ボールポイントを片手で回すワザ

ボールポイント(レンチ)の続編です。

ワザというほど大げさな話ではありませんが、

ひとりで機材の組み立てや分解を行うとき、ボールポイントが片手で回せると何かと便利です。片方の手で組み立てたい(あるいは分解したい)部品を持ち、もう一方の手でボールポイントを回せば、安全かつスピーディーに作業が行えます。

片手で回す方法は他にもいろいろあると思いますが、今回紹介する方法は、私が若いころ職場で出会ったプロのメカニックさんから教えてもらった方法です(この方法が一般的かどうかは不明です)。

写真のように、ボールポイントの長い方を中指と薬指の間に挟み、短い方の先端に親指の腹をあてがいます。このように持ってボールポイント先端をボルト頭に差し込みます。あとはボールポイントの長い方を軸として、できるだけぶれないように注意しながら親指だけでくるくる回します。慣れればすぐできるようになります。さらに慣れると普通のレンチでもできるようになります。

ちなみに私の場合、締める時は右手がやりやすく、緩める時は左手がやりやすいのですが、プロはどちら自由自在です。回す速度も、私はせいぜい1秒間に1回転程度ですが、プロは1秒間に2回転以上回せます。そこまでの域に達すればさらに便利ですが、機材のボルトはそれほど多くないので、天文ファンとしては片手でできるだけで十分です(笑)。

余談ですが、技能五輪選手のデモンストレーションを見たことがあります。冒頭バイス(万力)のハンドルを回すスピードに度肝を抜かれました。1秒間に4回転以上回していたと思います。彼らは「アスリート」と呼ぶべき存在です。

それはさておき、このワザが使えるのは、ボルトが緩んでいるときだけです。最後に締め込む時や最初に緩める時は、ボールポイントの短い方の先端(ボール状になってない方の先端)をボルト頭に差し込み、長い方を持って力を入れます。さらに言うなら、力を入れる時は自分の手前に引っ張る方向が安全です。奥へ押すように力を入れると、急にゆるんだり、レンチの先端がボルトから外れたりしたとき、手を構造物にぶつけてけがをすることがあります。

いずれにしても機材の組み立てや分解は、重量物運搬もあるので危険な作業です。できるだけ安全な方法を身に着けられることをお勧めします。楽しいはずの趣味で怪我をしてしまったら元も子もありません。