新対物レンズ単眼仕様


先日紹介した新対物レンズの単眼仕様を実際に作ってみました。構成内容はこちらをご覧ください(構成内容に少し変更があったので訂正しておきました)

この鏡筒の重量は、アイピースを除いて4.6kgです(鏡筒バンド、アリガタ金具含む)。

またFPL53素材を使っているので、商品ページに表記してあった”ED”はすべて”SD”に変えました。

この対物レンズの見え味ですが、このスペックを裏切らない見え方です。星像がシャープであることは言うまでもありませんが、特筆すべきは、星の色がとてもわかり易いことです。例えばトラペジウムの4つの星の色の違いがはっきり分かります。これはこの対物レンズが優秀であることを示す特長のひとつです。

前回の紹介で言い忘れたのですが、今回の対物レンズのリリースはかなり気合が入っています。FPL53素材使用かつ3枚玉なので、仕入れ金額もそれなりでしたが、無難なスペックではインパクトがないと考えて、今回このモデルを用意しました。ビノテクノの本気度を感じていただければ幸いです。

アルミパーツ加工承ります

双眼望遠鏡と関係のないアルミパーツの加工も承ります

これまで特に宣伝してこなかったのですが、依頼先が少なくて困っていらっしゃる方が意外と多いようなので、あらためてご案内します。想定しているアルミパーツは以下のようなものです。

例:鏡筒取付用サブプレート,架台とピラー/三脚の接続アタッチメント、接眼部まわりの接続リング等

ただし一品物(いわゆるワンオフ品)になるので、市販のパーツより高くなります。したがって、市販のパーツが手に入るなら、そちらのご利用をお勧めします。あくまで市販品では解決できないときのための有償サービスです。

ご依頼から納品までの流れは次のとおりです。

  1. お客様からビノテクノへご依頼
    「**と**を接続したい」とか、略図付きで「こういったパーツの加工を依頼したい」というご要望をお知らせください。
  2. ビノテクノにて手配図面作成
    ご要望を確認して手配図を作成します。その際、寸法や形状の確認のため、相手側(鏡筒や架台)をお借りする場合があります(送料はお客様負担)。
  3. ビノテクノから加工業者に見積依頼
    ビノテクノと取引のある機械加工専門の業者から見積を取ります。
  4. ビノテクノからお客様へ見積提出
    上記見積にビノテクノの手数料を加えて見積を提示いたします。
    手数料は、業者見積が1万円未満の場合、1回あたり一律2,000円、1万円以上の場合は業者見積の20%になります。

    ここまでは無償対応いたします。金額が折り合わない場合はキャンセルしていただいてかまいません(値引き交渉はご容赦ください)。

  5. お客様からビノテクノへ代金振り込み
    金額をご了解いただいたら代金の振り込みをお願いします。この振り込みをもって正式発注になります。
  6. ビノテクノから加工業者に発注
  7. ビノテクノからお客様へ納品
    正式発注をいただいてから概ね一ヶ月以内で納品できます。
    送料はお客様にてご負担をお願いします(着払いで発送します)。

    流れは以上です。どうぞ気軽にご相談ください。

デモ品&在庫品処分セール

作業場が手狭になってきたので、下記の通り処分セール(直販のみ)を行います。金額はすべて税別です。

  1. CRDL-mini試作品 1セット 40,000円(新品価格 58,000円)
    売約済み(2021.12.20)
    ※ アルミフレーム外観にいくつかスリ傷があります。
  2. EZP試作品左右ペア 1セット 30,000円(新品価格 56,000円)
    売約済み(2021.12.20)
    ※ 左目用EZPの底面に加工穴が3箇所あります(光が漏れないよう処置済み)。
  3. BLANCA-60SED鏡筒 デモ品 2本 46,000円/本 (新品価格 58,000円/本)
    ※ 目立つ傷はありません。1本単位で販売します。

    写真は笠井トレーディングHPより
  4. BLANCA-72SED鏡筒 デモ品 2本 54,000円/本 (新品価格 68,000円/本)
    売約済み(2021.12.20)
    ※ 目立つ傷はありません。1本単位で販売します。

    写真は笠井トレーディングHPより
  5. BLANCA-72SED鏡筒 新品 2本 61,200円/本 (新品価格 68,000円/本)
    売約済み(2021.12.22
    ※ 未開封品です。1本単位で販売します。

    写真は笠井トレーディングHPより
  6. BLANCA-102EDP鏡筒 デモ品 1本 78,000円 (新品価格 98,500円)
    売約済み(2022.03.14
    ※ 目立つ傷はありません。

