Jscope-80Sインプレッション

接眼部はオプション仕様のKasai MRP(L)、架台はゼロマウント

少し前に笠井トレーディングから発売されたJscope-80Sです。ビノの素材検討用というより、HPの紹介文に惹かれて1本購入しました。笠井氏がかつて惚れ込んだ、国内メーカー製のアクロマート対物レンズを使った鏡筒です。

この鏡筒、バックフォーカスがそれほどなく、弊社製EZMのオリジナル状態では残念ながらピントが出ません。この時点で、ビノ素材としては対象外になります。

ちなみに光路長の短い弊社製正立デバイスEZPを使えばビノにできますが、アクロマートレンズと、プリズムを使ったEZPの組み合わせは、色収差が増大する可能性があるのでお勧めできません。

そういうわけでミラーを使った天頂デバイスで観望したいので、光路長を短くするためにアメリカンサイズ専用のスリーブに交換した仕様のEZM(非売品)を取り付けて観望してみました。

まずは月です。満月に近い月齢でしたが、34倍(16mmアイピース)で見ると、欠け際のカリカリ感がいいです。海の階調も悪くありません。ただしや月の輪郭にはそれなりの色が付きます。

この倍率のままプレアデスにも望遠鏡を向けてみました。この程度の倍率ならこの鏡筒は、アポクロマートかと思えるほど小気味の良い点像を見せてくれます。プレアデスはこの望遠鏡にもっとも適した対象と言えます。

さらにM42に向けると、同じように小さい星像のトラペジウムが楽しめます。

満月期の市街地での観望なので、ごく明るい対象しか見えませんが、月のない暗い空なら、少なくとも散開星団が楽しそうです。

最後に木星を109倍(5mmアイピース)で見てみました。この倍率でもガリレオ衛星は点像を保っています。惜しむらくはシーイングがひどく、木星本体の模様を楽しむことができませんでした。それでも煮立った鍋の底を見る想いで凝視すると、淡いピンクと濃いピンクの濃淡がちらちら垣間見えます。少なくともこの対物レンズの階調表現は期待できそうです。

今どきの廉価版8センチアクロマート鏡筒に比べると高めの価格ですが、期待通り、廉価版とは一線を画した性能が期待できる鏡筒です。近いうちに暗い空であらためて見てみたいです。

電子ファインダー、その後

以前紹介した電子ファインダーの続報です。
(過去ログ「電子ファインダー考」,「電子ファインダー完成」)

手前の赤い筐体が電子ファインダー、奥に見えるのがレーザードットファインダー

前回紹介した通り一旦完成したのですが、レンズ(タムロン17-50mmF2.8ズーム/キャノンEFマウント)がどうにも重く、だんだん煩わしくなってきました。「何とかならないだろうか」と思案していたところ、安価でコンパクトな産業用CCTVレンズが使えることに気づきました。

産業用CCTVレンズのマウントは一般的にCマウント(あるいはCSマウント)なので、ZWO ASI462Cにそのまま取り付けられます。ただし正確にいうとZWO ASI462CはCSマウントです。CマウントとCSマウントは、取り付けのネジ規格が同じで、フランジバックが約5mm異なります。

今回入手したレンズはCHIOPT製FA3501C(35mm/F2)です(12,000円)。カメラのチップサイズが小さいので、こんなレンズでも実用上十分な画像が得られます(最初に使ったタムロン製レンズは今思えばオーバースペックでした)。この組み合わせで画角は5.2°X9.1°になります。

ちなみにこのレンズはCマウントなので、C-CSマウント変換リング(1,100円)も使いました。望遠鏡の大まかな方向づけはレーザードットファインダーを使います。

実際の観望風景

上の写真の架台左側は2台の8インチタブレットです。左側の8インチタブレットでSkySafariを映し、右側のタブレットで電子ファインダーの画像を映します。

SkySafariのスクリーンショット
電子ファインダーのスクリーンショット

上の画像はM35の導入例です。SkySafariの方はあらかじめ「望遠鏡表示」メニューで、電子ファインダーと同じ5.2°X9.1°の「視野インジケーター」と、「照準線」表示が設定してあります。こうしておくと、従来の光学ファインダーとは異なる認識方法で導入ができます。どういうことかというと、脳内パターンマッチングが使えます。

