TOA150ビノ

先月納品されたTOA150ビノです。元請けはアイベル様、架台と全体調整は中央光学様、EZMとクレードルのみビノテクノが担当しました。下の写真は、出荷直前の状態です。中央光学様の社屋内で撮影しました。

EZMは銀ミラーの特注品。対物側のミラーはラージサイズです。

架台は25センチ用フォークをベースにした経緯台とのことです。架台が大きいのでTOA150鏡筒(1本あたり約15kg)が小さく見えます。

天頂ポジションでの見易さに配慮して、上下軸は水平軸に対して少しだけオフセットしてあります。さすがは中央光学様、配慮が行き届いています。

クレードルの目幅調整機構はいつもの構造です。鏡筒バンドを含めると片側だけで20kg近くあるはずですが、目幅調整ハンドルを回すと、ストレスなくスルスル動きます。

ビノテクノは設置作業に参加していないので、この写真はアイベル様から提供していただきました。お客様観測所に設置完了されたTOA150ビノの勇姿です。これで見る星空はどれほどのものかと、想像するだけで興奮します。

ユーザーレポート(TOA130ビノ)

以前納品したTOA130ビノのオーナー様からユーザーレポートをいただきました。紹介させていただきます。

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5月に納品いただいたTOA-130NFBビノですが、夕空の金星に少し向けたきりに長い梅雨が来てしまい、しばらく使えず、今になってやっと一通り使ってみることができました。

月と惑星を心ゆくまで楽しみたいという希望から望遠鏡選びを始め、色々な候補から最終的に選んだTOA-130NFBビノですが、期待や想像を遥かに超える景色を見せてくれています。

月を見たときには度肝を抜かれました。LE-50(20倍)で全景を眺めると、まるで自分が宇宙に飛び出して、月に近づいて見ているかのような圧倒的な臨場感とコントラストです。これまでそれなりに多くの望遠鏡を覗いてきたつもりですが、その中で間違いなくダントツの1番でした。気流が悪くなると自分と月のあいだを空気の塊が流れていくのが容易に分かり、両目で眺めている没入感と相まって、まるで自分が地球代表となって宇宙を見上げているような感覚に陥ります。

TAK-3.3UW(303倍)は双眼で使うと鼻がぶつかって見かけ視界が75度ほどに制限されますが、強烈にシャープな中心像と広い視野で、しかも像劣化の僅少なミラー反射像で、おまけに双眼なのでこれ以上ない好条件です。陰影の出にくい満月でも、山脈を追っていくだけで全然飽きません。詳細な月面地図と照らし合わせて一つひとつの地形をじっくり時間を掛けて追っていきたいと思います。

TAK-3.3UWで月を見るとき、アイポイントよりもわずかに目を上方にずらすと色収差が発生し、大気色分散をうまく打ち消せるポイントがあります。その眼位置で月を眺めるのがコツだと思っています。

このアイピースは、鏡筒を単眼で使ったときにも楽しめるように…と思い奮発して購入したものでしたが、この月を見てしまうと、単眼で使う日は来ないかもしれません。面倒でも双眼にして使いたくなります。

とはいえ、単眼と双眼を比べると、設置の面倒さは架台部分の差くらいです。クレードルに鏡筒を載せるだけで光軸がほとんど正確に揃うので、右側ミラー裏のツマミで微調整を掛ければすぐに使えます。筒先の向き(高度)が変わると両目の像がわずかにずれますが、先のツマミで5秒もあれば調整できるので、まったく問題になりません。目幅調整機構は軽い力でスルスルと動かせ快適です。運用面では、単眼と比較したデメリットは「架台が重くなる」だけだと感じています。

※今回ご用意いただいた架台は、高速駆動時のモーター音が周囲の雑音にかき消されやすいタイプで、マンションのベランダでも安心して使えました。

TOA-130NFBビノでは惑星や銀河、星雲なども見ていますが、感想を書き始めるときっと止まらないのでやめておきます。とにかく、高倍率でもじっくり眺めていたいという欲求から自動追尾経緯台を選んだのは大正解でした。

まだ少ししか使えていませんが、今の私の思う双眼望遠鏡の最大のメリットは「初見で取り込める情報量が単眼よりも多い」ことだと感じています。双眼で見えた模様は、その後単眼で見直せばきちんと確認できます。しかし、パッと覗いた瞬間にどれだけの情報を取り込めていたか?の差が双眼と単眼では明らかで、その差が双眼望遠鏡に独特の感動を生ずるのではないかと思います。

これからこの望遠鏡を使い続け、10年、20年後にどのような感想を抱くようになっているのか分かりませんが、ひとまず滑り出しとしては順調です。これからもっと星の世界を楽しんでいきたいと思います。素晴らしいきっかけを与えてくださり、どうもありがとうございました。

