ですが、手間とコストがかかります。

そこでふたつめの提案です。使うアイピースを2種類(多くの場合、重い低倍率用のアイピースと軽い高倍率用のアイピース)に限定し、両方ともあらかじめ望遠鏡に載せておく方法です。載せる位置も、できるだけ同じ位置にしておきます。そうしないと意味がないからです。下の写真は、実際に製作した試作品です。(冒頭に紹介したアリガタ/アリミゾ金具も取り付けてあります)

ちなみにパン棒の素材は工業用アルミフレームです。グリップエンドには持ちやすいように円弧状断面のゴム(元々は滑り止め用パーツ)が埋め込んであります。

実際にこの2つのアイテム(「アリミゾ/アリガタ金具」と「アイピースホルダ付きパン棒」)を取り付けることで、完璧なバランスが取れるようになりました。特に「アリミゾ/アリガタ金具」は、双眼望遠鏡に限らず有用です。

ただし実際の運用では、アリミゾとアリガタ金具の位置調整を毎回行うのは煩雑です。一度バランスを合わせたら、その位置をシールか何かでマークしておく方法がよいと思います。

そういうわけでまずはビノテクノ直販でこの2つのアイテムを販売します(注文が多くなった場合は型番モデル化して販売店様からでも購入できるようにします)。品名、仕様、価格は次のとおりです。

品名:パーフェクトバランス金具(上記のアリミゾ/アリガタ金具)
仕様:ビノテクノ製ロスマンディ互換幅アリガタプレート
   笠井トレーディング製KASAI大型アリミゾ金具
価格:24,000円(税込価格26,400円)

品名:マルチパーパスパン棒(上記のアイピースホルダ付きパン棒)
仕様:BINOKIT-BORG専用
   アイピースホルダ穴は2インチサイズ
価格:22,000円(税込価格24,200円)
※ BINOKIT-BORG以外用も特注として承ります。

TOA130ビノ(製作中)

タカハシTOA130NFB鏡筒を使った双眼望遠鏡(特注品)です。まだ製作途中ですが、ある程度形になってきたので紹介させていただきます(見苦しい背景ですみません)。

三脚はタカハシ製EM400用メタル伸縮三脚、架台はケンコー・トキナー製AZ-EQ6GT-Jを流用したものです。もう1本の鏡筒は入荷待ち、EZMも特注パーツの入荷待ちのため取り付けてありません。

当初AZ-EQ6GT-J付属の三脚使用を検討しましたが、オーナー様の希望もあってこの三脚にしました。単体で見ると過剰に思える太さですが、こうして組み上げてみると違和感がありません。

写真の左下方の大きく伸びた部材は40mmX120mmの工業用アルミフレームです。三脚に当たらないギリギリの長さにしてあります。写真ではバランスウェイトが1個(5kg)取り付けてありますが、最終的には3個(計15kg)でバランスする計算です。

工業用アルミフレームに対してバランスウェイトが写真手前側にオフセットしてあるのは、鏡筒バンドに接眼部を近づけたかったからです。TOA130鏡筒を持ったことがある方は分かると思いますが、対物レンズがとても重いため、鏡筒の重心がずいぶん対物レンズ寄りになっています。この重心に鏡筒バンドを取り付けると、鏡筒バンドと接眼部が離れ、結果として、望遠鏡の上下の向きが変わると接眼部の高さが大きく変わってしまいます。これを避けるためのバランスウェイトのオフセットです。

鏡筒バンドはいつも通りの構造です。ボルト(写真では写っていません)を締めると上側のレバーが内側に寄って鏡筒をクランプします。

写真の右側の鏡筒バンドが固定側、左側が可動側です。左端のツマミを回すと可動側の鏡筒バンドが左右に動いて目幅調整できます。

外からは見えませんが、鏡筒平行に関わる部品の合わせ面にはすべて位置決めピンが埋めてあります。

鏡筒バンド下に位置しているベースプレートと架台本体の間に数十ミリの隙間があり、本当はもっと詰めたいところですが、望遠鏡が天頂を向くと本体正面パネルに取り付けられているケーブル類(写真では外してあります)と干渉するので、やむなくこの隙間が設けてあります。

それにしてもこのクラスの鏡筒(1本約13kg)になると問題は架台です。今回オーナー様は「自動追尾&自動導入」を強く希望されました。自動追尾&自動導入が可能で、この荷重(ウェイトを含めた総重量約50kg)に耐えられる市販の架台はそれほど選択肢がありません。私の知る範囲では海外製のPantherTTS-300ぐらいです。ただしこの架台は日本に代理店がないので、故障した場合のサポートに不安があります(お値段もそれなり)。そこで今回はAZ-EQ6GT-Jを補強して使うことにしました。具体的には架台下部のフォーク部品(下の写真)を取り去り、アルミの厚板でサンドイッチして三脚に固定してあります。この構造のおかげで、少なくとも鏡筒を1本載せた状態ではグラグラ感がまったくありません。

