ダラスで日食を見てきました

4/6-4/11の日程でアメリカ・ダラスへ皆既日食を観に行ってきました。生まれて初めて皆既日食を見ることができたものの、ダラス滞在中大変な事態に遭遇しました。以下はそのレポートです(長文注意)。

はじめに

以前ブログに書いた通り、業者のツアーに参加せず、自分で飛行機とホテルを手配してのツアーでした。同行者は高校時代の天文部同級生A(イニシャルではありません)。家庭の事情で出発直前まで参加が危ぶまれていましたが何とか参加可能となりました。

宿泊先はダラスの東側に隣接するメスキート(Mesquite)という街です。この街自体が皆既食帯に含まれるので、この宿の敷地内で日食を観ました。皆既食帯のど真ん中ではありませんが、それでも皆既時間が4分1秒あります。

Googleマップより

出発!

名古屋市内に住むAを車でピックアップして4/6の昼過ぎ、中部国際空港に車で到着。そこからまずは成田へ。そして18:30、アメリカン航空のダラス直行便が離陸しました。この便はアメリカ・ウェーコやメキシコ・マサトラン、トレオンで日食観望するツアー客も乗っていてほぼ満席でした。

メスキート到着

約12時間のフライトを経て予定通りダラスに到着。日付変更線をまたいでいるので、現地時間は出発と同日4/6の16時頃です。入管ゲートはたいへんな混雑で通過に小一時間かかりました。ここからタクシーを使ってメスキートへ移動。レンタカーを借りようか迷いましたが、宿泊先に着いてしまえばほとんど移動しないのと、通行帯が日本と逆で運転リスクがあるのでタクシーを選びました。

宿泊先。見た目はきれいだが施設はかなり古い。

宿泊先はホテルというより、アメリカ映画によく出てくる「モーテル」です。サマータイムのせいで19時を過ぎてもちっとも暗くありません。このすぐ近くにあるタコスの店で晩御飯のハンバーガーを食べました。

日本の倍ぐらいのボリュームのハンバーガー&大量のフライドポテト(完食不能)

店内にはスナックや飲み物も売っていたので、翌日の朝ご飯用にパンや水も買っていきました。

大事件発生!

翌日の4/7(旅程2日目)午前10時頃、いきなり大変なことが起きました。

宿泊した部屋の扉

モーテル周りの景色を撮ろうとコンデジとスマホだけを持って部屋を出、15分ほどして3階の自分の部屋の前に戻ると、扉が少し開いていることに気づきました。元々この扉のオートロックは調子が悪く、カードを差し込んでもなかなか開かなかったり、閉めるときもドアをしっかり手前に引かないとロックがかからなかったりしました。

「あれ?しっかり閉めたつもりだったけど??」と思いつつ部屋の中に入って驚きました。外出前に組み立てたばかりの望遠鏡機材一式がこつ然と消えています。

盗難にあった機材。出発前に撮影した画像

落ち着いて室内を見回すと、床に置いてあったカメラバッグもありません。この中にはミラーレス一眼レフカメラが入っていました。そして一番ショックだったのが、パスポートやクレジットカード、現金の入っていた手持ちバッグが無くなっていたことです。私が外出していた短い時間に誰かが侵入し、金目の物をすべて奪っていきました。しかし部屋全体は荒らされた感じがありません。短い時間に効率よく金品だけを持ち出した手際の良さに驚きました。

しかし驚いている場合ではありません。私と異なる部屋でこの難を免れたAに電話をかけ、すぐに部屋に来てもらいました。Aも大変驚きました。「どうしよう?」「まずはフロントに行こう」ということで、フロントに行って状況を伝えると、フロント職員はそれほど驚いた感じもなく、従業員を一人呼んで、私と一緒に現場を確認するよう指示しました。私の室内も含めて施設内を一通り見回りましたが、有力な手がかりはありませんでした。

OFFICE=フロント

警察も呼んでほしいとフロントに頼みましたが「自分で呼んでください」とのこと。このあたりからこのモーテルへの違和感が高まってきました。こちらにとっては生涯の一大事ですが、あちらにとってはまるで「よくあること」、「当方は関係ない」といった風情です。

自分のスマホから’911’に電話をかけ、カタコトの英語で場所を伝えると、30分ほどで警官が現れました。私の名前、電話番号、盗まれたもの、などをメモると無線でどこかに連絡を取り、8桁の番号を書いたメモをくれました。事件番号だそうです。警官の対応はそれだけでした。近隣の部屋の聞き込みをするでもなく、現場の写真を撮るでもなく、まして指紋採取の鑑識班を呼ぶこともありません。おそらく彼らにとっても「よくあること」で、事情聴取して事件番号を伝えたら業務完了。いちいち捜査してたら仕事が回らないのでしょう。

問題はパスポート

盗られたものが戻ってくる可能性は限りなくゼロ。諦めるしかありません。しかしパスポートだけは困ります。これがないと帰国できません。ネットで調べてみると、アメリカ国内にある総領事館に出向いて再発行してもらわなければいけません。ダラスから最も近い総領事館は在ヒューストン日本国総領事館。ダラスから約400キロ離れています。ずいぶん距離がありますが、これでもまだ近い方です。アメリカ本土の日本国総領事館は全部で13箇所。各州に1箇所ずつあるわけではないので、運が悪ければ州を超える移動が必要です。