具体的には、まずSkySafariで目的の天体を検索して照準線の中央に持ってきます(上記左側の画像)。このときの視野インジケーター内の目立つ星の配列を覚えておきます。こうしておいて、レーザードットファインダーを使って、当たらずとも遠からずの方向に望遠鏡を向けます。そうすると電子ファインダーの画像に、先ほど覚えた星の配列が見えてきます。あとは星の配列が視野インジケーター内の位置関係と同じになるよう望遠鏡の向きを微調整すれば導入完了です(上記右側の画像)。

従来の光学ファインダーの場合、最寄りの明るい星からいくつかの星をたどって目的の天体を導入します。それに対して電子ファインダーは、左右のタブレットが同じ画像になるよう望遠鏡を動かせば良いので、直感的にわかりやすいです。

難を言えば、CMOSカメラの画像を映すASI CAPSというアプリがときどきフリーズしてしまいます。これがタブレットのCPU性能によるものなのか、USBインターフェースによるものなのかは今のところよく分かりません。正直かなり安いタブレットを使っているのでCPUはそれほど速くありません。またUSBも3.0ではないはずです(CMOSカメラ側はUSB3.0)。映す画像の解像度を下げるとフリーズしにくくなるような気もします。このあたりはもう少し使い込んで確認したいです。

あと、タブレット電源の消耗も速いです。

なお今回電子ファインダーの微調整ブラケットは自作しましたが、SLIK SMH-250を使うのが手っ取り早いです。あとになってこんなに良いものがあるのを知りました。CMOSカメラを除けば比較的安価に構成可能なので、興味のある方は自作してみてください。取り付けのためのサブプレート等の製作でお困りの場合は気軽にビノテクノへご相談ください。

EZMデモ品、まもなくスコーピオ様にて展示開始!

名古屋の天文ショップスコーピオ様店内にて、近日中にEZMのデモ品を展示していただくことになりました。

ミラーは誘電体コート仕様、特注のスタンド付きで展示します。

「店先での観望に使っていただいてOK」と伝えてあるので、お店の状況次第で実際にご覧になることが可能です。EZMは単眼用途でも最高に美しい90度正立像を映し出します。ぜひこれで月や惑星を観てください。天頂プリズムや天頂ミラーでは味わえない迫力が体感できます!

電子ファインダー完成

以前紹介した電視ファインダーのその後です。

望遠鏡に取り付けるためのブラケットを製作しました。

望遠鏡に取り付けた状態

CMOSカメラの背面にアルミプレートを取り付け、さらにその後ろに3本のボルトによる微調整機構を設けました。

また、スマホアプリASICAPの使い方で、画面に十字線を表示する機能を発見しました。

デフォルトでは表示がオフになっていますが、設定画面を開くと一番下に”Bull’s eye”という項目があります。

設定画面を開いた状態

これをONにすると十字線が表示されます(この変更は起動するたびに必要です)。

Bull’s eyeをONにした状態

十字線を表示してから、冒頭に説明した3本のボルトで、望遠鏡の視野中心と十字線の中心を合わせます。十字線の中心はCMOS画像の中心と一致しているので、レンズをズーミングしても中心がずれません。

この電子ファインダーを使った導入イメージは次のようになります(こと座M57の場合)。

まずは最も広視野(レンズの焦点距離17mm)を使って大体の位置に望遠鏡を向けます。

焦点距離17mmの視野、右端の輝星はヴェガ

次のレンズをズーミングして視野を拡大して望遠鏡の向きを微調整します。

焦点距離50mmの視野

これで70倍程度でもドンピシャです。ちなみに上の画像では、満月の夜にもかかわらずM57がうっすら映っています。今回紹介した画像は市街地の自宅で映したものですが、月の無い晩の暗い空ならもっとはっきり映るはずです。近いうちに暗い空に持ち込んでさらに使い勝手を試してみるつもりです。

それから前回ブログで提起した、ズーミングによるピント移動の問題ですが、その後詳しい方からアドバイスをいただきました。結論からいうと、現在のズームレンズはそういう仕様(ピントが移動する仕様)が一般的だそうです。

正確にいうと、ズーミングでピントが変わるレンズは「バリフォーカルレンズ」と呼ぶそうです。これらは通常AF(オートフォーカス)機能と組み合わせて使うので、ピントの移動は問題になりません。

そういうものだと割り切って使っているうちに慣れてきました(笑)

緩衝材の特注承ります

BINOKITの運搬用にこんな緩衝材を作ってみました。

BINOKITは分解できるので運びやすいと言えば運びやすいのですが、それでもダンボールで運ぼうとすると次のような問題点があることに、先日の小笠原ツアーで気づきました。