このフォーク部品をそのまま使った場合の問題点は2つあります。ひとつは、経緯台モードの場合、不動点(水平軸と上下軸が交わる点)が三脚中心の真上に来ないこと。もうひとつは、フォークの剛性が邪魔をして架台回転部を強固にクランプできないことです。もちろんこれらは、カタログスペック(片持ち15kg)を満足させることに対してはまったく問題ありません。今回は超過剰な使い方をするのでこのような補強をしました。

この状態(鏡筒1本の状態)で架台の電源を入れて動かしたところ、最大速度(RATE=9)でも問題なく静かに動きました。もっとも、この状態で推定総重量は30kg弱ですから、これで無理があるようなら話になりません。

また、機能とは直接関係ありませんが、今回は架台の白色を意識して、アルミ部品は全て白色アルマイトに統一しました。

完成は2月以降になると思いますが、出来上がり次第またこちらに報告させていただきます。

FC-100DCビノ(特注品)

ここのところ特注のご依頼が続いています。今回はタカハシ製FC-100DC(フローライト10cmF7.8)双眼望遠鏡をご紹介します。

鏡筒はお客様からのご支給です。入手された時期が異なるようで、よく見ると、フォーカサーの鋳物部分の色が微妙に異なります。お客様のご希望で、アリガタ金具は右側に、パン棒と目幅調整ハンドルは左側に取り付けました。

フォーカサーはオリジナルのままですが、ストロークが30ミリしかありません。

接眼部の比較写真です。右が改造前(オリジナル状態)、左が改造後です。例によってバックフォーカスが全然足らないので改造しました。

タカハシのシステムチャートには記載がありませんが、フォーカサーと銀色のアダプターリングの間にある鋳物製の筒は取り外せます。これで一気にバックフォーカスが増えるのですが今度はありすぎで、アイピースによってはピントの出ない可能性があります。そこで、先述の銀色のアダプターリングを特注製作して交換しました。何も言わなければオリジナルと区別がつかない外観にしてあります。この特注リングのおかげで、例えばマスヤマのアイピースのように、突き当て面にピント位置があるアイピースはフォーカサーストロークのど真ん中で合焦します。別の言い方をすると、バックフォーカス長さを適切な位置に持ってくれば、フォーカサーのストロークは30ミリで十分です。

FL-102Sビノ(特注品)

お客様から特注でご依頼いただいていたビクセン製FL-102S(フローライト10cmF9)双眼望遠鏡が完成しました。

鏡筒はお客様自ら入手されて、ビノテクノへご支給くださいました。最近の鏡筒に比べると全長が長いため、クレードルの鏡筒バンド間隔も長めにしてあります。

この鏡筒、ご存じの方も多いと思いますが、実は2種類の焦点距離の製品が出回っています。ひとつは900mm、もうひとつは920mm。同じ型番の鏡筒でこういうケースは珍しいです。しかも、鏡筒側面のシールに記載されている焦点距離と、対物レンズセルに刻印されている焦点距離が異なっている鏡筒も見たことがあります。とても紛らわしいです。ただし今回ご支給いただいた鏡筒は対物レンズセルの刻印も、シールの記載もすべて同じでした。

上の写真ではクレードル側面に取り付けたアリガタ金具で架台に載せていますが、これは出来栄え確認用の載せ方です。今回のお客様はこれを大型ビデオカメラ用のカウンターバランス雲台(VINTEN製VISION8システム)に載せるご予定です。正直に言うと、こういう雲台があるのを今回はじめて知りました。メーカーは異なりますが、カウンターバランスの動きを解説したサイトがあったのでご紹介します。

カウンターバランス機能解説

この雲台に載せるため、写真には写っていませんが、クレードル下面に3/8インチカメラネジのプレートが取り付けてあります。

FL-102S鏡筒のオリジナルの接眼部は2インチアイピースが使えません。仮に使えたとしても、バックフォーカスがまったく足りません。そのため、接眼部はロープロファイルの特注アダプターリング(追加厚み13ミリ)と、2インチアイピースが使える笠井トレーディング製STマイクロフォーカス接眼部(全長45ミリ/ストローク30ミリ)で構成しました。いつもなら同じく笠井トレーディング製高機能DXマイクロフォーカス接眼部(全長62.5ミリ/ストローク70ミリ)を使うのですが、鏡筒の短縮加工を避けるため、STマイクロフォーカス接眼部を採用しました。