発行してもらえるパスポートは2種類。持っていたのと同等のパスポートと、帰国専用のパスポートです。前者は6日間ぐらい、後者は2日間ぐらい発行に時間がかかるとHPにありました。もちろん帰国専用で十分ですが、それにしても2日間かかるので、明日(4/8)の皆既日食を待たずにヒューストンへ移動しないと帰りの便に間に合いません。あるいは帰りの便をキャンセルして別便で帰国するか。この場合飛行機代がまったく戻ってきません。気持ちは半分皆既日食を諦める方向に行きかけましたが、ここで引き戻してくれたのはAでした。「せっかくここまで来たんだからもう少し粘ろうよ。少なくともヒューストンまでは付き合うから」と。

またAは現金で$500貸してくれました。クレジットカードも無いので、現金が無いとパン一つ買うことができません。

気を取り直して在ヒューストン日本国総領事館に直接電話して確認したところ、必要書類がそろっていれば1日で再発行可能とのこと。戸籍謄本とかマイナカードの写しは日本にいる家族に頼んでLINEで送ってもらい、その都度総領事館にメールで送りました。皆既日食翌日の9日早朝便でヒューストンに移動すれば朝イチで総領事館に入ることができ、その日のうちに帰国専用パスポートを手に入れることができそうです。光が見えてきました。

やはり怪しいモーテル

諸々の段取りを済ませたころに日が暮れ、歩いていける距離のレストランでAと夕飯を済ませました。いろんなことがぎゅっと詰まった怒涛の一日でした。部屋に戻って今日あった出来事を思い返すと、このモーテルがいかに危険であるかに気づきます。敷地内はいうに及ばず、各フロアは誰でも入れます。実際モーテル内ですれ違う人の半分は「近所の人?あるいは住人?」と思われる風体です。HPの案内には「ペット連れの宿泊お断り」とありましたが、ペット連れを何回も見ました。フロントにはいつ行っても正体不明の人が床に座り込んでぼおっとしていました。もちろんセキュリティカメラはありません。悪い人にとってはやりたい放題の環境です。

窃盗犯について

勝手な推測ですが、窃盗犯はここに頻繁に出入りする人間、もっといえば同じフロアの『住人』で、扉の立て付けが悪いことを熟知していて、オートロックが不完全になる機会を見計らっていたと思われます。しかも犯人は複数で、見張りをつけていたのではないでしょうか。つまり極めて計画的な常習犯というわけです。さらにいえばモーテルだってグルの可能性があります。従業員はどの部屋も開けられるカードキーを持っているので、出入りは自由です。私の落ち度は外出時、パスポートの入ったカバンを持ち出さなかったこと。これさえ心がけていれば最悪の事態を招くことはありませんでした。今となっては悔やんでも悔やみきれません。

建付けの悪いオートロックドア

また考えようによっては「窃盗」で済んでよかったです。万が一現場に出くわしたら殺されていたかもしれません。そう思うとぞっとします。この晩はあれこれいろんなことが頭に浮かびなかなか眠れませんでした。深夜になっても部屋の前を通る人の気配が絶えず、駐車場からも話し声が聞こえます。ついでに言えば部屋の中で小さいゴキブリが出ました。どんどん気持ちが萎えていきます。予定ではここでもう一泊するつもりですがとても耐えられそうにありません。

そして皆既日食当日!

ほとんど眠れないまま夜が明け、朝になってAが私の部屋に来てくれました。「このモーテルを引き払って今日のうちにダラス市内中心部のホテルへ移動しないか?」と切り出すと「実は俺もそう思っていた」と意見が一致。第3接触が終わったら早々に撤収してこのモーテルを出ることに決めました。

お昼前、外を見るとそこそこ雲はあるものの、ある程度期待できそうな空。第1接触は12時過ぎなので、その前に腹ごしらえをしておこうと、一日目の夕飯を食べたタコスの店に出かけることにしました。するとモーテル敷地内の芝生エリアに望遠鏡を設置している20名ぐらいの中華系の団体を発見。話しかけてみると台湾から来たとのこと、昨晩駐車場で見かけた大型バスでこのモーテルに来たようです。お願いして一緒に観望させてもらうことにしました。

モーテルの敷地内で日食観望

実は盗まれたものとまったく同じ構成の機材をAに渡してありました。貴重な皆既時間を無駄にしないようそれぞれの機材で観望に専念しようという狙いです。しかしこういう状況になってしまったので、1台の機材をふたりでシェアしながら見ることにしました。

芝生に設置した日食観望機材

12:23、いよいよ第1接触です。タイムキーパーはスマホアプリの’ECLIPSE 2.0’を使いました。

ECLIPSE 2.0の起動画面

雲は多めですがときどき太陽が顔を出し、その都度ソーラーフィルターを付けた望遠鏡で欠けていく様を観望しました。第1接触から皆既が始まる第2接触まで1時間17分ありましたが、時間の進みは意外と速く、あっという間に第2接触の時刻が近づいてきました。食分が90%を超えると周りははっきりと暗くなり、まるで日没後の光の加減です。そして日没を早回しで見ているようにどんどん暗くなっていきます。何というワクワク感!

スマホによるコリメート撮影

そして第2接触!