  • つい過剰に緩衝材を入れてしまうので体積効率が悪い
  • 一つひとつをエアパッキン等で包むため梱包に時間がかかる
  • 一度出してしまうとどう入っていたか忘れてしまう
  • ダンボールが複数回の運搬に耐えられない

そこで、前から持っていた樹脂製コンテナ専用の緩衝材を作ることにしました。

折りたたみ可能な樹脂製コンテナ(タテ33.6 X ヨコ49 X フカサ36.4cm)

緩衝材は上段と下段に分けました。上段がBINOKIT本体関係、下段が10.2cm対物レンズユニットです。

まずは3D-CADで形状を設計しました。

上段の3D図面
下段の3D図面

製作は自宅から40分ほどにある発泡スチロール加工メーカーに依頼しました。このメーカーは自社で原料から発泡スチロールを作るので、硬さも大きさも自由自在。さらに複雑なカットも可能です。

当初発泡スチロールではなく、クッション性の高いポリエチレンフォームでの製作を希望したのですが、このメーカーによると、これだけ大きなサイズのポリエチレンフォーム素材はかなり高価になるとのことでした。

そこで骨格は30倍の発泡スチロールで製作し、必要な部位にポリエチレンフォームのシートを貼ることにしました。ちなみに家電品の梱包に使われる発泡スチロールは50~60倍で、それに比べると30倍はかなり硬く、複数回の運搬に耐えられます。一方硬い分クッション性がないためポリエチレンフォームを貼るハイブリッド構造としました。

提供した3D図面を元にメーカーさんの方でさらに分割して加工しやすくしました。出来上がったのがこういう緩衝材です。

下段の緩衝材を収めた状態

外側の白い部分が30倍発泡スチロールで、内側の黒い部分がポリエチレンフォーム(接着剤で貼り付け)です。

10.2cm対物レンズユニットを収めた状態

運搬中に緩衝材と直接擦れ合うと対物レンズユニットの表面がテカってしまうため、ポリ袋に入れてあります。

上段の緩衝材を収めた状態

もちろん上段の緩衝材が下段の対物レンズユニットに直接触れることはありません。

BINOKIT本体を収めた状態

EZM、持ち手ハンドル、アリガタ金具、パン棒はすべて分解して収めてあります。ただし入れる場所が決まっているので迷うことはありません。

フタを閉じた状態

最後はこんな感じになります。この中に対物レンズユニットを含むBINOKITのフルセットが収まりました。

このコンテナの実戦デビューは胎内星まつりのはずでしたが、ご承知の通り直前で今年もリアル開催が中止になってしまいました。9月の星をもとめてがデビューとなりそうです。

いずれにしても今回のトライで、緩衝材の設計の勘所が分かりました。ご希望があれば特注の緩衝材製作を承りますのでご相談ください。3D図面作成を含めた見積取得までは無料です。

今回のトライでは外箱が樹脂製コンテナでしたが、もちろんアルミケースでも対応可能です。

ちなみに今回製作したものを販売するなら税別44,000円です(2段あるのでそれなりの金額になります)。価格の目安にしてください。

10.2cm3枚玉SDアポ単眼鏡 セット販売します

BINOKIT用の新製品10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニットの記事で構成例のみ掲載した単眼鏡をセット販売します。

価格は198,000円(税込 217,800円)です(前回記事で掲載した価格よりお値打ちな価格にしてあります)。

パーツ構成は以下の通りです。

10.2cm3枚玉SDアポクロマート対物レンズユニット(1本)
BORG 80ΦL100mm鏡筒BK【7101】
BORG 80ΦL25mm鏡筒BK【7026】
BORG M77.6→M68.8AD【7801】
笠井トレーディング V-POWERII接眼部(L)
笠井トレーディング BORG互換アダプター
MORE BLUE 内径80mm鏡筒バンドTB017
アリガタ金具(ビクセン規格)

架台とEZMは別売
架台とEZMは別売

なお、パーツの一部が定価の仕入れになるので、このセットはビノテクノ直販のみの扱いとさせていただきます。

以前の記事にも書いた通り、FPL53を使った10センチ3枚玉アポ鏡筒は通常30万円以上します。それが2/3以下の価格で手に入ります。低倍率だけでなく、高倍率の性能も素晴らしいので、観望好機を迎えている木星や土星もぜひこのセットでお楽しみください。

