iOptron AZマウントPro処分販売します

※ 売約済み (2020.03.27)

昨年購入して屋外デモで2回使用したiOptron製の自動導入架台AZマウントProを処分販売します。

処分価格は税込みで130,000円です。内容は以下のとおりです。

AZマウントPro本体、2インチ径ステンレス専用三脚、4.5kgカウンターウェイト

※ アリミゾ金具に少し使用感があります。

購入ご希望の方はビノテクノ宛(info@binotechno.com)にメールをください。

誘電体ミラーとBLANCA-102SEDビノ 在庫切れ

ここ最近、誘電体ミラーをオプションに指定されるご注文が増えています。開業当初は滅多に注文のなかった反射面ですが、その優れた耐久性が認知されてきたのか、最近は注文の半数以上が誘電体ミラーです。

そのおかげで誘電体ミラーの在庫がついに無くなってしまいました。次ロットはすでに発注済みですが、今のところ入荷時期が不明です。おそらく2ヶ月以上先と思われます。

そして双眼望遠鏡の完成品として販売をしているBLANCA-102SED鏡筒も、在庫切れになってしまいました。供給元の笠井トレーディングにも在庫がありません。こちらも入荷待ちです。

セール期間(3/1-4/30)中にご注文いただければ10%オフで販売させていただきますが、上記商品の場合、少し待っていただくことになります。あらかじめご了解ください。

3周年記念10%オフセール!(3/1-4/30)

おかげさまで今年の4/1にビノテクノは3周年を迎えます。それを記念して10%の値引きセールを開催いたします。対象製品は型番モデルすべてです(特注品は除きます)。期間は3月1日から4月30日までの2ヶ月間。この期間内にご注文いただければ10%オフの価格で販売いたします。販売店様からでもこの特別価格で買えます。どうぞこの機会をお見逃しなく。

60mmEDビノ(設計中)

3次元CADが実用レベルで使えるようになりました。

これまで20年以上2次元CADを使ってきましたが、一念発起して先月から独学で習得しました。これからは3次元CADで全体図を作成し、イメージや干渉の確認を行ってから、2次元CADで部品の手配図を作成する流れになります。

ちなみに今回使用した3次元CADはFusion360というアプリで、破格の安い金額で提供されていたので導入に踏み切りました。色や質感の表現ができるところも気に入っています。

さて、今回紹介している図面は、現在設計中の60mmEDビノです。

鏡筒はSolomon60EDP(アイベル)またはBLANCA-60SED(笠井トレーディング)です。硝材にFPL53が使われているため、15~18倍程度の低倍率では星像がとても小さく、小気味の良い見え方をします。

これらの鏡筒はバックフォーカスがあまりなく、私のお気に入りのナグラー・タイプ4・22ミリは残念ながら合焦しませんが、マスヤマアイピースならギリギリ合焦するので、例えばマスヤマ26mmと組み合わせれば、14X60の贅沢な双眼鏡が実現します。

このビノを、何とか30万円を切る価格で提供したいと考えて設計しました。

「6センチの双眼鏡で30万円は高い!」とお叱りを受けそうですが、このビノに使うEZMはBINOKITやBLANCA-102SEDビノにも使えるので、将来これらのビノを購入する際、EZMを流用されるならその分値引き販売するということでご容赦ください。

 

パン棒はアルカスイス規格のプレートにグリップを取り付けました。運搬時にかさばらないよう着脱可能にしてあります。

 

左側のアリガタレール(ビクセン規格またはアルカスイス規格)がアイピース側に突き出しているのは、重心が接眼部あたりになると予想しているからです。

 

コストダウンのため目幅調整は簡易的な機構にしてあります。目幅調整時は右側鏡筒下のつまみネジを緩めて鏡筒を水平移動させます。つまみネジを緩めている間は鏡筒の平行が崩れますが、締め直すと鏡筒の平行は再現します。これまでの微動機構に比べると少し面倒な使い勝手なので、基本的には「1人で使う」ことを想定しています。高精度に削り出した部品を組み合わせた構造になっているので、長年使っているうちに鏡筒の平行がずれてしまうことはありません。そもそも調整の余地がない構造なので、ユーザーによる調整も不要です。