13:40:57、ついに皆既が始まりました。とてもラッキーなことに、皆既中の太陽が雲と雲の大きな切れ目に入りました。ダイヤモンドリングがばっちり見えました。フィルターを外した望遠鏡で見るとコロナの流線がよく分かります。コロナがこんなに明るいとは知りませんでした。写真では味わえないコロナの輝きです。月の影からはみ出た真紅のプロミネンスがいくつも見えました。肉眼で見ても、天空に浮かんだ黒い穴から全周に渡って光が溢れ出し、神々しいまでの光景です。はじめての日食観測でいきなり観測成功!なんという幸運!昨日の嫌な出来事を差っ引いても来てよかったと思いました。

あっという間の4分間でした。13:44:58、数秒間ダイヤモンドリングを我々に見せて太陽は再び本来の光を取り戻し始めました。思わず拍手をすると、同じように拍手をする台湾の人たちが何人もいました。

このまま第4接触まで見届けて余韻を楽しみたいところですが、そんな余裕はありません。部屋に戻って出発の準備にかかりました。

まずはダラス空港へ

来たときと同じようにダラス空港へ戻るときもタクシーを使いました。タクシーを呼んでからモーテルに迎えに来るまで小一時間待たされました。空港に着くとすでにチケットカウンターは多くの客でごった返していました。

ここでひとつ心配なことがありました。明日早朝出発するヒューストン行きの飛行機チケットを買うつもりでここへ来ましたが、総領事館の方から「アメリカ国内線といえどもパスポートがないと乗れないかもしれない」と言われていました。

そしてその心配は現実のものとなりました。長い列を我慢してチケットカウンターまでたどり着いて空港職員にこの点を確認すると、「私ではわからない」と言ってTSA(Transportation Security Administration アメリカ運輸保安局)の担当者を呼んでくれました。この人たちがOKといえば飛行機に乗れるし、NOだったら乗れないことになる空港関所の番人です。このTSAの担当者も”Mmmmm”と言って難しい顔になり、審査には最低でも2時間かかる、その結果搭乗を拒絶する場合もあるとのことでした。

飛行機に乗れさえすればヒューストンまで1時間ぐらいなので、早朝のフライトでヒューストン入りすれば朝イチで総領事館に行けます。これが予定の飛行機で帰国するためのシナリオです。しかし今から審査を受け、しかも乗れないとなると、その予定はかなり危ういものになります。

あらためてGoogleマップで確認すると、ダラスからヒューストンまで車で4時間と出ました。それなりの距離ですがこれが最も確実な方法です。運転リスクはありますが、Aも私も一応海外免許を持ってきているので車の運転は可能です。私の海外免許は別の荷物と一緒にしてあったので奇跡的に無事でした。「4時間なら頑張れば行けるかなぁ」とAと相談して車で行く覚悟を決めました。

レンタカーでヒューストンへ

なんだかんだでいろいろな手続きにずいぶん時間がかかり、レンタカーでダラス空港を出たのは夜の8時頃でした。Aは20年ほど前、仕事の関係でアメリカに2年間いたので一応右側通行、左ハンドルの経験があります。ずいぶんブランクはありますが、ド素人の私よりはましなので、まずはAの運転でフリーウェイに入りました。

私も途中替わって運転をしてみて分かったのですが、慣れない左ハンドルでレーンの真ん中を走るのはとても難しいです。右ハンドルの感覚でレーンの真ん中をキープしようとすると、実際にはずいぶん右に寄っていて、Aも私も、気がついたら右側の白線を踏んでいました。しかも雨で路面が濡れていてレーンが見づらく、かなり怖い思いをしてなんとかヒューストンにたどり着きました。時刻はすでに夜中の1時を回っていました。

先に総領事館のあるビルの位置を確認し、それから宿泊先を探すことにしました。このエリアにはホテルがたくさんあり、一軒目は「満室」と断られましたが、二軒目のホテルでダブルの部屋を確保することができました。

ヒューストンで一泊したホテル。天文ファンにとっては意味深な名前

フロアには宿泊客しか立ち入れず、オートロックもスムーズに閉まる、当たり前のことに感激しつつ、短い時間ながらも久しぶりによく眠れました。

在ヒューストン日本国総領事館

総領事館が開くのは朝の9時半。それまでに証明写真を用意しなければいけません。少し早めに私だけチェックアウトして、Googleマップで探した証明写真を撮ってくれるショップに向かいました。ここは日本のような無人のボックスではなく、店員が撮影するスタイルでした。

総領事館は商業ビルの30階にありました。それほど大きくありません。入口に空港の保安のような荷物検査と金属探知ゲートがありましたが、それ以外は日本によくある「小さい役所の窓口」といった感じです。いずれにしてもパスポートを盗られるようなトラブルがなければ縁のない場所です。

前もって来訪は伝えてあったので、名前を告げるとすぐに職員の方が親切に対応してくれました。ここでしか書けない書類を2枚、時間をかけて記入してから提出すると「これですべての書類が揃いました。午後3時頃帰国専用パスポートを渡しますから、その時間になったらまた来てください」とのことでした。「ついに帰れる!」ここまでの緊張が一気に解ける瞬間でした。

11時頃、ホテルで寝ているAに連絡を取り、再びAと合流。「アメリカでまともな食事ができるのはたぶんこれが最後。豪勢に行こか」と、ヒューストン市内にあるBenihana(ベニハナ)というアメリカでは有名なステーキハウスに行きました。

ラテン系の女性が愛嬌たっぷりに肉や野菜を焼いてくれました

その後3時まで商業ビル内のスタバで時間を潰し、再び30階の総領事館を訪れてついに帰国専用パスポートを受け取ることができました!ヒューストンまで来た努力が実りました。

これが帰国専用パスポート

帰国便のフライトは明朝6時出発。それまでにダラスに戻ればよいので楽勝です。それでも万が一のことを考えて、この日のうちにダラスに戻ることにしました。

帰路はまだ明るく、雨も上がっていたので来るときよりも運転がずいぶん楽でした。レーンキープもずいぶん慣れてきました。当然ながら周りの車もほとんどがアメ車。やんちゃな人に囲まれているような錯覚を覚えながらの運転でした。