電子ファインダー考

昔ながらの光学ファインダーが苦手です。理由はいくつか挙げられます。

  1. 倒立像である
  2. 望遠鏡の姿勢によっては覗きにくい
  3. 視野の中央を示す十字線が見づらい
  4. 視野が狭いので空のどのあたりを見ているのか把握しづらい

1と2については、90度正立ファインダーをつかうことでほぼ解決します。

3については、暗視照明を使うことである程度解決しますが、十字線を見やすくするために照明を明るくすると視野全体も明るくなって、暗い星が見づらくなります。またつい照明を消し忘れてしまい、次の観望時に電池切れというのが私の場合よくありました。

4については、広視野のファインダーを使う方法がありますが、今度は中倍率での導入が難しくなります。

もちろん自動導入・自動追尾のGO-TO架台や、エンコーダーを取り付けたPUSH-TO架台を使う場合、そもそもファインダーが要らないのでこれらの悩みは不要ですが、そういった導入支援のない架台の場合、ファインダーは必須なのでこれらの悩みがついて回ります(逆に言えば、こういった光学ファインダーの使いづらさが導入支援のニーズを高めたのかもしれません)。

先日小笠原に持っていった電子ファインダー「アストロイド」もひとつの解決策ですが、導入の最終段階で現れる照準チャートのど真ん中に対象をロックオンする作業に私はいつも手こずります。「もうちょっと上」「もうちょっと右」と微妙に架台を動かしてもすぐに行き過ぎて、なかなか収束しません。慣れの問題とは思いますが、個人的には使い勝手の悪さを感じています。

そういうわけで前置きが長くなりましたが、こんなファインダーを考えてみました(これは新商品の試作ではなくあくまで自分用です)。

まだ試行段階なのでカメラ雲台に直付けしてあります

これはカメラのズームレンズと非冷却COMSカメラを組み合わせたものです。

レンズはヤフオクで手に入れた中古のタムロン17-50mmF2.8ズーム(キャノンEFマウント)、非冷却カメラは昨年まで電子観望に使っていたZWO ASI462Cです。接続はZWOのカメラマウントアダプターです。

同じくZWOが提供しているスマホアプリASICAPで、非冷却カメラの映像をリアルタイムでスマホ画面に映します。

下の写真はこの組み合わせで映した画像です。ズームの設定は最広角の17mmです。ASICAPの設定はゲイン400、露出は1sです。場所は自宅ベランダです。

レンズ焦点距離17mmでのキャプチャ画像

非冷却カメラのチップサイズはヨコ5.6mmXタテ3.2mmなので、レンズ焦点距離17mmの場合、視野は18.7°X10.8°になります。画像の左上隅の輝星がこと座のベガです。こと座の全景が余裕で入っているのが分かります。

さすが超高感度カメラで、肉眼では2等星がやっと見える程度の空でしたが、暗い星までよく映っています。

ここからレンズをズーミングして焦点距離50mmで映した画像が下の写真になります。この場合の視野は6.4°X3.7°になります。少なくとも8等級の星が映っています。

レンズ焦点距離50mmでのキャプチャ画像

比較用に同じ場所のSkySafariのスクリーンショットを掲載しておきます。Ring Nebula(M57)がかろうじて映っているのが分かります。

青い線の長方形が今回のシステム(レンズ焦点距離50mm)の視野角

実際にはスマホ画面を見ながら、まずは最広角で大体の方向を決め、その後最望遠にズーミングして精密に望遠鏡の方向を決めるという使い方になります。

十字線を書き込んだ透明アクリルシートをスマホ画面に貼り付けて、再望遠での十字線中心と、望遠鏡の視野中心を事前に調整しておけば、冒頭に掲げた4つの課題はクリアできそうです。

また望遠鏡への取り付けは金属パーツを特注して行う予定です。微調整を組み込んだ機構になりますが、すでにイメージはできていてそれほど問題ではありません。

と、ここまではバラ色の話だったのですが、少し誤算がありました。最広角と再望遠でピント位置が異なることです。

ZWOのカメラマウントアダプターには0.1mm単位で0.1mmから1.0mmまでフランジバックの調整ができるスペーサーが添付されています。それを使って最広角のピントリング無限大でピントが合うようスペーサー厚みを決めました。ところがこの状態で最望遠にすると、ピントがボケます。ピントリングを近距離側に少し回すとピントが合いますが、その操作はけっこうデリケートです。

