小笠原を訪れる観光客のお目当ては9割以上海のアクティビティです。スキューバダイビング、スノーケリング、シーカヤック、ウェイクボード、釣り、などなど。ただしサーフィンは見かけませんでした。ビーチの波がそれほど高くないのと、海底のほとんどがサンゴ礁なので向かないのだと思います。
今回のツアーでは欲張って、私もスノーケリングとスキューバダイビングに挑戦しました(どちらも初体験!)。
スノーケリングレッスン(到着1日目午後)
海に入るのはおよそ35年ぶりです。
父島ではスノーケリングやスキューバのツアーがたくさんあります。ただしほとんどが経験者向けです。あるツアーに問い合わせたときは「45歳以上の未経験者はちょっと、、、」という回答でした。惜しくも何ともない年齢制限です(笑)。それでも探したら見つかったのは、小笠原エコツーリズムリゾート(TAKE NATURE ACADEMY)のツアーでした。体力や経験に応じていくつかのメニューが用意されています。まず最初に参加したのが、父島到着日の午後のみ開催のスノーケリングレッスンでした。
スノーケリング3点セット(スノーケル、ゴーグル、フィン)やウェットスーツは事前に予約しておけば貸してくれます(有料)。ゴーグルは度付きのものを借りました。
レッスンではゴーグルの正しい付け方、ゴーグルに水が入ったときの出し方、スノーケルに水が入ったときの出し方、フィン(足ひれ)を付けての泳ぎ方などを学びます。
ウェットスーツは浮力があるので溺れる心配はありません。若いときに平泳ぎができる程度だったのですが(25メートルレベル)、フィンを付けて学んだ通りに足を動かすとあら不思議、ちゃんと前に進みます。岸から20メートルほど離れるとすでに足がつかない深さ。身体をうつ伏せの水平に保ってゴーグル越しに海の底を見るとサンゴ礁が見えます。ちょっと感動しました。
さらに沖の海面でチャプチャプ30分ほど遊んでいたらガイドさんから「そろそろ岸に上がりますね」の声。そのときになって両足がつり気味になってきました。ふだん運動らしい運動をしていないので、ちょっとの負荷でこんなはめに陥ります。ウェットスーツがあるので溺れる心配はありませんが「服部さん、大丈夫ですか?」の呼びかけに「足がつりました」と正直に応えたら、2人の若い女性ガイドが私の両脇を抱えて岸まで連れて行ってくれました。情けない気持ちを抱えつつスノーケリングレッスン終了です。
南島上陸(2日目午前&午後)
同じくの小笠原エコツーリズムリゾート(TAKE NATURE ACADEMY)の南島上陸ツアーに参加しました。
南島は父島の南西にある小さな無人島です。島全体が天然記念物に指定され、一日の上陸者数は100人以下、滞在時間は2時間以内に制限されています。
朝8時半、おが丸が停泊する港の近くに集合。参加者は20名程度。2隻のボートに分乗してさっそく南島に向かいます。時間にして20分ぐらい。南島の近くに来るとかなり波が高くなってきました。「場合によっては上陸できないこともあります」というガイドさんの説明もありましたが、波が少し収まったタイミングを見計らって南島の南側の入江にボートは突入。入江に入ると別世界のような穏やかな海に変わりました。参加者全員思わず拍手。
金属製の階段が取り付けられた岩場に接岸し、いよいよ南島に上陸です。島内の歩行ルートは決められていて、そこから外れての立ち入りはできません。まずは島内の最高点(60m)を目指して登ります。尖った岩が多いので、鼻緒だけのビーチサンダルは論外。簡単に脱げない靴が必須です。
最高点にたどり着くと360度のパノラマが広がります。海の青さが濃いです。
目線を下に向けると、南島の人気スポットの扇浜が見えます。
その扇浜に降りて30分ほど散策しました。
あっという間に滞在時間終了。再びボートに乗り込んで父島方面へ。途中イルカの群れを発見したのでボートは接近します。このイルカがミナミハンドウイルカなら人間と一緒に泳いでくれることもあるそうですが、ガイドさんによると、背びれの形からこれはハシナガイルカ。残念ながら一緒には泳いでくれない種類だそうです。