途中給油もしました。ここで少しハプニング。給油口の開け方が分かりません。Aと二人で15分ほど運転席周りをくまなく探しましたが、それらしいレバーが見つかりません。ダメ元でガソリンスタンドの店員にも聞きましたがやはり分からず。もしやと思ってGoogleで「シボレー 給油口」と検索したら「レバーはない、直接開ける」とありました。「えっ?」と思って給油口の端を押したらあっさり開きました。いたずらされたらどうするんだろうと思う仕様でしたが、とりあえず開いてよかったです。

借りたクルマはシボレー

そんなこんなんで夜の10時近くにダラス空港へ無事到着。レンタカーを返して空港ロビーに入りました。もう大丈夫。あとは飛行機に乗るだけです。空港ロビーの空いている席で仮眠しながら夜を明かしました。

ついに帰宅!

4/10早朝6時、ダラス空港を帰国便が離陸。ロサンゼルス、羽田を経由して4/11の21時頃中部国際空港に着きました。本来ならここに止めてある車で帰るところですが、今回車のキーも盗られているので電車で帰宅しました(車は翌日電車で中部国際空港まで取りに行きました)。荷物の軽さが虚しかったです。

ロサンゼルス空港にて

この数日を振り返ると、よくぞ無事予定通り帰ってこられたものです。すべてが紙一重でした。
もしも殺されていたら、
もしもAがいなかったら(実際その可能性はありました)、
もしも日本に家族や知人がいなかったら、
もしもスマホまで盗られていたら、
もしも総領事館がとてつもなく遠かったら、
もしもヒューストン往復で事故っていたら、
もしもダラス観光日を設けてなかったら(その日をダラス往復に充てました)、、、
今だ帰国できずにいたかもしれません。最悪の事態が発生したにも関わらずその後はツイてました。またヒューストン往復まで付き合ってくれてAには感謝のことばしかありません。

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。日食の話よりパスポートを盗られた話がほとんどで申し訳ありません。パスポートを盗られるとどんなに大変か、今回のことでよく分かりました。そのことでAをはじめ、多くの人に迷惑をかけてしまいました。本当に申し訳なく思っています。

この話は武勇伝でもなんでも無く、治安の良い日本と同じ感覚で外国に出かけるとどういう目に合うかという見本のような話です。

「次回外国へ行くときは気をつけます」と言いたいところですが、当分(あるいは一生)外国へ行く気になれません。平和ボケしている私にとって滞在中ずっと気を張ることは強いストレスになるからです。

幸い1回目にして皆既日食を見ることができました。一昨年はオーストラリアで星も見ました。今回が最後の海外ツアーとなっても悔いはありません。

臨時休業のお知らせ

4/6(土)~4/11(木)の間、皆既日食遠征のため休業いたします。ご迷惑をおかけしますがどうかよろしくお願いします。

臨時休業期間中にいただいたメールは帰国後返信させていただきます。

本文とは関係ありません。昨年撮影した高遠の桜です。

2024日食遠征機材

意外に思われるかもしれませんが、今まで皆既日食を見たことがありません。星仲間はもっと若いうちに海外遠征を行って体験しているのですが、私の場合、1週間の休み(海外遠征の場合この日数はミニマム)を取る勇気がなく、会社生活している間は行かずじまいでした。

しかし会社生活も終わり、コロナも収束したので障害がありません。今年4/8の北アメリカ大陸・皆既日食を見に行くことにしました。観望地はアメリカ・ダラス近郊です。

「見に行こう!」と思い立ったのは昨年の9月頃。当初ツアーに申し込もうと思ったのですが、資料を取り寄せて、その費用にビビりました。思っていた金額の1.5倍ぐらいです。ただし「ツアー」となるとどれも似たような金額。これが相場なんでしょうね。自力で行くことにしました。

幸い今回の皆既日食帯にアメリカの大都市ダラスが含まれているので、その近郊に宿を取ることができました。本当は皆既中心に近い街のホテルを取りたかったのですが、私が探し出した時期はもう手遅れ。それらしいホテルはほぼ満室でした。ときどき空室がありましたが、宿泊代が通常の10倍ぐらいになっていて、とても手が出ませんでした。私が予約したホテルは中心ではありませんが、それでも皆既の時間が4分ちょうどぐらいあるのでよしとしました。

今回の遠征の目的は「皆既日食の体験」なので、持っていくのは観望用の小口径望遠鏡だけです。日食撮影用の機材は一切ありません(そもそもそのノウハウもスキルもありません(笑))。下の写真は持っていく予定の機材です。

鏡筒 ビノテクノ製BINOTECHNO-60SED
正立ミラー ビノテクノ製EZM
アイピース ハイペリオンMARK4 8-24mmズーム
ソーラーフィルター 笠井トレーディング SF-100-3
架台 笠井トレーディング Kasai-AZ-Palm
三脚 Leofotoカーボン三脚 LS-324C

ちなみにアリガタ金具は軽量加工済みの特注品です。アリミゾ金具は試作中のビノテクノオリジナル品です。

生まれてはじめての皆既日食ツアー、晴れてほしいものです。

特価販売更新しました

新年あけましておめでとうございます。

さっそくですが、特価販売のコーナーを更新しました。概要は以下の通りです。

・ BLANCA-90SDTビノ(ビノテクノ)を大幅に値下げました。
・ BLANCA-80SED鏡筒(笠井トレーディング)を追加しました。

今年もみなさんに、観望を楽しんでいただける機材を提供していきたいと思っています。どうかよろしくお願いします。

Jscope-80Sインプレッション

接眼部はオプション仕様のKasai MRP(L)、架台はゼロマウント

少し前に笠井トレーディングから発売されたJscope-80Sです。ビノの素材検討用というより、HPの紹介文に惹かれて1本購入しました。笠井氏がかつて惚れ込んだ、国内メーカー製のアクロマート対物レンズを使った鏡筒です。