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オーナー様、こちらこそ感動のおすそ分けをありがとうございました。「地球代表」の表現はとても素敵です。双眼望遠鏡で月面を見ていると、たしかにそんな気持ちになりますね。どうぞ引き続き観望をお楽しみください。

※ 納品前の画像です。

BINOKIT-BORG + 10.2cm対物ユニット デモ機 処分販売します

※ 売約済み(2020.09.06)

デモで使用したBINOKIT+10.2cm対物レンズユニットを処分販売します。EZMは新品に換装します。接眼部は写真の通りV-Power IIです。

販売価格はアルミミラー仕様で318,000円(税別)です。

通常の販売価格は398,000円(税別)なので約2割お得です。

誘電体ミラー仕様、銀メッキ仕様に変更ご希望の方は14,000円(税別)の増額になります。

ファインダー台座、パン棒は別売です。

架台、アリミゾ金具は付属しません。

購入ご希望の方はビノテクノ宛(info@binotechno.com)にメールをください。

60mmEDビノ試作機(1台) 処分販売します

※ 60mmEDビノ試作機売約済み(2020.09.25)

※ アイピース売約済み(2020.09.05)

※ バラ売り、および価格見直しました(2020.09.04)

以前このブログで紹介した60mmEDビノ試作機1台と、デモで2回ほど使用したMasuyamaアイピース26mm85°を2本、処分販売します。

60mmEDビノ試作機(1台) 178,000円(税別)

※ 型番モデル品の通常販売価格は248,000円(税抜)です。

※ 60mmEDビノ試作機のEZMはアルミミラー仕様の新品に換装します。

※ 誘電体ミラー仕様、銀メッキ仕様に変更ご希望の方は14,000円(税抜)の増額になります。

※ ブログに書いたとおり、この試作機のピント余裕は、Masuyamaアイピース26mm85°に対して1mmほどしかありません。ご注意ください。

※ アリガタ金具はクランプ痕が多数あります。

※ 架台、アリミゾ金具は付属しません。

 

Masuyamaアイピース26mm85°(2本) 1本あたり22,800円(税別)

※ 新品の市販価格は28,800円(税別)です。

※ 1本のみの購入でもかまいません。

 

購入ご希望の方はビノテクノ宛(info@binotechno.com)にメールをください。

60mmEDビノ 発売開始!

今年のはじめから準備を進めていた60mmEDビノの販売をいよいよ開始します。

鏡筒はビノテクノオリジナルですが、対物レンズは笠井トレーディング製BLANCA-60SEDと同じ、FPL53+ランタン素材を使った2枚玉EDアポクロマート(D=60mm, f=360mm)です。バックフォーカスが168mmあるため、ほとんどのアイピースでピントが出ます。広視野&長焦点(=低倍率)の良質アイピースと組み合わせれば、同口径の手持ち双眼鏡とは一線を画した星空観望が楽しめます。「6センチの双眼鏡で20数万円!?」と思われるかもしれませんが、針で突いたような星々の中にくっきりと浮かび上がるメシエ天体を見れば、この価格に納得していただけるはずです。

ご覧の通りコンパクトで軽量(4.7kg)なので持ち運びも容易です。気軽な星空観望や、写真撮影の合間の息抜き観望にお勧めです。

なお、価格を抑えるため、目幅調整機構は簡易的な機構にしてあります。他のビノテクノ製品のような微調整機構はありません。片方の鏡筒底面にあるクランプネジを緩めて鏡筒を左右にスライドさせる方式です(写真はこちら)。当然目幅調整に少し時間がかかります。したがって、多数の人が見る観望会には向きません。パーソナルユースが前提の双眼望遠鏡です。

誘電体ミラー入荷しました

3月に在庫切れとなっていた誘電体ミラーが先日やっと入荷しました。この間にご注文いただいていた分のバックオーダーは今週中に解消する見込みです。

来週以降、誘電体ミラーの商品も通常通り2週間以内に納品できますので、みなさまからのご注文をお待ちしています。

また笠井トレーディング製鏡筒BLANCA-102SEDを使ったセット商品も、2週間以内に納品できる状況になりました。こちらについてもご検討よろしくお願いします。

タカハシFC-100Dシリーズ用クレードル 型番モデル化!