キャノンのEFマウントレンズは、ほとんどの場合カメラボディが持っているオートフォーカス機能でレンズ内蔵のモーターを動かしてピントを合わせるのでこれでも困らないと思われますが、今回のような使い方では困ります。

カメラレンズの仕様に詳しくないのでよくわかりませんが、今どきのズームレンズはすべてこういう仕様なのでしょうか?あるいはたまたま今回入手したレンズがこうだったのでしょうか?詳しい方からのアドバイスがいただけるとありがたいです。

昔のFDマウントのようなオールドレンズならこういうことにはならないと思いますが、残念ながらマウントアダプターがありません

仮にEFマウントのズームレンズの仕様がこういうものなら、我慢して毎回ピント合わせをするか、あるいは中間の単焦点距離レンズに変えるか、です。正直Fの明るいズームレンズは重いので、単焦点レンズで済むなら、それはそれでありがたいです。光学ファインダーよりも視野中央への導入が正確にできそうなので、ズームにこだわるつもりはありません。

このあたりの見極めは、実際に望遠鏡に取り付けて検証してみようと思います。

Mewlon180C/210用 EZM特別仕様セット(スターベース東京様扱い)

スターベース東京様からMewlon180C/210用 EZM(正立天頂ミラー)特別仕様セットが発売されました。

Mewlon180C/210側(鏡筒側)もEZMもノーマル状態ではバックフォーカスがわずかに足らずピントが出ません。しかし幸いなことに鏡筒側の2インチスリーブは全長約40mmと長いので、このスリーブとEZM側の2インチバレルをそれぞれ切り詰めるとピントが出ます。このセットはそういう仕様になっています。正立像であるだけでなく、濃くてクリアな惑星像が楽しめます。これから本格的な惑星シーズンとなりますので、Mewlon180C/210をお持ちの方はぜひこのセットの導入をご検討ください。

※ このセットの販売は、スターベース東京様からのみとなります。ビノテクノからの販売はしておりません。

新対物レンズ,ボケ部も色収差なし

星を見るときには無用の性能ですが、10.2cm新対物レンズはボケた部分の色収差も皆無であることがわかりました。

下の写真は上記新対物レンズを使って野鳥撮影されている方からご提供いただいた写真です。野鳥(オオルリ)の手前の水の光り方にご注目ください。ごく自然に白く光っています。

一方下の写真は、ほぼ同口径のフローライトレンズを使った野鳥(キビタキ)の写真です(同じ方からのご提供)。こちらの写真の手前の水は紫色の色収差を伴って光っています。

ピントが合っている部分はどちらも色収差はありませんが、手前の少しボケている部分(ピントが合っていない部分)に差が出ているのがわかります。

こういった部分まで野鳥写真の仕上がりに気を配られる方にはとりわけお勧めしたい対物レンズです。

EZMカラーバリエーション対応

先日納品したEZMのカラーバリエーション対応です。第1ケースと第2ケースをつなぐ中間リングは通常青色アルマイトですが、今回はFounder optics製FOT85のアルマイト色ダークグリーン(旧バージョンカラー)と合わせたいというご希望に対応しました。

お客様ご提供写真

色見本としてお客様から預かったFOT85のパーツもカラーアルマイト業者に渡しておいたところ、風合いも合わせるため、前処理としてショットブラストをかけてくれました。おかげで極めて統一感のある外観が得られました。

新対物レンズの写真性能-「野鳥編-2」

野鳥撮影用に新対物レンズを購入されたオーナー様から、カワセミの写真をいただいたの紹介させていただきます(前回記事はこちら)。

【共通データ】
カメラ:FUJIFILM X-T3
レンズ:ビノテクノ 新対物レンズ 10.2cm3枚玉SDアポ F7
補正レンズ:BORG 1.4xテレコンバーターDG

画像をクリックするとオリジナル画像(約8MB)が開きます
画像をクリックするとオリジナル画像(約8MB)が開きます
画像をクリックするとオリジナル画像(約6MB)が開きます

オリジナル画像を強拡大すると、その解像度の凄さが分かります。オーナー様、ご提供ありがとうございました。

BORGユーザー様必見!新対物レンズの写真性能

10.2cm3枚玉SDアポ対物レンズユニットは眼視だけでなく、写真撮影においても素晴らしいパフォーマンスを発揮します。下の写真はその作例です。

10.2cm3枚玉SDアポ対物レンズユニット + BORG製レデューサー0.72xDGQ

詳細は特設ページをご覧ください。上記写真のピクセル等倍画像や、星像確認用のフルサイズピクセル等倍画像、さらにBORG製パーツ構成例などが掲載してあります。

90FL/71FLからのアップグレードを検討されているBORGユーザー様には特にお勧めの対物レンズです!