この鏡筒、バックフォーカスがそれほどなく、弊社製EZMのオリジナル状態では残念ながらピントが出ません。この時点で、ビノ素材としては対象外になります。

ちなみに光路長の短い弊社製正立デバイスEZPを使えばビノにできますが、アクロマートレンズと、プリズムを使ったEZPの組み合わせは、色収差が増大する可能性があるのでお勧めできません。

そういうわけでミラーを使った天頂デバイスで観望したいので、光路長を短くするためにアメリカンサイズ専用のスリーブに交換した仕様のEZM(非売品)を取り付けて観望してみました。

まずは月です。満月に近い月齢でしたが、34倍(16mmアイピース)で見ると、欠け際のカリカリ感がいいです。海の階調も悪くありません。ただしや月の輪郭にはそれなりの色が付きます。

この倍率のままプレアデスにも望遠鏡を向けてみました。この程度の倍率ならこの鏡筒は、アポクロマートかと思えるほど小気味の良い点像を見せてくれます。プレアデスはこの望遠鏡にもっとも適した対象と言えます。

さらにM42に向けると、同じように小さい星像のトラペジウムが楽しめます。

満月期の市街地での観望なので、ごく明るい対象しか見えませんが、月のない暗い空なら、少なくとも散開星団が楽しそうです。

最後に木星を109倍(5mmアイピース)で見てみました。この倍率でもガリレオ衛星は点像を保っています。惜しむらくはシーイングがひどく、木星本体の模様を楽しむことができませんでした。それでも煮立った鍋の底を見る想いで凝視すると、淡いピンクと濃いピンクの濃淡がちらちら垣間見えます。少なくともこの対物レンズの階調表現は期待できそうです。

今どきの廉価版8センチアクロマート鏡筒に比べると高めの価格ですが、期待通り、廉価版とは一線を画した性能が期待できる鏡筒です。近いうちに暗い空であらためて見てみたいです。

ユーザーレポート

ユーザー様から、スマホやゲームパッド活用のレポートをいただいたので転載させていただきます。

自分は双眼望遠鏡の架台として、AZEQ6,AZ-EQ5を経緯台モードで使用しており、これにWi-Fiアダプターを取り付けてアンドロイドタブレットでsynscanとSkySafariで操作しています。既にやって見える方もお見えかもしれませんが、ちょっとした工夫で大変便利になったのでリポートいたします。

観測中にWi-Fiが途切れ、アライメントをやり直すこともしばしばありました。自分の場合は下記の方法で、ほとんど途切れなくなりました。

① タブレットの設定で、操作が行われない場合の画面消灯までの時間を長めに設
定します。(自分の場合30分)

② synscanとSkySafariを分割表示で同時に立ち上げます。タブレットによって
はどちらかの画面を大きめにすることができるので、アライメントした後はSkySafariを大きめにしています。(古いアンドロイドでは分割表示機能が無いようです)

③ 画面を暗くするアプリを入れると、眼視では大変便利です。(ナイトスクリー
ン等)
次にタブレットを操作する上で不便なのが望遠鏡の向きの微調整です。⇒ をタッ
プするためにいちいち望遠鏡から視線を外し、ボタンの位置を確認してタップす
る必要があります。また、手元にタブレットを持っていないといけない、逆に固
定すると微調整がやりにくい等の問題がありました。付属コントローラーを使え
ば解決ですが、それだとSkySafariが使えません。
調べているうちに、synscanはゲームパットが使用できることがわかったのでやってみました。これが大変調子よいです。
ゲームパットはsynscanのマニュアルに記載のあるXboX 用を使用しました。(真ん中のボタンは光ってまぶしいのでシールを貼り、ボタンの縁から漏れる光をシャットアウトするため、一回り小さいワッシャを両面テープで貼ってあります)

以下手順です。
① タブレットとの接続はBluetooth接続もできますが、それだと架台とのWi-Fi が途切れやすいのでケーブルを使用しています。(接続には必ずOTG ケーブルを使用)

② ゲームパットを使用する場合は、分割表示されているsynscanの部分をどこでも良いのでタップしてから操作します。(これはSkySafariがゲームパットに非対応ため)

SkySafariで導入して望遠鏡が動いている間でもsynsca部分をタップすればOKです。

後は望遠鏡を見ながら操作。左のジョイステックで上下左右、右のジョイスティックの左右で速度変換です。この機能だけで十分ですが、他にもボタンで操作できる機能がありますので、synscaのマニュアル( 英語) 参照してください。
尚、写真のゲームパットホルダーは100円均一で購入した台所の水栓に引っか
けて使うスポンジホルダーです。それを同じく100円均一で購入した道具を束ねるコムバンドで固定しています。EQ5の脚には恐ろしいくらいぴったりです。(セリアで買いました)
また、タブレットの分割表示は、SkySafari+ASIcapでも当然使え、ビノ
ブログのレポートにある自作電子ファインダーでも1 台のタブレットで並べて見
えるので大変便利です。

I様。貴重なレポートありがとうございました。

きらめく夜景を見て思うコト

先日久しぶりに飛行機を利用しました。1時間ほどのフライトを経て夜の8時ごろ、まもなく大阪・伊丹空港へ着陸です。すると前の方の席から「きれい!」という声があがりました。ふと窓の外を見ると、それはそれは素晴らしい夜景が広がっていました。