タカハシFC-100Dシリーズ鏡筒用のクレードルを型番モデル化しました。型番名は CRDL-95 といます(末尾の”95″は鏡筒外径を指します)。

これまでもこのサイズのクレードルは特注で製作してきましたが、注文が多いのでパーツの大量発注によるコストダウンを図って型番モデル化しました。販売価格は従来モデルと同じ150,000円(税別)です。

例えばタカハシFC-100DZ鏡筒とこのクレードル、そしてEZMを購入していただければ、そのまま双眼望遠鏡になります。FC-100DZの場合、バックフォーカス確保のための鏡筒短縮加工は不要です。

また、クレードルは単体で左右の平行が確保されているので、鏡筒とEZMを組み立ててからの左右の平行調整は不要です。

さらに、すでにビノテクノ製EZMペアをお持ちの方は、そのまま流用できます。

タカハシFC100Dシリーズで双眼望遠鏡をご検討の方は、ぜひこのクレードルをご利用ください。

※ 今回の型番モデル追加に合わせて、従来モデルのCRDL-CAPRI102の型番名をCRDL-105に変更しました。

ユーザーレポート(BINOKIT+8.5cm対物レンズ,キャリーバッグ)

先月このブログで紹介した方とは別のオーナー様から写真をいただいたので、紹介させていただきます。

双眼望遠鏡はBINOKIT+8.5cm対物レンズユニット、架台はスカイウオッチャーのAZ-EQ5GTです。この架台のアリミゾ金具はビクセン規格なので、BINOKITのアリガタレールもビクセン規格に変更しました。通常はロスマンディ規格のアリガタレールを標準装備して納品していますが、8.5cm対物レンズは比較的軽いので、ビクセン規格のアリガタレールなら耐えられると判断してオプション取り付けしました。ウェイトシャフト側に取り付けてあるのはバッテリー電源です。

その電源部分のクローズアップです。電動工具用バッテリー(マキタ 18V 6.0Ahリチウムイオン電池)と、それをDC12Vに変換するアダプターです。こういうアダプターがあるとは私(服部)もはじめて知りました。

このオーナー様には、よく行くお気に入りの観測地があるそうですが、そこへは車から降りて数百メートル歩く必要があるため、楽器用のバッグ内にビノが固定できるようインナーを工夫して、キャリーバッグを自作されました。

これはバックの底に入れる部分です。

ビノの底面にはバッグ内固定用のアリガタレール(ノーザンクロス製)が取り付けられています。このアリガタレールはオーナー様が調達されましたが、新たな穴開け無しで取り付けられたそうです。

ビノを固定するとこんな感じになります。

フード部分にウレタンフォーム(?)のスペーサをかぶせ、

フタ(ベニヤ板)、さらにアイピースケースを載せます。これらが実際にはバッグに入ります。

最後はこんな感じになります。

この対物レンズとの組み合わせはかなりコンパクトになるので、今回のオーナー様のご希望にぴったりだったとのコメントもいただきました。オーナー様、写真とコメントのご提供ありがとうございました。

Masuyamaアイピース処分販売します

※ 売約済み (2020.05.12)

昨年購入して屋外で2回ほど使用したアイピース、Masuyama 20mm 85°を2本、処分販売します。外観に目立つ汚れや傷はありません。ほぼ新品同様です。

処分価格は税込み、送料込み、2本で、46,000円です(新品価格は税込み56,760円)。現時点でバラ売りのご希望はご容赦ください。

購入ご希望の方はビノテクノ宛(info@binotechno.com)にメールをください。

ユーザーレポート(BINOKIT+8.5cm対物レンズユニット)

先日納品したBINOKIT+8.5cm対物レンズユニットのオーナー様から、写真とコメントをいただいたので紹介させていただきます。架台はiOptron製AZマウントProです。反対側にはコーワ製スポッティングスコープを同架されています。

【オーナー様からのコメント】
双眼望遠鏡は初めてでものすごく敷居の高いイメージを持ってた
のですが、目幅調整と、右側EZMのXY調整の簡単さと使い易さに
感動しております。

特に私はサブスコープで単眼併用で、単眼で暫く見た後、双眼を
見ると像が暫く一致しないのですが(ビノテクノ注:オーナー様に
確認したところ、単眼観望後しばらくの間、双眼視が難しい状態になる
そうです)、XYツマミですぐ修正できるので助かっております。

また8.5cm鏡筒との組み合わせの軽さと取り回しの良さから晴れ
た夜にちょっとベランダで見るのに心理的ハードル低く、期待通
りの稼働率となっております。

このオーナー様に限らず、この8.5cm対物レンズユニット付きBINOKITはその手軽さから、いずれも高稼働率の機材になっているようです。

オーナー様、写真とコメントのご提供ありがとうございました。

3周年記念10%オフセール 4/30まで

3/1から開催している10%オフセールも、あと2週間ほどで終了となります。この期間内にご注文いただければ、型番モデルはセール特価を適用させていただきます。購入ご検討中の方はこの機会をお見逃しなく!