それでもここにボートを止めてスノーケリングタイム。昨日のレッスンが生きました。海の底を見ると、深いところをイルカの群れが通過していくのが分かりました。ちなみにこの日着たのはウェットスーツではなくスノーケルベスト(レンタル)。ライフジャケットほどの浮力はありませんが、これを着ていれば、ウェットスーツ同様、溺れることがありません。
その後計4箇所場所を変えながらスノーケリングタイム。足がつることもなく、海面から海中の景色を楽しみました。どの場所も海底はサンゴ礁、いろいろな色の熱帯魚が普通に泳いでいました。
夕方4時前に帰港してツアー終了です。
スキューバダイビング(3日目午後)
今度は酸素ボンベを背負って海に潜るスキューバダイビングです。私のようなど素人でも受け入れてくれるツアーを催行しているのはST TOUR(エス・ティー・ツアー)さんです。
昨日と同じ港からボートに乗って15分ほどのスポットに到着。さっそくガイドさんが丁寧に機材の説明をしてくれました。さすがにスキューバダイビングの機材はスノーケリングより複雑で重いです。船上で酸素ボンベを背負うと立ち上がるのもたいへんです。
ところがガイドさんの指示に従って船尾の階段伝いに海に入ると途端に軽くなります。そこからいきなり泳ぐのは無理なので、船から垂らされたロープ伝いに、慎重に海底に向かって降りていきます。途中水圧で耳が痛くなるので、その都度少し上がって耳抜きを行いました。
何とか海底に到着。ガイドさんの指示に従ってサンゴの隙間にある砂地に膝をつき、そばにあるサンゴを両手でつかんで身体を固定しました。つかんだらサンゴがもげるのではと心配しましたが、意外にしっかりしています。水中でも使える筆談ボードでガイドさんが「おがさわらのうみにようこそ」と歓迎メッセージをくれました。続けてこのときの水深が7.3メートルであることも教えてくれました。
落ち着いてまわりを見渡すと、いろいろな種類の熱帯魚が人間のことなどまったく気にせず優雅に泳いでいます。目の前に立ち止まった黄色の魚は胸びれをはためかせながらしばらく目を動かしてキョロキョロし、その後またどこかに行ってしまいました。少し離れたところにはタコもいました。まるで熱帯魚の水槽にいる気分です。
しばらくして浮上。体感20分ぐらいかと思ったら、40分ほど潜っていたそうです。1時間ほど休憩して再度潜水。1回目よりは落ち着いて潜れました。この体験は一生物です。
1時間の休憩の間、ガイドの武田さんが小笠原についていろいろな話をしてくれました。
小笠原で武田さんのようなガイドをしている人の8割、9割はよそから来た人だそうです。実際武田さんも関東出身で、オーストラリア、フィジーで海のツアーガイドをしたあと、小笠原に来たそうです。
島内には「空港建設を」という垂れ幕もありましたが、島民はそれほど歓迎しているわけでもなく、そんなお金があるならおが丸をもう1隻作って欲しいという要望もあるそうです。父島にはもともと長い滑走路の空港を作るほどの平地がなく、海を埋め立てて作ったとしてもせいぜい80人乗りの飛行機しか離着陸できないからです。たしかに経済効果の観点で見れば、800人乗りのおが丸の方がメリットがありそうです。
また父島はとても治安がいいそうです(実際そう感じました)。そもそも自然いっぱいのこの素敵な土地で悪いことをしようという気など起こさないでしょうし、逃げる手段もおが丸しか無いので簡単に捕まります。なので大きな犯罪は聞いたことがないそうです。
一刻を争う急病の場合は、硫黄島に駐留する自衛隊のヘリが飛んできて一旦硫黄島に移送され、そこから自衛隊のジェット機で(本州の)東京に運ばれるそうです。ただしよほどのことがない限りこの手段は認められないそうです。
こんな話が聞けたことも貴重な体験となりました。
以上が私の体験した海のアクティビティです。これらのツアーはすべて事前予約が必要です。参加される方はあらかじめ目星をつけておいて、おが丸乗船が確定したらすぐに予約を入れておくことをお勧めします。