まずはコストと使い勝手の確認のため、1台製作してみます。

ユーザーレポート(BORG107FL+BINOKIT)

先日納品したBORG107FL+BINOKITのオーナー様から、写真とコメントをいただいたので紹介させていただきます。

通常はご自宅のベランダから観望を楽しまれているとのことです。

架台はiOptronのAZマウントProです。

ピラー脚にはキャスタとアジャスタの両方が取り付けられています。

アイピース交換時のバランス取りのためのウェイトもあります。

【オーナー様からのコメント】
今のところ星が見えていれば仕事が終わってからさっと準備して
星をながめております。用意してすぐ観望できるのは屈折の良い
ところです。
単眼で観望していたときと比べると様々な不満が取り除かれ改め
て星を見る楽しみを噛み締めております。

オーナー様、写真とコメントのご提供ありがとうございました。

BORG60EDビノ(特注品)

対物レンズはすでに生産終了品となっていますが、BORG60ED鏡筒を使った双眼望遠鏡(特注品)です。

対物レンズ、鏡筒、正立ミラー(メガネのマツモト製)、アルカスイス規格のアリガタレール&アリミゾ金具はオーナー様からのご支給です。これにクレードル、持ち手、ファインダ台座、ビクセン規格のアリガタ金具を追加しました。

写真では少し分かりにくいのですが、アルカスイス規格のアリガタレールとビクセン規格のアリガタ金具は直交していて、以前このブログで紹介したパーフェクトバランスの構造にしてあります。このおかげでどの高度ポジションでもフリーストップでピタリと止まります。アルカスイス規格のアリガタレールはパン棒も代用しています。

コストダウンのため目幅調整機構は簡略化してあります。上の写真の向かって右側の鏡筒下のつまみネジを緩めると、2つの鏡筒を連結しているバーに沿って右側の鏡筒を動かすことが出来ます。いつも製作している目幅調整機構に比べると操作が不便で、しかもつまみネジを緩めている間は左右の光軸が一致しないのですが、このビノは基本的にオーナー様専用とのことなので、この構造を採用させてもらいました。下の図は鏡筒を保持しているブロックと連結しているバーのみをピックアップした図(3D CADからキャプチャした画像)です。

実はオーナー様は、今回支給していただいた部品を使って、以前双眼望遠鏡を自作されました。それが下の写真です。

市販のBORG専用鏡筒バンドとアルカスイス規格の金具をうまく組み合わせて形にされたのですが、持ち運ぶたびに鏡筒の平行が狂う不具合が多発するため、今回弊社にご依頼がありました。調べてみると、BORG専用鏡筒バンドとその下に取り付けたアルカスイス規格のアリガタ金具が正しく直角に固定できない、一旦固定できてもすぐにずれることがわかりました。これらは単眼ならまったく問題ないのですが、2本の鏡筒を平行に並べようとすると、致命的な問題です。そこで今回このBORG専用鏡筒バンドは使わず、先述のブロック構造で平行直角を確保しました。またオーナー様は鏡筒平行の調整途中で正立ミラーのミラー調整ネジも触ってしまったとのことだったので、レーザービームを使った弊社のコリメーターで再調整も行いました(思ったほど狂っていませんでした)。

完成後まずは昼間の景色で出来栄えを確認したところ、正立ミラーのXY調整を行わない状態でほぼ左右の視野が一致していました。これなら大丈夫です。

さらに昨晩弊社ベランダから夜空を観望してみました。22ミリのアイピース(16倍)でオリオン座の三ツ星が楽勝に収まる視野は爽快でした。手持ち双眼鏡より高く、10センチ双眼望遠鏡より低い倍率の楽しさを発見した気分です。

