京都るり渓で行われる星をもとめてに、ビノテクノは今年も出店します。
開店時間は、
9/15(日)12:00-22:00ごろ
の予定です。9/16(月)の出店はありません。
デモで展示する機材や特価販売するアイテムは、また日が近づいたら案内させていただきます。
ビノテクノのブログ
残り1セットとなっていた10.2cm3枚玉SDアポ対物レンズユニットが完売しました。ご購入いただいたみなさまありがとうございました。
一昨年の父島、昨年の宮古島に引き続き、7/5-7/10の日程で西表島(いりおもてじま)と小浜島(こはまじま)へ行ってきました。以下はそのレポートです(長文注意)。
西表島ってどこ?
まずは場所の確認です。西表島や小浜島、石垣島は、上の地図の赤丸の位置にあります。沖縄本島よりも台湾に近いです。北緯25度で本州より約10度低く、東経124度で明石より11度ほど西です。このため太陽の南中高度はこの時期ほぼ天頂、太陽の南中時刻は午後1時近くになります。
アクセス
この地域で空港があるのは石垣島だけです。他の島へ行くにはまず飛行機で石垣島へ行き、そこからフェリーに乗ります。中部国際空港から石垣島への直行便は1日1便ですが、那覇経由も含めれば一日数便の飛行機があります。同様にフェリーも一日数便あります。
日程
今回のツアーは欲張って2つの島に行きました(西表島3泊&小浜島2泊)。そのため移動の多いツアーとなりました。ここまで来たら憧れの波照間島行きも考えましたが、さらに移動のロスが大きくなるので断念しました。
機材と梱包
鏡筒:BINOKIT用10.2cm3枚玉SD対物レンズユニット+BORG鏡筒 接眼部:EZM(アルミメッキ)+ハイペリオンズームアイピース 架台:Sky-Watcher AZ-GTi+ノースマウントCT-20用ハーフピラー 三脚:MORE BLUE製カーボン三脚 バッテリー:MAKITAリチウムイオンバッテリー18V6Ah+電源変換アダプター カメラ:富士フィルムX-T20+18-55mmズーム
今回の機材はこれです。商売柄双眼にしたいところでしたが、今回は島をまたぐ移動があるので宅配が使えず、すべて自分で運ばなければならないので単眼にしました。それでもけっこうな重量となりました。
運ぶにあたってカメラバッグも考えましたが、最終的には大きめのスーツケースにしました。上の写真のように段ボールで個包装し、隙間が空かないようにスーツケースに詰めました。この状態で航空会社に荷物を預けましたが特に機材の破損はありませんでした。もちろんこれは国内線だったからよかったのかもしれません。国際線はもう少し手荒いと聞いてますが、海外へ行くことはもうないので要らぬ心配です。
西表島について
前半3晩を宿泊した西表島は、ジャングルとマングローブに覆われた自然豊かな島です。最高標高が470mもあり、降雨量も多いようです。そのため離島にしては珍しく水が豊富です。宿や飲食店のほとんどは島の北部(上原港を中心としたエリア)にあります。
イリオモテヤマネコで有名な島でもあり、実際島内いたることろに「ヤマネコ注意」の看板がありますが、夜行性ということもあり、滞在中一度も見ることはありませんでした。
ハブもいるらしいのですが、島の住人ですら滅多に見ることはないそうです。しかも西表島のハブは弱毒性らしく、いまだかつて西表島でハブに噛まれて死んだ人はひとりもいないとのことでした。
西表島での観望
観望は「うなりざき公園展望台」という場所で行いました(下のマップの赤丸)。ここから南はすべてジャングルで街の光がなく、地平線近くまでびっしり星が見えました。
泊まったペンションから車で10分もかからない場所にあり見晴らしも抜群です(ほぼ360度パノラマ)。
この場所に毎晩通って星を見たのですが、一度もスコールに見舞われることもなく3晩とも快晴でした。こんなに晴れたのは一昨年から始めた離島ツアーではじめてのことです。ちなみにこの時期梅雨前線は本州に北上しているので、西表島はすでに梅雨明けしています。