接眼部の比較写真です。右がオリジナルの接眼部、左が今回換装した接眼部です。オリジナルは2インチアイピースが使えないので単純な比較は無理があるかもしれませんが、アイピース突き当て面の位置を約45ミリ短くすることができました。ご希望があれば、この改造だけのご依頼も承ります。

完成後、出来栄え確認のため、ほぼ満月の月面にビノを向けてみました。コペルニクスから伸びる光条の濃淡が実に見事でしばし見とれてしまいました。すでに絶版となっている鏡筒ですが、対物レンズの優秀さは、現在出回っている高級アポにまったく引けを取りません。

EZMパーツの在庫残りわずか

EZMの金属パーツの在庫が残りわずかになりました。

早めに追加注文したつもりでしたが、思った以上に双眼望遠鏡やEZMの受注が増え、金属パーツの残りが1セット分となってしまいました(ミラーの在庫は十分あります)。しかも、従来どおりのリードタイムなら今月中に入荷する予定でしたが、加工メーカーが超多忙らしく、来年2月頃になるかもしれないという連絡がありました。

そういうわけで、加工業者さんには「なるべく早く」とお願いしていますが、これから双眼望遠鏡やEZMをご注文をいただくお客様には少しお待ちいただくことになります。たいへん申し訳ありませんが、ご了解ください。

10/7~10/9臨時休業

大変申し訳ありませんが、10/7(月)~10/9(水)の間、臨時休業させていただきます。その間の問い合わせ等の返事は10/10以降になります。あしかあらずご了解ください。

FOT104ビノ

FOT104ビノの完成写真をHPの写真紹介ページに掲載しました。

この鏡筒の旧モデル名はD104でアルマイト色がダークグリーンでしたが、新モデルではライムグリーンに変わりました。(2年前にD104ビノを製作しています)

今回お客様の強い要望で、第1ミラー(対物レンズに近い側のミラー)にラージミラー(有効径50mm)を使いました。ラージミラーの場合、ミラーが大きすぎて2インチバレル(差し込み)が使えないので、特注リングを製作しました。

この特注リングをロープロファイルに設計したおかげで、ピントに十分な余裕ができました。ナグラータイプ4-22mmでピント余裕は約20ミリあります。これだけあれば、ニコンのNAV-17HWでもピントが出ます。

通常アルマイト色が青のEZMは、今回ビノテクノからの提案で、鏡筒のアルマイト色に合わせてみました。結果はご覧の通り、美しい仕上がりになりました。

「星をもとめて」出店キャンセル

明日から開催される京都の星まつり「星をもとめて」ですが、近い身内に不幸があったので、葬儀参列のため出店をキャンセルします。楽しみにされていた方にはたいへん申し分けないのですが、どうかご容赦ください。

星をもとめて出店します

以前ブログに書いたとおり、京都で行われる星まつり星をもとめてに今年も出店します。出店時間は9/22(日)の13時から23時ぐらいまでです。9/23(月)の出店はありません。

今回はD102mmF7/EDアポ対物レンズユニット付の双眼望遠鏡化キットを1セット展示します。

これ以外にもデモで使用した機材(鏡筒含む)や余ったパーツを販売します。どうぞ気軽にお立ち寄りください。雑談歓迎です。

FOT104ビノ製作中

10センチ超高級アポFOT104(旧名D104)ビノ(特注品)の製作中スナップです。

仕様についてはまた後日詳しく説明しますが、第1ミラーと第2ミラーの間のリングと、接眼部への取り付けリングを、鏡筒と同じ明るい緑にしました。そのおかげで美しいコーディネートが出来上がりました。

胎内星まつり来訪お礼

今年の胎内星まつりが無事終了しました。今年も多くの方にご来訪いただきありがとうございました。実際に見ていただいた方には、双眼望遠鏡の楽しさが間違いなく伝わったと思います。すぐにお買い上げいただかなくても、「いつかは」と思っていただけたなら、この出店は大成功です。

昨年に続いて某天体からお忍びで来られたお客様御一行

胎内星まつり出店します

いよいよ来週末は胎内星まつり(@新潟県)ですね。先日ブログに書いたとおり、ビノテクノは出店予定です。胎内への出店は今年で3回目になります。出店時間は8/23(金)が15時ぐらいから23時ぐらいまで、8/24(土)が10時ぐらいから23時ぐらいまでです。8/25(日)の出店はありません。

