BORG双眼望遠鏡化キット(予告)

早ければ今年の12月ごろ、BORGの80Φ鏡筒対物レンズを2本ねじ込んだら双眼望遠鏡になるBORG双眼望遠鏡化キットの発売を計画しています。下の写真は、今年8月の胎内星まつりでデモ展示した試作品です。

例えばこのキットに、BORG77EDII対物レンズを取り付けるとこんな感じになります。

双眼望遠鏡の楽しさは理解しつつも高価であるため、購入に二の足を踏まれる方が多いことをよく承知しています。その解決策のひとつとして提案するのがこのキットです。鏡筒とクレードルを一体化することでコストダウンを図り、接眼部やEZMも付属して安価に提供します。すでにBORG鏡筒を1本お持ちの方は、対物レンズをもう1個と、このキットを買い足せば双眼望遠鏡のオーナーになれます。対物レンズを買い直してグレードアップさせることも可能です。

ちなみに上記写真の試作品は、胎内星まつりでご覧になられた方から購入希望をいただき、売却しました。その方から先日コメントをいただいたので紹介させていただきます。

本日、107FLも到着して、無事にファーストライトを迎えました。双眼視できるまでに時間がかかるかなと思っていましたが、X, Y 調節ネジを少し動かすだけであっという間に合って、システムの精度の高さに驚きました。第一印象の通り、ボーグ用の試作品クレードル、とてもしっかり感もあり安心して使えます。

ベランダで、月面と火星を120倍で見てみましたが、今まで気づかなかった月の暗い海のうねうねした形状まで立体感を感じられるように見えており、大満足でした。なぜか見ていて飽きない、長時間楽しめる月面でした。火星の極冠と模様もしっかりと見えていました。

クレードルに対物レンズをねじ込むタイプのこのボーグ用試作品は、クレードル自体がいわば鏡筒のようで、胎内星まつりで見た時から外見が気に入っています。目幅調節もスムーズで精度が高く、とても安定しています。

さらに後日写真とコメントをいただきました。遠くに見えているのは、中秋の名月と東京スカイツリーです。

製品版のキットは、この試作品よりさらに軽量化を図るため、もっと削り込んだ形状になります。販売価格も含めた詳細は、発表できる準備が整い次第、こちらで紹介させていただきます。

また、これは来年以降の話になりますが、このキットの取り付けに合わせたBORG以外の対物レンズ、別の言い方をすると、BORGと同じ取り付け規格の対物レンズの調達も検討しています。メーカーに近い複数の関係者によると、この製造はそれほど難しくないそうです。「要は鏡筒の前半分でしょ。」とのことでした。

星をもとめて ご来訪お礼

9/23京都府るり渓で開催された星まつり『星をもとめて』に出店しました。ご来訪いただいたみなさま、ありがとうございました。

今回デモ展示したBLANCA-125SEDビノは予想以上に好評でした。とりわけ日没後の月面観望は、目の肥えたマニア様たちにもご満足いただけました。明るい対象でも色収差の出ないこの鏡筒はかなり優秀です。

 

9/23星をもとめて

以前このブログでお伝えした通り、9/23(日)から開催される星まつり『星をもとめて』(@京都)にビノテクノも出店します。持参するデモ機は、これも以前このブログで紹介したBLANCA-125SEDビノです。双眼望遠鏡に興味のある方、どうぞ気軽にお越しください。今回も特売品があります。

双眼装置より双眼望遠鏡の方がワクワクするワケ

よくいただく質問に「双眼望遠鏡と双眼装置の違いは?」があります。

どちらも両目で見るので片目より認識力は上がりますが、その上で「どっちがどうなの?」というのが上記の質問の趣旨です。

以前ブログにも書いた双眼望遠鏡のメリット、デメリットは以下の通りです。

[メリット]低倍率が出しやすい
[デメリット]コストが高い、大口径が作りにくい

双眼装置はこの逆です。でもこれだけでは質問者はすっきりしません。

「仮に口径も同等、倍率も同じだとすると、見え方も同じなの?」がおそらく本当に聞きたいことです。

実をいうとこの「口径が同等」は曲者で、口径面積が同等ということなら10センチ双眼とそのルート2倍の14センチ単眼+双眼装置ということになりますが、光学性能も同等となると事実上不可能で、客観的な比較ができません。

それでも自分の経験に照らせば「双眼望遠鏡の方がワクワクする」と私は答えます。

自宅ドームの25センチマクストフニュートン(単眼)を使う時は双眼装置を使いますが、双眼望遠鏡で感じるワクワク感を一度も感じたことがありません。もちろん、これで見る月面はなかなかの迫力ですが、なぜかワクワク感がありません。ところが10センチ双眼望遠鏡で月面を見ると、見えている情報量が少ないにも関わらずワクワク感があります。なぜだろうと私自身ずっと不思議に思っていました。

ところが最近、「これと同じかな?」と思える理屈を見つけました。それは天体写真です。

デジタル時代の天体写真は、何枚もの画像を重ねてS/N比を上げます。その際同じ画像を重ねることはしません。それではS/N比が上がらないからです。必ず違う時間に撮った写真を重ねます。そうすることでノイズを取り除き、対象の天体を浮かび上がらせます。

双眼装置の場合、同じ画像をコピーして左右の目に見せているので、両目で見ている安定感を除けば、それほどS/N比は上がりません。

一方双眼望遠鏡は、独立した光学系を通ってきた画像を両目で見ているので、左右の微妙な違いを脳が合成してS/N比を向上させます。この無意識のうちに行われる脳の合成がワクワク感の正体ではないかと思っています。

科学的根拠はありませんが、今のところ自分の中で一番腹落ちしている説明です。

BLANCA-125SEDビノ on AZ-EQ6GT

以前このブログで紹介したBLANCA-125SEDビノの、架台AZ-EQ6GTへの載せ方を変えてみました。

前回の載せ方は普通の片持ちでしたが、オーバーハング量が大きく転倒が心配でした。今回は写真のようにビノ本体が架台の真上に来るようにしました。

 

AZ-EQ6GTに取り付けてある黒い角柱は、工業用のアルミフレーム(断面サイズ120mm×40mm)です。バランスウェイトとウェイト軸は、AZ-EQ6GTの付属品をそのまま流用しました。したがって今回新たに用意したのはこのアルミフレームと、アリガタ金具、アリミゾ金具、3枚のサブプレートだけです。

架台本体とビノの間に割と大きな隙間があるのは、ビノが天頂を向いた際、架台本体から出ているケーブルと接触しないようにするためです。

総重量はカタログスペックをはるかに超えていますが、最高速でも無理なく動きます。重心が水平軸からそれほど離れていないため、転倒の不安もなくなりました。

ご覧になってわかるように、この載せ方は他の鏡筒ビノ、他の片持ち経緯台にも使えそうです。