お客様のご依頼で、ケンコー・トキナーのデュアルモード(赤道儀と経緯台)架台AZ-EQ6GT-JにNinja320鏡筒を載せるための改造を行ったので紹介させていただきます。
改造内容は主にふたつで、ひとつは経緯台モードでの剛性アップ、もうひとつは、Ninja320を取り付けるための逆ブランコ方式(勝手に命名)のフレーム取り付けです。このブログをご覧になっている方はお気づきと思いますが、どちらも以前製作したTOA130ビノの類似設計になっています。
写真の向かって右の黒いかたまりはバッテリーです。写真では見づらいのですが、下に支えのL型板金ステーがあります。その下に見えているアルミの厚板には、バランスウェイト用のシャフトが取り付く予定です。反対側(左側)のシャフトもバランスウェイト用です。
逆ブランコのてっぺんに見えるアリミゾ金具はKASAI大型アリミゾ金具で、ここにNinja320が取り付きます。Ninja320のオリジナル状態ではアリガタ金具がないので、お客様の方からバックヤードプロダクツ様に依頼して付けてもらうとお聞きしています。
上の写真は、鏡筒の接眼部側から見たアングルになります。幅広のアルミフレーム(40X120mm)から突き出た細いアルミフレームの先端には、SynScanコントローラのホルダーが取り付けてあります。ちょうど接眼部に近い位置になります。AZ-EQ6GT-JにWi-Fiアダプターを取り付ければスマホから操作できますが、SynScanコントローラの方が使いやすいというオーナー様のご要望でこの仕様にしました。
アリミゾ金具クランプノブの操作性向上のため、逆ブランコのトッププレートの一部を切り欠きました。トッププレートに対してアリミゾ金具との距離を取ればこの切り欠きは不要ですが、それでは鏡筒重心が架台の不動点からさらに離れてしまうのでこの方法を取りました。鏡筒重量は25kgぐらいのはずなので、安易に不動点からの距離を大きくしてしまうと、追加するバランスウェイトが増えてしまいます。地味な配慮ですが、架台の耐久性を考えると、バランスウェイトを最小限に済ませることは設計上大事なポイントです。
すでに販売中止となっていますが、Ninja320はドブソニアンの中でも優秀な光学系を搭載しているので、これを自動追尾架台に載せたいというご希望はよく理解できます。しかしアリガタ金具を取り付けて普通の赤道儀に載せても鏡筒回転装置がないので、この口径では実用上無理があります。そのソリューションとしてこの事例をご覧いただければありがたいです。