60mmEDビノ 試作機完成

以前設計途中で紹介したビノの試作機が完成しました。

鏡筒はSolomon 60EDP(アイベル)です。諸般の事情でアルミパーツの色や形状が設計時と少し異なっています。アルカスイスプレートを使ったパン棒や、運搬用のグリップも用意しましたが、実際に使ってみるとそれほど使い勝手が良くないので取り外しました。架台への取り付けはビクセン規格のアリガタレール(三基光学館製)です。写真ではわかりませんが、EZMを取り付けるための2インチアイピースホルダ厚みを1.5mm削ったおかげで、マスヤマのアイピースのピントが出るようになりました(ピント余裕約1ミリ!)。

対物レンズ側から撮った写真です。向かって左側の鏡筒下のつまみネジ2個を緩めると、左側の鏡筒が左右に動かせます。以前のブログに書いたとおり、目幅調整の使い勝手はよくありません。基本的にはオーナー専用です。

架台に固定するためのアリガタ金具は鏡筒バンドに取り付けてあります。マスヤマのアイピース(20mm)を使う場合、この写真ぐらいの状態で前後のバランスが取れます。

フードを収納するとこんな感じです。とてもコンパクトになります。

ちょうど今日、プレアデスと金星の最接近があり、このビノで見てみました。18倍はこの対物レンズにとって楽勝の倍率で、プレアデスの星々が小気味良く点像になります。月齢10の月面も、クレーターが密集しているエリアは、低倍率とは思えないほどカリカリ感があります。手持ち双眼鏡の場合通常10倍ぐらいまでなので、10倍オーバーから20倍ぐらいでみる双眼体験は意外と少ないです。これでいて座の天の川あたりを見たらさぞ楽しいだろうなと思いました。

さて肝心の販売ですが、パーツ調達がこれからになるので、発売は3ヶ月後ぐらいです。価格は今のところ27万円(税抜)を超えることはない見込みです。

FOT85ビノ

高性能3枚玉アポFOT85の双眼望遠鏡です。EZM(ペア)のみ購入され、クレードルは自作されたお客様から写真をいただいたのでこちらで紹介させていただきます。

お兄さん格のFOT104と違ってこの鏡筒は、ビノテクノ製EZMをそのまま差し込むだけでピントが出ます。とても双眼望遠鏡にしやすい鏡筒です。もちろんビノテクノでもクレードル製作を承ります。その際鏡筒はお客様の方で購入して弊社にご支給ください。下記のショップで取り扱っています。

スタークラウド様

スターベース東京様

TOA130ビノ完成

これまで何回かに渡って製作途中を紹介してきたTOA130ビノがやっと完成しました。あらためて写真で紹介させていただきます。

単体では大げさに見えるEM400用のメタル三脚も、この組み合わせになると違和感がありません。

バランスウェイトはAZ-EQ6GT-J付属のものです。

ご支給いただいたTOA130鏡筒は写真用のタイプです。4インチフォーカーサーの太さと剛性は迫力があります。

上の写真の左側鏡筒が固定側、右側が移動側です。

上の写真の手前左側に突き出ているのが目幅調整ハンドルです。

以下は組み立て手順の概要です。

まずは三脚設置。

その上に補強済みの架台本体を載せます。

両側のアリミゾ金具にフレームを取り付け。

フレームの上にクレードルを取り付け。

バランスウェイトを取り付けた後、鏡筒を載せます。

EZMの傾きをそろえたら完成。

あわてると落としたり傷をつけたりするので、あえてゆっくり組立作業を行います。所要時間は10~15分程度です。

架台の動作確認のため、実際に外に出して夜空の下でアライメントから自動導入までを行いました。結果はまったく問題ありませんでした。AZ-EQ6GT-Jは静かに、そして正確に目標天体を導入してくれました。カタログ的には明らかなオーバースペックですが、三脚中心と水平回転軸、そして不動点を一直線上に一致させると、搭載可能重量は格段に増えることが分かりました。AZ-EQ6GT-Jのポテンシャルは高いです。この手法は、少なくともこの重さの鏡筒までなら有効です。例えばBLANCA-125SED鏡筒ならTOA130より軽いので、三脚はAZ-EQ6GT-J付属のものが使えそうです。

ところで、肝心の見え味はどうかというと、それは想像通り素晴らしい見え方です。市街地なので球状星団ぐらいしか楽しめないのですが、それでもM3などは倍率を上げると中心から周辺まで星粒感に満たされて、さすがTOA130と思いました。これがお客様の手元に届いて本当に暗い空で見たとしたら、至福の時間を過ごされるはずです。