    写真は笠井トレーディングHPより

CRDL-mini+BLANCA-60SED

小型簡易クレードルCRDL-miniにBLANCA-60SEDを載せてみました。

BLANCA-60SEDに付属している鏡筒バンドは、アリガタ金具への取り付けを想定していないので、以前販売していたBINO-60ED用のパーツ(鏡筒バンド)を流用してアリガタ金具を取り付けました。

この構成例の金額は下記のとおりです(すべて税別)。

クレードル:CRDL-mini 58,000円
正立プリズム:EZP-P 56,000円
鏡筒(2本):笠井トレーディング BLANCA-60SED 116,000円
鏡筒バンド+アリガタ金具(鏡筒2本分):8,000円
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合計 238,000円

ご不明な点があれば気軽にお問い合わせください。

TSA120ビノ

先日納品したTSA120ビノ(特注品)を紹介させていただきます。


鏡筒はタカハシTSA120(D120mmF7.5 3枚玉アポクロマート)です。左側に同架しているのはBINO-60EDです。オーナー様のご要望で、鏡筒バンドの色を青色にそろえました。同様にEZMの中間リングは白色にそろえました。


架台本体はアイベル・ノースマウントCT-30です。右側に同架しているのはStarsense Exploreです(お客様よりご支給)。そのすぐ下に見えている、右側に突き出た機構は目幅調整です(右側鏡筒が平行に移動します)。

架台フレームは先日紹介したBK150750ビノと同じ逆ブランコ方式です。この方式のよいところは、架台本体に偏荷重がかからないところにあります。バランスウェイトを含めれば総重量50kg以上あるはずですが、剛性に不安はまったくありません。

両サイドに、上から下に垂れている黒い角柱は工業用アルミフレームです。メインのバランスウェイトの位置は、このアルミフレームの溝に沿って変えることができます。


パン棒に仕込んであるのは1kgのバランスウェイトです。この位置はアイピース交換時に動かします。

また言うまでもなく、メインのバランスウェイトが観測者側にオフセットしてあるのは、鏡筒を前にオフセットするためです。


オーナー様のお住まいは街なかと伺っていますが、ベランダからの見晴らしはよさそうです。

CRDL-mini(小型簡易クレードル)の微動ステージ機構

先日発売を開始したCRDL-mini(小型簡易クレードル)の微動ステージ機構(鏡筒の平行調整用)について、ある方から「どうやって2枚のプレートだけで上下と左右の調整を行っているのか?」というご質問をいただきました。鋭いご質問です。

ベタに考えれば一番下にベースプレート(基準プレート)、その上に上下揺動プレート、さらにその上に左右スイングプレートの3枚必要です(上下と左右の順番は逆でも可)。ところがそうしてしまうと、この部分の厚みが増して、クレードルが大柄になってしまいます。それを避けるため、工夫を加えて2枚で済むようにしました。

その工夫の内容を、写真で紹介させていただきます。


まずは鏡筒を取り付けるためのアリミゾ金具を外した状態です。


さらに上のプレートを外した状態です。見えているのがベースプレートです。両サイドに載っているのは鋼球(スチールボール)です。この鋼球は円弧状の彫り込みに収まっています。


この写真は、上のプレートを裏面から見たものです。両サイドのすり鉢状の彫り込みが、上述の鋼球を上から保持します。左右の微調整ノブを回すと鋼球はベースプレートの円弧状の彫り込みに沿って動くので、上のプレートはその円弧中心を仮想中心としてスイングします。

さらに上下調整ノブを回すと、今度は鋼球を支点にして上のプレートが揺動します。

つまり今回の工夫は、上下2枚のプレートの間に2個の鋼球をはさみ、さらにその鋼球の軌道を円弧状にしたことです。この工夫で、この機構は2枚のプレートで済んでいます。


最後に上下調整用ノブに仕込んであるパーツも紹介しておきます。写真の左端から、左2枚が球面座金(凸と凹)、次の3枚がスラストベアリング、次がスペーサー、最後がノブ本体です。スラストベアリングがあるおかげで、ロック状態からアンロックする操作がとてもやりやすくなっています。

BK150750ビノ

先日納品したBK150750ビノ(特注品)を紹介させていただきます。


鏡筒はスカイウォッチャー製BK150750(D150mmF5アクロマート)です。


接眼部は笠井トレーディングV-POWERII(S)です。鏡筒チューブと接眼部をつなぐリングは特注アルミパーツです。ストロークの長いV-POWERII(L)を使わずV-POWERII(S)を使った理由は口径食の回避です。事前にCADで確認したところ、Lは長いドロチューブで口径食を起こすので、ストロークの短いSを採用しました。