138,000円/個(税込 151,800円/個)

TOA130ビノ完成

これまで何回かに渡って製作途中を紹介してきたTOA130ビノがやっと完成しました。あらためて写真で紹介させていただきます。

単体では大げさに見えるEM400用のメタル三脚も、この組み合わせになると違和感がありません。

バランスウェイトはAZ-EQ6GT-J付属のものです。

ご支給いただいたTOA130鏡筒は写真用のタイプです。4インチフォーカーサーの太さと剛性は迫力があります。

上の写真の左側鏡筒が固定側、右側が移動側です。

上の写真の手前左側に突き出ているのが目幅調整ハンドルです。

以下は組み立て手順の概要です。

まずは三脚設置。

その上に補強済みの架台本体を載せます。

両側のアリミゾ金具にフレームを取り付け。

フレームの上にクレードルを取り付け。

バランスウェイトを取り付けた後、鏡筒を載せます。

EZMの傾きをそろえたら完成。

あわてると落としたり傷をつけたりするので、あえてゆっくり組立作業を行います。所要時間は10~15分程度です。

架台の動作確認のため、実際に外に出して夜空の下でアライメントから自動導入までを行いました。結果はまったく問題ありませんでした。AZ-EQ6GT-Jは静かに、そして正確に目標天体を導入してくれました。カタログ的には明らかなオーバースペックですが、三脚中心と水平回転軸、そして不動点を一直線上に一致させると、搭載可能重量は格段に増えることが分かりました。AZ-EQ6GT-Jのポテンシャルは高いです。この手法は、少なくともこの重さの鏡筒までなら有効です。例えばBLANCA-125SED鏡筒ならTOA130より軽いので、三脚はAZ-EQ6GT-J付属のものが使えそうです。

ところで、肝心の見え味はどうかというと、それは想像通り素晴らしい見え方です。市街地なので球状星団ぐらいしか楽しめないのですが、それでもM3などは倍率を上げると中心から周辺まで星粒感に満たされて、さすがTOA130と思いました。これがお客様の手元に届いて本当に暗い空で見たとしたら、至福の時間を過ごされるはずです。

よい鏡筒にはよいアイピースを

またお金がかかる話で恐縮ですが、アイピースはぜひよいものをお使いください。よい鏡筒の場合は特にです。眼視ベテランの方たちには釈迦に説法ですが、よいアイピースはよい鏡筒のポテンシャルを最大限に引き出します。

「鏡筒を買うのが精いっぱいで、アイピースにまでお金をかける余裕がない」という方もいらっしゃると思います。正直言えば私も昔そうでした。「アイピースなんてどれも同じ」と、廉価版のアイピースしか持たず、「自分の鏡筒はまあこんなもの」とわかった気でいました。ところがあるとき知人から借りた高級アイピースを着けてみてびっくりしました。星像が全然違います。このときはじめてこの鏡筒のポテンシャルを知り、速攻でそのアイピースを購入しました。

いくらぐらいからを高級アイピースというか、人によって違いますが、私の場合「1本3万円以上」を目安にしています。露骨な言い方をするなら、3万円以上と1万円以下では明らかに違います。

特に双眼の場合2本要るのでさらに悩ましいのですが、せめてよく使う焦点距離だけでも購入しておくことをお勧めします。

選定にあたって注意すべきは、見かけ視野の広さにあまりこだわらないことです。アイピースの性能を数値で表すのは難しいのですが、見かけ視野は珍しく数値で表せるスペックです。このため売る側はこの数値をアピールしがちですが、実際に一度に見渡せるのは、私の場合せいぜい70度ぐらいまでです。それ以上は目をぐるりと回さないと見渡せません。また、アイピースによっては、見かけ視野が広くても良像範囲が狭いものもあります。

もっとも良像範囲は、主鏡のFにも左右されます。一般的にFの短い鏡筒の方が良像範囲は狭くなる可能性があります。ただしアイピースによっては、Fの短い鏡筒を想定した設計がなされているモデルもあるので一概に言えません。

具体的な機種選定は、アイピースメーカーや信頼できる販売店に相談することをお勧めします。もちろん、実際に貸してくれる知人がいるなら、それがベストです。