電子ファインダー、その後

以前紹介した電子ファインダーの続報です。
(過去ログ「電子ファインダー考」,「電子ファインダー完成」)

手前の赤い筐体が電子ファインダー、奥に見えるのがレーザードットファインダー

前回紹介した通り一旦完成したのですが、レンズ(タムロン17-50mmF2.8ズーム/キャノンEFマウント)がどうにも重く、だんだん煩わしくなってきました。「何とかならないだろうか」と思案していたところ、安価でコンパクトな産業用CCTVレンズが使えることに気づきました。

産業用CCTVレンズのマウントは一般的にCマウント(あるいはCSマウント)なので、ZWO ASI462Cにそのまま取り付けられます。ただし正確にいうとZWO ASI462CはCSマウントです。CマウントとCSマウントは、取り付けのネジ規格が同じで、フランジバックが約5mm異なります。

今回入手したレンズはCHIOPT製FA3501C(35mm/F2)です(12,000円)。カメラのチップサイズが小さいので、こんなレンズでも実用上十分な画像が得られます(最初に使ったタムロン製レンズは今思えばオーバースペックでした)。この組み合わせで画角は5.2°X9.1°になります。

ちなみにこのレンズはCマウントなので、C-CSマウント変換リング(1,100円)も使いました。望遠鏡の大まかな方向づけはレーザードットファインダーを使います。

実際の観望風景

上の写真の架台左側は2台の8インチタブレットです。左側の8インチタブレットでSkySafariを映し、右側のタブレットで電子ファインダーの画像を映します。

SkySafariのスクリーンショット
電子ファインダーのスクリーンショット

上の画像はM35の導入例です。SkySafariの方はあらかじめ「望遠鏡表示」メニューで、電子ファインダーと同じ5.2°X9.1°の「視野インジケーター」と、「照準線」表示が設定してあります。こうしておくと、従来の光学ファインダーとは異なる認識方法で導入ができます。どういうことかというと、脳内パターンマッチングが使えます。

具体的には、まずSkySafariで目的の天体を検索して照準線の中央に持ってきます(上記左側の画像)。このときの視野インジケーター内の目立つ星の配列を覚えておきます。こうしておいて、レーザードットファインダーを使って、当たらずとも遠からずの方向に望遠鏡を向けます。そうすると電子ファインダーの画像に、先ほど覚えた星の配列が見えてきます。あとは星の配列が視野インジケーター内の位置関係と同じになるよう望遠鏡の向きを微調整すれば導入完了です(上記右側の画像)。

従来の光学ファインダーの場合、最寄りの明るい星からいくつかの星をたどって目的の天体を導入します。それに対して電子ファインダーは、左右のタブレットが同じ画像になるよう望遠鏡を動かせば良いので、直感的にわかりやすいです。

難を言えば、CMOSカメラの画像を映すASI CAPSというアプリがときどきフリーズしてしまいます。これがタブレットのCPU性能によるものなのか、USBインターフェースによるものなのかは今のところよく分かりません。正直かなり安いタブレットを使っているのでCPUはそれほど速くありません。またUSBも3.0ではないはずです(CMOSカメラ側はUSB3.0)。映す画像の解像度を下げるとフリーズしにくくなるような気もします。このあたりはもう少し使い込んで確認したいです。

あと、タブレット電源の消耗も速いです。

なお今回電子ファインダーの微調整ブラケットは自作しましたが、SLIK SMH-250を使うのが手っ取り早いです。あとになってこんなに良いものがあるのを知りました。CMOSカメラを除けば比較的安価に構成可能なので、興味のある方は自作してみてください。取り付けのためのサブプレート等の製作でお困りの場合は気軽にビノテクノへご相談ください。