機内からスマホで撮った大阪市内の夜景

星が好きな人の習い性として、暗闇に光るものは大好きです。当然ながらこの壮観に私も見入ってしまいました。

ところがしばらくするとあることに気づきました。空に向かって設置されている照明が多いのです。それは、光源が直接見えることで分かります。強く鋭い光です。しかも白色。おそらくLED光源です。ひとつやふたつではありません。見える範囲にまんべんなくあります。元より大都市の大阪市内で星空を期待するほうが無理ですが、それでもこれはひどいと思いました。

国内には星空特区と呼ばれる区域があって、そこでは上方に光の漏れる照明は禁止されているそうです。逆に言えば、そういう規則でもないとこの手の照明に規制はないのでしょうね。私が住んでいる小都市もそのような規制はなさそうなので、空から見たら、明るい点光源がたくさん見つかるに違いありません。

日本の人口は減少し始めているので、人の活動が減って、夜空が少しずつ暗くなっていくことを期待していたのですが、実際にはますます明るくなっています。きっと電気代の安いLED照明を雑に増やして、雑に点けっぱなしにしているに違いありません。困ったものです。

星まつり来訪お礼

予定通り、昨日は京都るり渓で行われた星まつり「星をもとめて」に出店してきました。たくさんの方にお立ち寄りいただきありがとうございました。主催者によると今年は昨年の約1.5倍の人出だったとか。実際会場の人口密度もそんな印象でした。

また日差しが強く9月とは思えないほどの暑さで、私たち出店者はテントの中で何とかその暑さをしのぎましたが、来られたみなさんには適度な日陰がほとんどなく、炎天下で本当にお気の毒でした。

とはいっても今年は珍しく夜に晴れ間があって、多くの方に双眼望遠鏡で星を見ていただくことができました。持参したBINOKIT+10.2cm3枚玉アポの星像の鋭さは、ご覧になった方たちに大好評でした。二重星団やスバルはもちろん大人気でしたが、私自身はM31が好印象でした。周辺の星がきりりとしまっているので、銀河の光芒が浮き立ってみました。

この星まつりに合わせて、テーブルクロスも用意しました。前垂れ部分にビノテクノのロゴや宣伝が入っているので、ブース全体の見栄えがよくなりました。

また余談ですが今年は道の駅からの臨時出店があり、カレーライスやコロッケ、牛乳やプリン、飲み物の販売がありました。今まで会場に飲食店の販売がなかったのでこれはとてもありがたいです。当日のスタッフさんの献身的なホスピタリティと併せて、参加者の利便性に配慮してくれる主催者の姿勢に頭が下がります。おかげで快適な時間を過ごすことができました。来年もぜひ出展させていただきたいと思っています。

9/17 星をもとめて出店します

京都るり渓で行われる星をもとめてに、ビノテクノは今年も出店します。

昨年は台風の影響で夕方に中止となり、不完全燃焼で終わってしまいました。今のところ近づいてくる台風はなさそうなので今年は大丈夫と思われます。

開店時間は、
9/17(日)12:00-22:00ごろ
の予定です。9/18(月)の出店はありません。

デモで展示するのは、以下の機材の予定です。

  • BINOKIT本体+10.2cm3枚玉アポ対物レンズユニット
  • 小型簡易クレードル CRDL-mini
  • 正立プリズム EZP
  • 電子ファインダー「アストロイド」
  • 自作電子ファインダー

また販売もあります。主なアイテムは以下のとおりです。

  • 笠井WideBino30GF(新品、数量限定)
  • アストロイド(新品、数量限定)
  • EZP(新品、数量限定)
  • 未使用パーツ、残部品、中古品等

いずれも特価販売です。価格は当日のお楽しみに。

みなさんのご来店を楽しみにしています。

昨年の出店風景

昇降式ピラー三脚販売します(1台限定)

売約済み

高級フリーストップ経緯台ノースマウントを製作しているメーカーの試作品です。訳あってビノテクノが入手しましたが、処分販売いたします。

設置半径は約450mm。地上から架台取付面までの高さは680mmから970mmです(上の写真は高さ680mmの状態)。

上の写真は高さ970mmの状態。この状態で大人一人分の体重をかけてもびくともしません。

ピラー下部の取っ手が昇降ハンドル、上部のハンドルがクランプになります。ご覧のとおり、ガンメタリックカラーの美しいアルマイトが全体に施されています。

架台取付部は3/8カメラネジです。ノースマウントならそのまま取付可能です。ビクセンやタカハシ製の架台も、別途特注アダプターを製作すれば取付可能です(ご希望があれば承ります)。

石突きはこんな感じです。

バッグも付属します。総重量は約15kgです。まあまあ重いです。

聞くところによると、メーカーはこれを試作したものの、あまりにも手間がかかるので製品化を諦めたそうです。出来栄えが素晴らしいので個人所有したい気持ちも強かったのですが、実際に使う出番がなさそうなので、使っていただける方に譲ることにしました。昇降機能があるので、大型双眼鏡のピラーとして使うのもよいと思います。