架台AZ-GTiはそこそこ優秀で、ドンピシャとは言わずとも当たらずとも遠からずといった感じでサクサクと自動導入してくれました。
春から夏の主だった星雲星団はすべて見ましたが、圧巻の天体はケンタウルス座のオメガ星団(NGC5139)でした。この場所でも南中高度は15度ぐらいで、薄明が終わるのを待って見る頃にはもう少し高度が下がっていました。それでも十分な明るさでその勇姿を眺めることができました。
10cmは10cm
少しクールな話になります。これは父島や宮古島でも感じたことですが、10cmでの観望は、本州の暗い空での観望とそれほど変わりません。もちろん肉眼で見える天の川付近の星の数はこちらの方が圧倒的に多いのですが、不思議なことに望遠鏡で覗いてみるとそれほど迫力がありません。「これぐらいなら本州で見たことがある」というのが正直な感想です。
暗い天体も同様で、安定して見えるのは10等級ぐらいまで。11等級はほとんど見えません。頑張れば存在ぐらいはわかるかもしれませんが、間違っても20cmクラスの見え方にはなりません。これぐらいの暗さが10cmクラスの限界なのかなと思います。
星座双眼鏡大活躍
逆にこの空で大活躍したのが星座双眼鏡です。持参したのはメガネ使用者でも最大視野が確保される笠井トレーディングWideBino30GF。ただでさえ星数の多い天の川付近の星の数がさらに倍増。変な話ですが10cmより感動しました。暗い空でこそ真価を発揮する機材です。
星野写真
時間があったので、持ってきたミラーレス一眼をAZ-GTiに載せて、30秒のタイマー撮影で写真も撮りました。
ISO6400、開放から半分だけ絞りました。一応自動追尾しているのでガイド撮影です。おかげで割とクオリティの高い写真になりました。
西表島の宿泊
泊まった宿はペンション・イリオモテというペンションでした。島内の周回道路沿いにありますが、特に看板が出ていないので、うっかりすると入口を見落とします。
部屋の窓の外はすでにジャングルでした
夕方になると毎晩ペンションの中庭にたくさんのカメが現れました。愛嬌ある歩き方をしますが、天然記念物とのことで接触禁止でした。
由布島水牛ツアー
西表島の東部海岸から数百メートル離れた場所にある由布島(ゆぶじま)まで、水牛車に乗って渡るツアーに参加しました。
ときどき水牛が尻尾を振るので「あれは機嫌がいいのですか?」とガイドに訊ねたら、「いえ、逆です」とのことでした。
カヌー&トレッキング&キャニオニングツアー
西表島ならではのアクティビティーにも参加しました。利用したのは西表ポロロッカさんの「大はしゃぎコース」です。
まずはカヌーを漕いで川を遡上。川といってもほとんど流れがなく、カヌー初心者の私でも難なく漕げました。ジャングルの養分がたっぷり溶け込んでいるので川の水は濁っています。
20分ほど漕いだらカヌーは係留してここからジャングル内の滝までトレッキング。
ここからまたカヌー&トレッキングで別の地点に移動。そこから沢下り。途中数か所、岩の上から水に飛び込みました。ヘルメットとウォータージャケットを装着しているので怖くありません。
ツアーが終わって部屋に戻ると足が筋肉痛で悲鳴を上げていましたが、貴重な体験となりました。
子午線モニュメント
島内にはこんなモニュメントもありました。1から9までの数字が並ぶ経度地点のモニュメントです。それだけといえばそれだけの場所です(笑)
そのすぐ隣りにあったイタリアンのお店で一服。この時期の沖縄地域は、パイナップルをはじめあらゆるフルーツの旬だそうです。ここではマンゴー100%ジュースをいただきました。
小浜島へ移動