EZMは対物側もノーマルサイズのミラーで、接眼部との接続は2インチバレルです。鏡筒間ピッチが広いので、第1ミラーと第2ミラーの間に延長スペーサが設けてあります。


クレードルのみの写真です。基本的にオーナー様しか使わないので、目幅調整機構は思い切って簡略化しました。

その部分のクローズアップです。片側の鏡筒バンドのみ、キー(精密な寸法で仕上げられたステンレス製角材)に沿って動かせる機構にしてあります。長穴に取り付けられているボルトを緩め、あらかじめオーナー様の目幅に合わせて動かし、再度ボルトを固定します。この鏡筒バンドはキーに沿ってしか動かないので、どの位置でボルトを固定しても左右の平行が崩れることはありません。

当然ながら目幅調整は煩雑ですが、一度合わせたらまず変更することはないとのことだったので、コストダウンのため、割り切ってこういうシンプルな機構にしました。

以下はオーナー様からいただいた写真とメール抜粋です。


※ ビノテクノコメント:架台はiOptron AZマウントPro、逆ブランコ方式のブラケットはリンクス製です。今回はこの逆ブランコ方式ブラケットのトッププレートを換装する形で改造を行いました。

15cmビノにての初観望を行いました。
素晴らしい!のひと言に尽きます。
特に散開星団は圧巻です。
やはり口径がものをいうのですね。

既にボーグ107ビノを所有しており、その見え味には満足しているのに更に15cmビノが自分に必要なのかと、かなり悩みましたが、作っていただいて本当に良かったというのが今の正直な気持ちです。

また、軽量化を図っていただいたお陰でマウントとの相性もバッチリでした。

15cmビノと架台のマッチングについて追記させていただきますと、口径に対して鏡筒長が短いこともあり、しっかりとバランスさえ取られていれば観測中に気になるようなふらつきはありませんでした。

大変お世話になりまして、ありがとうございました。

※ ビノテクノコメント:オーナー様、こちらこそありがとうございました。出来上がりにご満足いただけて、とてもうれしく思っています。目幅調整機構の簡略化等、ご自身の使い方に合わせてシンプルな仕様を採用されたことは、とても賢明なご判断と思います。

新製品「BINOKIT用10.2cm3枚玉SD対物レンズユニット」

今年6月に販売終了となった10.2cm2枚玉に代わるBINOKIT用対物レンズユニットとして、3枚玉SDアポクロマートを販売開始いたします。

口径:102mm
焦点距離:714mm (F7)
レンズ枚数:3枚
FPL53使用
価格:税別 276,000円/2本

旧モデルより高くなっていますが、それでもこのスペックでこの価格はたいへんお値打ちです。これとBINOKITを組み合わせた税別価格は、

BINOKIT本体(アルミコート仕様) 248,000円
10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニット(2本) 276,000円
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合計 524,000円

となります。接続リングやフードリングがEZMの中間リングと同じ色にしてあるので、見た目もおしゃれです。写真紹介コーナーも併せてご覧ください。

またこの対物レンズユニットは単品でも販売いたします(税別138,000円)。これにBORG製80Φ鏡筒や鏡筒バンド、接眼部を取り付ければ単眼の望遠鏡になります。

構成例:(価格はすべて税別)
10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニット(1本) 138,000円
BORG 80ΦL100mm鏡筒BK【7101】 5,905円(2021.12.28訂正)
BORG 80ΦL25mm鏡筒BK【7026】 4,286円(2021.12.28追加)
BORG アダプター7801 4,287円
笠井トレーディング V-POWERII接眼部(L) 34,500円
笠井トレーディング BORG互換アダプター 3,800円
MORE BLUE 内径80mm鏡筒バンドTB017 9,546円
MORE BLUE アリガタ金具AU003 3,182円
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合計 203,506円(2021.12.28訂正)

一般的にFPL53を使った10センチ3枚玉アポ鏡筒は30万円以上しますから、いかにお値打ちかご理解いただけると思います。ご希望があればビノテクノですべてパーツを調達していたします(このサービスはビノテクノ直販のみ)。

また、上記の構成例でもわかるように、すでにBORG80Φシリーズの機材をお持ちの方にもご利用いただける仕様となっています。追加する対物レンズの選択肢としてご検討ください。