BINOKITの運搬用にこんな緩衝材を作ってみました。
BINOKITは分解できるので運びやすいと言えば運びやすいのですが、それでもダンボールで運ぼうとすると次のような問題点があることに、先日の小笠原ツアーで気づきました。
- つい過剰に緩衝材を入れてしまうので体積効率が悪い
- 一つひとつをエアパッキン等で包むため梱包に時間がかかる
- 一度出してしまうとどう入っていたか忘れてしまう
- ダンボールが複数回の運搬に耐えられない
そこで、前から持っていた樹脂製コンテナ専用の緩衝材を作ることにしました。
緩衝材は上段と下段に分けました。上段がBINOKIT本体関係、下段が10.2cm対物レンズユニットです。
まずは3D-CADで形状を設計しました。
製作は自宅から40分ほどにある発泡スチロール加工メーカーに依頼しました。このメーカーは自社で原料から発泡スチロールを作るので、硬さも大きさも自由自在。さらに複雑なカットも可能です。
当初発泡スチロールではなく、クッション性の高いポリエチレンフォームでの製作を希望したのですが、このメーカーによると、これだけ大きなサイズのポリエチレンフォーム素材はかなり高価になるとのことでした。
そこで骨格は30倍の発泡スチロールで製作し、必要な部位にポリエチレンフォームのシートを貼ることにしました。ちなみに家電品の梱包に使われる発泡スチロールは50~60倍で、それに比べると30倍はかなり硬く、複数回の運搬に耐えられます。一方硬い分クッション性がないためポリエチレンフォームを貼るハイブリッド構造としました。
提供した3D図面を元にメーカーさんの方でさらに分割して加工しやすくしました。出来上がったのがこういう緩衝材です。
外側の白い部分が30倍発泡スチロールで、内側の黒い部分がポリエチレンフォーム(接着剤で貼り付け)です。
運搬中に緩衝材と直接擦れ合うと対物レンズユニットの表面がテカってしまうため、ポリ袋に入れてあります。
もちろん上段の緩衝材が下段の対物レンズユニットに直接触れることはありません。
EZM、持ち手ハンドル、アリガタ金具、パン棒はすべて分解して収めてあります。ただし入れる場所が決まっているので迷うことはありません。
最後はこんな感じになります。この中に対物レンズユニットを含むBINOKITのフルセットが収まりました。
このコンテナの実戦デビューは胎内星まつりのはずでしたが、ご承知の通り直前で今年もリアル開催が中止になってしまいました。9月の星をもとめてがデビューとなりそうです。
いずれにしても今回のトライで、緩衝材の設計の勘所が分かりました。ご希望があれば特注の緩衝材製作を承りますのでご相談ください。3D図面作成を含めた見積取得までは無料です。
今回のトライでは外箱が樹脂製コンテナでしたが、もちろんアルミケースでも対応可能です。
ちなみに今回製作したものを販売するなら税別44,000円です(2段あるのでそれなりの金額になります)。価格の目安にしてください。