今回製作したビノの重量はアイピースを除いて3.3kg。きっと稼働率の高い機材になると思います。

FOT104ビノ&107FLビノ

先日FOT104ビノを納品したお客様から、運用状況の写真を頂いたので紹介させていただきます。

架台はPanther160、三脚はAstrophysics Eagle6です。アイピースはナグラー・タイプ4・22mm。鏡筒、アイピース、EZMと同じ緑色で統一されて美しいです。

豪華な10センチビノの競演です。左側は冒頭に紹介したFOT104ビノ、右側は1年半ほど前にご購入いただいた107FLビノ(BINOKIT試作品)です。

FOT104ビノのアイピースはNikon12.5mm(通常はEICレンズを付けて10mm相当で使用)。107FLビノのアイピースはナグラー・タイプ4・22mmです。

架台はノースマウントCT-30、三脚はMORE BLUEの50mm大型カーボン三脚です。費用はそれなりに掛かりますが、快適な観望が約束される組み合わせです。こういうチョイスはとても参考になります。

BORG107FL + Binokit

すでに納品済みですが、BORGの現フラッグシップモデル107FL対物レンズ(D=107mm, f=600mm)を双眼望遠鏡化キットに取り付けた双眼望遠鏡です。

107FLは双眼望遠鏡化キット開発時に想定していた最大の対物レンズで、こうしてあらためて組み合わせてみるとやはり格好いいです。

TOA130ビノ(完成間近)

2本目の鏡筒が到着したので載せてみました。

この状態で架台AZ-EQ6GT-Jの電源を入れて動かしたところ、最高速(レート=9)でも問題なく動きました。水平回転は言うに及ばず、垂直回転も水平ポジションから天頂観望ポジションまで、逆モーションの天頂観望ポジションから水平ポジションまで、どのポジションからでも普通に動きます。カタログスペック15kg(積載荷重)のAZ-EQ6GT-Jに推定約45kgを載せましたが、不動点を真上に持ってくればちゃんと動くことが確認できました。AZ-EQ6GT-Jのポテンシャルは高いです。架台下部の補強も相まってグラグラ感もありません。

1本あたり約12kgのTOA130NFB鏡筒で大丈夫なら、笠井トレーディングのBLANCA-130EDTII(7.6kg)、BLANCA-125SED(6.4kg)はこの方式の架台で楽勝です。これらの鏡筒なら三脚もAZ-EQ6GT-Jの付属品で十分です。

ちなみに写真のEZMは標準品です。バランス確認のため取り付けました。この関係のパーツ入荷は来月の予定です。これらがそろったらいよいよ完成です。

 

EZMカラーバリエーション対応可能です

EZMの第1ケースと第2ケースの間のアダプタリングのカラーバリエーションに対応します。今回少量ですが、無アルマイト品も仕入れました。通常は青色アルマイトですが、ご希望に応じて他の色(赤、緑、白等)のアルマイト処理を施します。鏡筒に使われている色に合わせてカラーコーディネートされたい方にお勧めします。

このカラーバリエーション対応は、特注のため直販のみの取り扱いとなります。料金はペア8,000円(税抜)増、片側のみ5,000円(税抜)増です。

EZMパーツ入荷しました

「2月になるかも」と思われていたEZMのパーツが入荷しました。お待たせしているお客様には順次組み立てて出荷していきます。以降のご注文も、HPに掲載している通り、2週間以内に出荷できます。ご注文をお待ちしています。

ちなみに最近よくご注文いただくのは、「誘電体コート仕様の片方のみ」です。反射面がタフ(ほぼ半永久的)で、かつ正立像なので、月面や惑星の、観望や撮影をされる方に好評をいただいております。

パーフェクトバランスキット

フリーストップ経緯台を使う場合、望遠鏡の重心バランス(以下、バランス)はとても重要です。スムーズに動かすため、できるだけフリクション(摩擦)を与えたくないのですが、バランスが崩れていると、ある程度のフリクションを与えざるを得ません。ノースマウントに代表されるような良質の経緯台なら、多少のフリクションを与えてもそれなりにスムーズに動かせますが、それでもフリクションは最小限にしたいものです。逆にいうと、バランスを完璧に取れば快適な観望が実現します。今回の内容は、これを解決するための、Tの字型フリーストップ経緯台用に特化した提案です。