なお販売価格は
税込240,000円(送料込み)
です。引き取りに来ていただける場合は5,000円引きです。

特価販売コーナー新設しました

ビノテクノHPの「製品」ページ末尾に「特価販売」コーナーを新設しました。

これまでこのブログに散発的に掲載していたアイテムもありますが、過去ログに埋もれてしまって見づらいので、一箇所にまとめました。

今後も追加アイテムがあればこのブログに掲載するとともに、特価販売コーナーにも掲載していきます。ご希望のアイテムがあれば気軽にお問い合わせください。

胎内星まつり ご訪問お礼

8/18-19と予定通り出店しました。たくさんの方にご訪問いただき、ありがとうございました。

出店風景

両日とも昼間は好天に恵まれ過ぎて、厳しい日差しでした。出店者はテントの日陰にいるのでまだましですが、会場を回られているお客様はホントしんどそうでした。

会場風景

そんな中でも多くの方が双眼望遠鏡に興味を持って立ち寄ってくださいました。実際に双眼望遠鏡を覗いた方は、その迫力ある見え方にみなさん驚かれていました。

しかも19日の夜は少し星が見え(胎内に4回参加してはじめて!)、今回デモ機として持ち込んだ102mm3枚玉SDアポ(BINOKIT)で、クリアかつ階調豊富な月面や、針を突いたようなアルビレオの色の対比をお客様に楽しんでいただきました(お店の前は人通りが多かったので、テントの裏側に機材を移動してお見せしました)。

ちなみに鏡筒を平行移動させる目幅調整機構は、こういうシチュエーションに最適です。頻繁な目幅変更に対応というだけでなく、双眼どころか単眼ですら生まれて初めという方にも、すんなりと受け入れてもらえます。ビノテクノの目幅調整は創業以来この方式ですが、その優位性をあらためて認識しました。

また星まつりのもうひとつの楽しみは、同じ出店業者さん同士の交流です。特に両隣は2日間顔を合わせているので、自然に仲良くなります。お客さんが少ないときにいろいろ情報交換させてもらいました。

その中のトピックを2つほど紹介させていただきます。

まず左隣はスワロフスキーのフィールドスコープや双眼鏡を展示されていたハクバ写真館様。こちらの方にレンズ清掃のことを訪ねたら、レンズペンという商品を教えてもらいました。実物をお持ちで、実際にアイピースの清掃を使わせていただいたところ、とても簡単にきれいになりました。帰宅後さっそくこのセットを注文しました。

もう一方のお隣は、LEOFOTOというブランドの三脚を扱っていらっしゃるワイドトレード様。こちらの方は中国の事情にも詳しく、中国ではいわゆる『撮り鉄』さんがほとんどいない(というかおそらく日本だけの流行である)ことを教えてもらいました。意外でした。

三重県からの参加なので大変なことも多いのですが、胎内星まつりは、行けば行ったで毎回得るものが多いイベントです。早くも来年が楽しみです。

胎内星まつり2023で会いましょう!

いよいよ8/18(金)から胎内星まつり2023が始まります。以前お伝えした通りビノテクノも出店します。

出店時間は、
8/18(金)15:30ごろから22:00ごろまで
8/19(土)9:30ごろから22:00ごろまで

の予定です(都合で時間は多少前後します)。8/20の出店はありません。

展示予定のデモ機は、
BINOKIT+10.2cm3枚玉SDアポ対物ユニット
CRDL-mini(小型鏡筒用簡易クレードル)
EZP(正立天頂プリズム)

などです。

双眼望遠鏡を実際に覗く機会は少ないと思います。ぜひビノテクノのブースにお立ち寄りいただき、双眼望遠鏡を体験してみてください。夜間晴れたら星もお見せします。

またデモ用で仕入れたアイピースやパーツ等の処分販売も行います。現品限りの早いもの勝ちです。

さらに各種製品の特価販売もあります。詳しくはビノテクノのブースでご確認ください。

それでは会場でお会いしましょう!

胎内星まつり2019の会場風景

6cm双眼望遠鏡(完成品)再販します!

BINO-60ED

一昨年の販売終了後、複数の方から再販の問い合わせをいただいたので、再度販売することにしました。

この完成品に使われている鏡筒はビノテクノのオリジナル鏡筒です。ベースは笠井トレーディング製BLANCA-60SEDですが、弊社製EZMでもピントが出るようにバックフォーカスを長く取った特注品です。

価格はアルミコート仕様で税別258,000円(税込283,800円)です(すみませんがEZMの値上がり分だけ以前より高くなっています)。

またこの鏡筒は単体でも販売します。特注鏡筒バンド、アリガタ金具付きです。弊社EZMおよび長焦点アイピースと組み合わせると、正立の大型ファインダーになります。

BINOTECHNO-60SED
架台はゼロマウント。前後バランスはだいたいこれぐらいの位置。

詳しくはこちらをご覧ください。

宮古島で星を見てきました

昨年の小笠原ツアーに引き続き、7/14-18の日程で宮古島へ行ってきました。以下はそのレポートです。

まずは宮古島の位置についてです。宮古島は沖縄本島と台湾のちょうど中間にあります。北緯約25°、東経125°と緯度経度とも本州より約10°離れています。そのためさそり座の位置は高く、日出没時間は本州より約40分遅いです。

Google Mapより

アクセスは飛行機が容易です。私は中部国際空港(セントレア)からの直行便で行きました。それ以外にも那覇経由も含めて飛行機がたくさん飛んでます。ハイシーズンの始まりだったこともあって、行きも帰りもほぼ満席でした。

宮古島空港

地図で見ると小さい島ですが、実際に島内をレンタカーで移動してみると、ずいぶん大きい島です。昨年行った父島の数倍のイメージです。特に空港西側の島中心部は背の高い建物がたくさんあり、離島の雰囲気が感じられません。家電ショップ、スーパー、コンビニが普通にあります。

