視野回転の不一致が発生する意外な原因

今まで問題なく使えていた双眼望遠鏡が急にひどい視野回転の不一致に見舞われたとき、原因として見落とされがちなのがEZMの取付状態です。

EZMの2インチバレル根元フランジ部を、接眼部の2インチスリーブ端面に密着させるのが正解ですが(上の写真のオレンジ色の四角の部分)、ここが密着していないと、接眼部に対してEZMが傾く可能性があります。その許容値は脳に依存するので人によりますが、経験的に、0.5度以上傾くとほとんどの人が視野回転の不一致に気づきます。これぐらい傾いているとEZM調整ネジを盛大に回すことになり、視野中央で無理やり一致させた星が視野の端で2つの星に見えます(=視野回転の不一致)。

0.5度というとピンとこないかもしれませんが、これを2インチ差込部の外周(直径50.8mm)付近の隙間に換算すると、隙間の最大と最小の差が0.44mmとなります。つまり1mmの半分以下です。けっこうシビアだと思いませんか?

また接眼部には、傾きやすいものと傾きにくいものがあります。2インチの内径部が口元しかなく、奥の内径が大きくなっているものは傾きやすいです。一方奥まで2インチの内径があるものは傾きにくいです。

仮に傾きやすい接眼部だとしても、望遠鏡を真下に向けてEZMを取り付けると、密着させやすいです。もちろんこのときアイピースは外しておきます。

それからEZMの取付に限りませんが、2インチ部を固定するための3方向からのネジは、3本のうち2本だけをきつく締めればOKです。3本ともきつく締めると、逆にガタが出やすくなります。かといって、3本目のネジをゆるゆるにしておくと知らないうちに落下してしまうので、他の2本よりは緩く締めるか、いっそ3本目(手が届きにくい方向)を取り外しておいてもいいです。ネジで確実な締結を求める工業製品は120度離れた2方向から締め上げる構造が一般的なので、これは乱暴な話ではありません。

BINO-60ED ハンドル取付

以前BINO-60EDを買ってくださったお客様から、ハンドル取付のご要望をいただいたので、特注対応で製作しました。うまい具合に底面へのアリガタ金具取り付けのご希望もいただいたので、写真の通り、底面のアリガタにハンドルを取り付けました(2つのアリガタ金具で多種の架台に対応)。

底面から見るとこうなってます。

実を言うと製品企画の段階でハンドルオプションも考え、実際に試作もしたのですが、そのときはどことなく野暮ったい感じがしたので取りやめました。今回は底面アリガタ金具を使って取り付けたので、野暮ったさはありません。

BLANCA-102EDPビノ

以前納品したBLANCA-102EDPビノがオーナー様の自宅天文台に設置されたので、訪問して写真を撮らせていただきました。

写真右側がBLANCA-102EDPビノで、左側がケンコー25cmニュートン(電子観望専用)です。架台はケンコー・トキナーAZ-EQ6GT-J、ピラーは特注品です。

BLANCA-102EDPは笠井トレーディングの10.2cmF11という眼視専用の鏡筒です。昨年単眼でこの鏡筒を覗いたオーナー様がこの星像に惚れ込んで、ビノ製作をご注文くださいました。ご自宅は街なかにあるので、ご覧になるのはもっぱら月、惑星、明るい星団になります。

鏡筒が長いため、弊社製クレードルCRDL-105に一部特注部品を追加して、鏡筒バンドの間隔を広げました。ピントハンドルが妙な位置にあるのは、この鏡筒の接眼部が、ハンドルの左右入れ替えができない構造となっているためです。

スライドルーフの外から撮った写真です。観測室の壁が立体的に見えるのは目の錯覚です。遊び心を掻き立ててくれる空間となっています。

オーナー様、プライベート観測所の完成おめでとうございます!