今年は双眼望遠鏡化キットを2セット展示します。2セットのうち1セットはD102mmF7/EDアポ対物レンズユニット付、もう1台はD85mmF6/EDアポ対物レンズユニット付です。それぞれの見え味、大きさ、重さを体感していただきたいです。

ちなみに自宅の三重県からは電車でJR新発田駅まで行き、そこから関東在住の協力者の車に乗せてもらって会場入りします。展示機材等の荷物は明日その方宛に発送し、一緒に持ってきてもらいます。

当日会場で双眼望遠鏡が売れることはまずないので(笑)、出店経費を考えると直接的には赤字なのですが、まだ一般的な機材と言えない双眼望遠鏡を実際に見ていただきたいのと、天文マニアさんたちの生の声を聞くために今年も出店します。ぜひ気軽にお立ち寄りください。雑談歓迎です。

※ 少ししかありませんが、今年も余ったパーツを何点か即売します。

BLANCA-102EDPビノ 製作可能です

笠井トレーディングから新発売されたBLANCA-102EDP(口径10.2cm F11)を1本入手しました。F11というノスタルジックなスペックと、双眼望遠鏡素材としての興味、そして何より10万円を切る価格に惹かれたからです。

外観の印象は、思ったより大きいです。写真を見ると細長い鏡筒をイメージしてしまいますが、実際には10センチF7の鏡筒がそのまま長くなっています。考えてみたら当たり前ですね(笑)。もちろん長くなった分、重いです。

これにバーダーの2インチ天頂ミラーを使って(EZMを使わなかったのはピントが出なかったからです。詳細は後述)、月と木星を見てみました。

まずは月面ですが、「F11」という期待通り、実にスッキリした見え方です。月縁に色が付きません。そして当然シャープです。カリカリッとしたクレーター群が小気味良いです。

倍率を上げて木星を観たところ、面白いことに気づきました。手持ちのアイピースを取っ替え引っ替えいろいろ試したところ、オルソやプルーセルといったオーソドックスなアイピースとの相性が抜群でした。縞の形も、色の違いも分かりやすかったです。

一方見かけ視野の広い今どきのアイピースは軒並みぱっとしません。シーイングが悪くなったのかと勘違いするぐらい像が崩れます。これは勝手な想像ですが、これらのアイピースが設計されたのはすでに対物レンズのFが小さくなっていた時代で、小さいFに最適な設計がなされているのではとないかと思います。逆にオルソやプルーセルが設計された頃はF10以上が普通だったので、相性が良いのかもしれません。

月や木星以外の印象でいうと、特に低倍率で星像がシャープです。FPL-53を使った対物レンズと遜色ありません。星の色の表現も素晴らしく、アルビレオに向けると、もう何度も見ているはずなのに、思わず見入ってしまいます。

このように眼視性能に優れた鏡筒なので、これで双眼望遠鏡を作ってみたくなるのですが、残念ながらビノテクノ製のEZMではほとんどのアイピースでピントが出ません。唯一ピントが出たのは、パンオプティック24mmだけでした。このアイピースのピントは、アイピース取付面から対物側へ6ミリの位置にあるので、ぎりぎりピントが出ます。他のアイピースはフォーカサーをいっぱいに繰り入れてもピントが出ません。「もうちょっと」なんですが。。。

笠井トレーディングHPにも掲載されている延長筒(120mm)を外すと、今度はフォーカサーをいっぱいに繰り出してもピントが出ません。フォーカサーのストロークが92mmなので、まさに帯に短したすきに長しです。延長筒の長さが60mmぐらいならありがたかったです。

とはいっても、双眼望遠鏡にできないかといったらそうでもありません。フォーカサーを詳細に見てみると、2インチスリーブとなっているアダプターリングの厚みが20ミリもあるので、これを8ミリ程度の厚みのものに作り変えればほとんどのアイピースでピントが出ます。

クレードルについては、鏡筒径がBLANCA-102SEDと同じなので、それ用のクレードルが使えそうです。ただし鏡筒が長いので、もう少しだけ部品を足して、鏡筒バンドの間隔を広げたほうが良さそうです。

冒頭に書いたとおり鏡筒が重いので、双眼望遠鏡に仕立てたときの重さも、従来の10センチ双眼望遠鏡より重くなります。そのため、比較的剛性の高いAZ-3経緯台(笠井トレーディング)でも厳しいように思います。高倍率での使用も考えると、AZ-EQ6GT(ケンコー・トキナー)やAZマウントPro(iOptron)がお勧めです。

そういうわけで、この鏡筒での双眼望遠鏡は製作可能です。ただし特注になるので、ご注文はビノテクノへ直接お願いします。