まずバランスは、2種類あります。ひとつは鏡筒水平時のバランス、もうひとつは鏡筒垂直(天頂方向)時のバランスです。この両方のバランスを取れば、水平から垂直まですべての高度ポジションでバランスが取れていることになります。(参考→ビノテクノホームページ『使い方-バランス取り』

水平時のバランス取りは比較的容易です。鏡筒バンドに対して鏡筒取り付け位置をずらせばバランスが取れます。さらにアリミゾ金具内でアリガタ金具の取り付け位置をずらせば微調整ができます。

問題は垂直時のバランスです。ビノテクノも含めたメーカー側は、一応「当たらずとも遠からず」の位置に重心を設定していますが、使うアイピースやファインダーの重さで重心位置が変わります。この重心位置は割と微妙で、5ミリ変わるとバランスが崩れたりします。一部のユーザー様はこのためのバランスウェイトを自作で取り付けていらっしゃいますが、取り付けずに済むなら取り付けたくないはずです。

そこでひとつめの提案です。今回こういうものを作ってみました。

ご覧のとおりシンプルな構造です。アリミゾ金具の背面にアリガタ金具を90度回転させて取り付けたものです。これを経緯台に取り付けます。水平時のバランスは写真手前側のアリミゾ金具と望遠鏡のアリガタ金具の位置で微調整します。垂直時のバランスは写真背面側のアリガタ金具と架台のアリミゾ金具の位置で微調整します。

これで水平時も垂直時もバランスが取れるのですが、実際の運用ではもう一つ困ったことがあります。それは、重さの異なるアイピースに交換すると、せっかく合わせたバランスが再び崩れてしまうことです。このため一部のユーザー様は、最も重いアイピースと同じ重さになるよう、ウェイト代わりの金属リングを軽いアイピースに抱かせて運用されています。これはこれでひとつの解決方法ですが、手間とコストがかかります。

そこでふたつめの提案です。使うアイピースを2種類(多くの場合、重い低倍率用のアイピースと軽い高倍率用のアイピース)に限定し、両方ともあらかじめ望遠鏡に載せておく方法です。載せる位置も、できるだけ同じ位置にしておきます。そうしないと意味がないからです。下の写真は、実際に製作した試作品です。(冒頭に紹介したアリガタ/アリミゾ金具も取り付けてあります)

ちなみにパン棒の素材は工業用アルミフレームです。グリップエンドには持ちやすいように円弧状断面のゴム(元々は滑り止め用パーツ)が埋め込んであります。

実際にこの2つのアイテム(「アリミゾ/アリガタ金具」と「アイピースホルダ付きパン棒」)を取り付けることで、完璧なバランスが取れるようになりました。特に「アリミゾ/アリガタ金具」は、双眼望遠鏡に限らず有用です。

ただし実際の運用では、アリミゾとアリガタ金具の位置調整を毎回行うのは煩雑です。一度バランスを合わせたら、その位置をシールか何かでマークしておく方法がよいと思います。

そういうわけでまずはビノテクノ直販でこの2つのアイテムを販売します(注文が多くなった場合は型番モデル化して販売店様からでも購入できるようにします)。品名、仕様、価格は次のとおりです。

品名:パーフェクトバランス金具(上記のアリミゾ/アリガタ金具)
仕様:ビノテクノ製ロスマンディ互換幅アリガタプレート
   笠井トレーディング製KASAI大型アリミゾ金具
価格:24,000円(税込価格26,400円)

品名:マルチパーパスパン棒(上記のアイピースホルダ付きパン棒)
仕様:BINOKIT-BORG専用
   アイピースホルダ穴は2インチサイズ
価格:22,000円(税込価格24,200円)
※ BINOKIT-BORG以外用も特注として承ります。

TOA130ビノ(製作中)