一方中心部から離れて海を見てみると、本州からは想像もできないほど美しい景色が広がっています。

与那覇前浜ビーチ
来間(くりま)島からの景色、海の向こうは宮古島
ムイガー断崖
平安名埼(へんなさき)灯台付近から見た景色
平安名埼灯台
砂山ビーチ
伊良部(いらぶ)大橋
池間大橋

宮古島の周辺には伊良部島、池間島、来間島という小さい島が近くにあります。それらの島にはそれぞれ立派な橋で宮古島と結ばれています。聞くところによると、宮古島に駐屯する自衛隊が台湾有事に直面した際、これらの島も含めて活動できるようにとのことです。実際橋の中ほどが高くなっていて、大型船舶が通行できるようになっています。

さて昼間は空の色も素敵で、しかもすでに梅雨前線は本州まで北上して梅雨が開けているので、夜もずっと晴れるような期待が湧くのですが、実際には毎晩スコールに見舞われました。晴れるとすごい星空が現れますが、30分ももたず、何回でもスコールが来ます。メリハリがあるといえば聞こえがよいのですが「一晩中じっくり観望」ができません。機材は昨年同様BINOKIT+10.2cm3枚玉SDアポ対物でしたが、出しては引っ込め、出しては引っ込めの連続でした。昨年同時期の父島でも似たような状況だったので、この時期の南の離島の気象はこういうものかもしれません。

そんな合間に撮った星空の写真です。ふだん撮らない人なのでクオリティの低さはご容赦願いたいのですが、15秒の固定撮影でこれだけの天の川が写ります。

FUJIFILM X-S10 / 18mmF1.4開放, ISO12800, 15秒固定

スコールの合間を縫ってさそり座あたりに望遠鏡を向けると、明るい対象は言うに及ばず、8等級の小さい球状星団までしっかり見えます。ただ、これは父島でも感じたことですが、肉眼ほどの感動がありません。肉眼や星座双眼鏡(低倍双眼鏡)で見る星空はど迫力ですが、望遠鏡で覗くと星像がうるうるしていて、突き抜けるような爽快さがありません。本来針をついたような像を結ぶ3枚玉SDアポの性能が十分発揮できていません。おそらく湿度あるいは気流の影響と思われます。しかし四方を海に囲まれているのでこれはどうしようもありません。

それからこれは行ってみてわかったことですが、島の中心付近(空港近く)で雨が降っていても、島の端は晴れていることがあるようです(もちろん逆もあり)。それなりに島が広いことの表れと言えますが、それでもこの島のスコールが、いかに局地的であるかが分かります。

ちなみに私は平安名埼(へんなさき)灯台(宮古島の南東端)近くで観望しました。もちろん灯台間近では灯台の光をまともに食らってしまうので、その直撃がない物陰のような場所で観望しました。ある晩、空港近くのホテルを出るときは大雨だったのに、約30分後、平安名埼灯台に着いたら雨が降っていた気配もなく、快晴でびっくりしました。

宿泊先のホテルから撮影

そんなこんなで、一晩たりとも落ち着いて観望することはできませんでした(まったく観望できない晩もあり)。晴れても望遠鏡本来の性能が発揮できなかったこともあって、ちょっと消化不良の星見ツアーでした。

一方、昼間に体験したシュノーケリングは素晴らしいものがありました。宮古島にはシュノーケリング・スポットがいくつもあるそうなのですが、私が行ってきたのは八重干瀬(『やびじ』と読みます)という、宮古島から船で北へ30分ほどの沖合にある広大なサンゴ礁です。ここへ行くには、島内のショップが主催するツアーに参加する必要があります。私はマーレクルーズというツアーに参加しました。

八重干瀬に向けて、出発直後の風景
八重干瀬到着

シュノーケリングは昨年の父島以来1年ぶり。大丈夫かしらと恐る恐る海に入ってみたら、呼吸方法は意外と身体が覚えていました。泳ぎは得意ではないのですが、シュノーケリング・ジャケット(ライフジャケットのようなもの)を着ているので溺れる心配はありません。仰向けになると自然に顔が水面から出ます。

マーレクルーズ様スタッフのカメラによる撮影画像

ツアーのスタッフさんたちはもちろん泳ぎが得意なのでシュノーケリング・ジャケットを着けず、素潜りしてこういう写真を撮ってくれました。

八重干瀬はシュノーケリングで海の底の景色を眺めるのも楽しいのですが、船の上から見る海の色のグラディエーションも素晴らしいです。この世の楽園です。

後日談ですが、シュノーケリングの際、ふくらはぎだけ日焼け止めを塗るのを忘れました。結果、ふくらはぎだけ火傷レベルの日焼けになり、帰宅後皮膚科を受診して塗り薬を処方してもらいました(トホホ)。考えてみるとシュノーケリングはずっとうつ伏せ状態なので、ふくらはぎはその間ずっと日に当たっていました。うかつでした。後で効いた話ですが、宮古島は本州より紫外線が2~3倍強いそうです。

食べ物については、海ぶどうやもずくがおいしかったです。立ち寄った農園で食べたマンゴーも美味でした。ただしどれもそれほど安くありません。しっかり「観光客価格」が確立している印象です。

ソーキそば
ソーミンチャンプルー
グルクンの唐揚げ

以上、星見、海のアクティビティ、食、島内観光と欲張った旅でした。今回も充実した時間を過ごすことができましたが、年齢を考えるともうちょっとセーブした方がよかったかもしれません。

まだ帰ってきたばかりなのに、もう「次回はどこへ行こうか?」と考えている今日このごろです。