タカハシTOA130NFB鏡筒を使った双眼望遠鏡(特注品)です。まだ製作途中ですが、ある程度形になってきたので紹介させていただきます(見苦しい背景ですみません)。

三脚はタカハシ製EM400用メタル伸縮三脚、架台はケンコー・トキナー製AZ-EQ6GT-Jを流用したものです。もう1本の鏡筒は入荷待ち、EZMも特注パーツの入荷待ちのため取り付けてありません。

当初AZ-EQ6GT-J付属の三脚使用を検討しましたが、オーナー様の希望もあってこの三脚にしました。単体で見ると過剰に思える太さですが、こうして組み上げてみると違和感がありません。

写真の左下方の大きく伸びた部材は40mmX120mmの工業用アルミフレームです。三脚に当たらないギリギリの長さにしてあります。写真ではバランスウェイトが1個(5kg)取り付けてありますが、最終的には3個(計15kg)でバランスする計算です。

工業用アルミフレームに対してバランスウェイトが写真手前側にオフセットしてあるのは、鏡筒バンドに接眼部を近づけたかったからです。TOA130鏡筒を持ったことがある方は分かると思いますが、対物レンズがとても重いため、鏡筒の重心がずいぶん対物レンズ寄りになっています。この重心に鏡筒バンドを取り付けると、鏡筒バンドと接眼部が離れ、結果として、望遠鏡の上下の向きが変わると接眼部の高さが大きく変わってしまいます。これを避けるためのバランスウェイトのオフセットです。

鏡筒バンドはいつも通りの構造です。ボルト(写真では写っていません)を締めると上側のレバーが内側に寄って鏡筒をクランプします。

写真の右側の鏡筒バンドが固定側、左側が可動側です。左端のツマミを回すと可動側の鏡筒バンドが左右に動いて目幅調整できます。

外からは見えませんが、鏡筒平行に関わる部品の合わせ面にはすべて位置決めピンが埋めてあります。

鏡筒バンド下に位置しているベースプレートと架台本体の間に数十ミリの隙間があり、本当はもっと詰めたいところですが、望遠鏡が天頂を向くと本体正面パネルに取り付けられているケーブル類(写真では外してあります)と干渉するので、やむなくこの隙間が設けてあります。

それにしてもこのクラスの鏡筒(1本約13kg)になると問題は架台です。今回オーナー様は「自動追尾&自動導入」を強く希望されました。自動追尾&自動導入が可能で、この荷重(ウェイトを含めた総重量約50kg)に耐えられる市販の架台はそれほど選択肢がありません。私の知る範囲では海外製のPantherTTS-300ぐらいです。ただしこの架台は日本に代理店がないので、故障した場合のサポートに不安があります(お値段もそれなり)。そこで今回はAZ-EQ6GT-Jを補強して使うことにしました。具体的には架台下部のフォーク部品(下の写真)を取り去り、アルミの厚板でサンドイッチして三脚に固定してあります。この構造のおかげで、少なくとも鏡筒を1本載せた状態ではグラグラ感がまったくありません。

このフォーク部品をそのまま使った場合の問題点は2つあります。ひとつは、経緯台モードの場合、不動点(水平軸と上下軸が交わる点)が三脚中心の真上に来ないこと。もうひとつは、フォークの剛性が邪魔をして架台回転部を強固にクランプできないことです。もちろんこれらは、カタログスペック(片持ち15kg)を満足させることに対してはまったく問題ありません。今回は超過剰な使い方をするのでこのような補強をしました。

この状態(鏡筒1本の状態)で架台の電源を入れて動かしたところ、最大速度(RATE=9)でも問題なく静かに動きました。もっとも、この状態で推定総重量は30kg弱ですから、これで無理があるようなら話になりません。

また、機能とは直接関係ありませんが、今回は架台の白色を意識して、アルミ部品は全て白色アルマイトに統一しました。

完成は2月以降になると思いますが、出来上がり次第またこちらに報告させていただきます。

FC-100DCビノ(特注品)

ここのところ特注のご依頼が続いています。今回はタカハシ製FC-100DC(フローライト10cmF7.8)双眼望遠鏡をご紹介します。

鏡筒はお客様からのご支給です。入手された時期が異なるようで、よく見ると、フォーカサーの鋳物部分の色が微妙に異なります。お客様のご希望で、アリガタ金具は右側に、パン棒と目幅調整ハンドルは左側に取り付けました。

フォーカサーはオリジナルのままですが、ストロークが30ミリしかありません。

接眼部の比較写真です。右が改造前(オリジナル状態)、左が改造後です。例によってバックフォーカスが全然足らないので改造しました。

タカハシのシステムチャートには記載がありませんが、フォーカサーと銀色のアダプターリングの間にある鋳物製の筒は取り外せます。これで一気にバックフォーカスが増えるのですが今度はありすぎで、アイピースによってはピントの出ない可能性があります。そこで、先述の銀色のアダプターリングを特注製作して交換しました。何も言わなければオリジナルと区別がつかない外観にしてあります。この特注リングのおかげで、例えばマスヤマのアイピースのように、突き当て面にピント位置があるアイピースはフォーカサーストロークのど真ん中で合焦します。別の言い方をすると、バックフォーカス長さを適切な位置に持ってくれば、フォーカサーのストロークは30ミリで十分です。

FL-102Sビノ(特注品)

お客様から特注でご依頼いただいていたビクセン製FL-102S(フローライト10cmF9)双眼望遠鏡が完成しました。

鏡筒はお客様自ら入手されて、ビノテクノへご支給くださいました。最近の鏡筒に比べると全長が長いため、クレードルの鏡筒バンド間隔も長めにしてあります。

この鏡筒、ご存じの方も多いと思いますが、実は2種類の焦点距離の製品が出回っています。ひとつは900mm、もうひとつは920mm。同じ型番の鏡筒でこういうケースは珍しいです。しかも、鏡筒側面のシールに記載されている焦点距離と、対物レンズセルに刻印されている焦点距離が異なっている鏡筒も見たことがあります。とても紛らわしいです。ただし今回ご支給いただいた鏡筒は対物レンズセルの刻印も、シールの記載もすべて同じでした。

上の写真ではクレードル側面に取り付けたアリガタ金具で架台に載せていますが、これは出来栄え確認用の載せ方です。今回のお客様はこれを大型ビデオカメラ用のカウンターバランス雲台(VINTEN製VISION8システム)に載せるご予定です。正直に言うと、こういう雲台があるのを今回はじめて知りました。メーカーは異なりますが、カウンターバランスの動きを解説したサイトがあったのでご紹介します。

カウンターバランス機能解説

この雲台に載せるため、写真には写っていませんが、クレードル下面に3/8インチカメラネジのプレートが取り付けてあります。

FL-102S鏡筒のオリジナルの接眼部は2インチアイピースが使えません。仮に使えたとしても、バックフォーカスがまったく足りません。そのため、接眼部はロープロファイルの特注アダプターリング(追加厚み13ミリ)と、2インチアイピースが使える笠井トレーディング製STマイクロフォーカス接眼部(全長45ミリ/ストローク30ミリ)で構成しました。いつもなら同じく笠井トレーディング製高機能DXマイクロフォーカス接眼部(全長62.5ミリ/ストローク70ミリ)を使うのですが、鏡筒の短縮加工を避けるため、STマイクロフォーカス接眼部を採用しました。

接眼部の比較写真です。右がオリジナルの接眼部、左が今回換装した接眼部です。オリジナルは2インチアイピースが使えないので単純な比較は無理があるかもしれませんが、アイピース突き当て面の位置を約45ミリ短くすることができました。ご希望があれば、この改造だけのご依頼も承ります。

完成後、出来栄え確認のため、ほぼ満月の月面にビノを向けてみました。コペルニクスから伸びる光条の濃淡が実に見事でしばし見とれてしまいました。すでに絶版となっている鏡筒ですが、対物レンズの優秀さは、現在出回っている高級アポにまったく引けを取りません。