西表島観光を満喫したあと、4日目に小浜島へ移動しました。小浜島へ渡るには、西表島の大原港へ移動しなければなりません。宿があった上原港付近からレンタカーで小一時間かかりました。レンタカーは大原港の営業所で乗り捨てです。
ちなみに西表島でタクシーを見つけることは困難です。ゼロでは無いそうですが、イリオモテヤマネコ同様、滞在中一度も見ませんでした。
小浜島の宿泊
小浜島では奮発して、高級リゾートホテルはいむるぶしに宿泊しました。小浜島は朝の連ドラ「ちゅらさん」の主人公エリーの出身地として有名ですが、実際には小さい島で、観光資源もほとんどありません。
その代わりにホテルはいむるぶしは、広大な敷地の中にいろいろなタイプの宿泊施設、レストラン、カフェ、ショップ、プール、プライベートビーチを備え、ホテル内で自己完結しています。すぐとなりの星野リゾートもおそらく同じだと思います。
またホテル内はゴルフ用(?)カートで移動します。これがないと部屋からレストランまでの移動すら困難です。しかしこのカートが曲者で、運転しづらく、振動の激しい乗り物でした。とてもではありませんが、これで望遠鏡を運ぶことはできません。かといって敷地内に車の乗り入れができないので、観望するとしたら、部屋のすぐ外になります。
ところがあろうことか、ホテルの敷地内はどこも照明が「完備」され、暗い場所がありません。実にもったいない話です。
小浜島滞在中、天気はそれほど良くなかったのですが、それでも二晩とも夜中に少しだけ晴れました。そのとき照明の直撃がないところへ徒歩で移動して空を見たら、西表島と遜色ない雄大な天の川が見えました。地理的条件を考えたら当然です。
望遠鏡を出そうかと思っていたらすぐに曇ってしまって結局観望は諦めました。西表島で好天に恵まれたから良かったものの、小浜島で勝負だったら悩ましい状況でした。教訓です。小浜島で星を見たかったら、こういうところに泊まってはいけません。もっと安い宿に泊まって、夜間車で観望地に移動するのが賢い選択です。もっとも星空観望を除けば、ホテルはいむるぶしではリゾート気分が十二分に満喫できます。
幻の島上陸ツアー
自己完結しているホテルを抜け出して、小浜島の港からボートで15分ほどのところにある、満潮になると水没する幻の島に上陸するツアーに行ってきました。正式名称は『浜島』というそうですが、三日月状の砂地ですぐそばまでボートが近づけます。
この世の楽園のような景色を楽しんだあとは、さらにボートで移動して、水深が浅く、サンゴ礁のある場所で小1時間ほどシュノーケリングをしました。
シュノーケリングも今回で3回目になるのでだいぶ要領が分かってきました。戸惑うことはありません。シュノーケリングジャケットを装着しているので、疲れたら仰向けになるだけです。そうすると自動的に顔が水面から出て休憩できます。
回復したらまたうつ伏せ姿勢で足ヒレを動かしてサンゴ礁の観察です。指先ほどのサイズから手のひらサイズぐらいまで、大小さまざまな魚がサンゴ礁を縫うように泳いでいました。何度見ても癒やされる景色です。
静かな島、小浜島
「何もないですよ」と言われたものの、それでもレンタカーで島内を回りました。確かに特別なものはありませんでしたが、サトウキビ畑や牛の牧場があり、実にのどかで静かな風景でした。島の中央部を除けば、人がほとんど見当たりません。
本州なら観光客が殺到しそうな美しいビーチにも人がいません。小浜島ではまったく特別な景色ではなく、ごくありふれた景色なのでしょう。素敵です。
最後に
そんなこんなで今回もひと足早く夏休みを満喫してきました。今回は特に西表島で3晩快晴に恵まれたので大成功と言えるツアーでした。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
おわり
成澤広幸氏が天文ガイドで連載している「星空に会いに行く撮りに行く」の今月号(8月号)の話題はDSP2024でした。記事によるとDSPはますます盛況のようで何よりですが、その中で看過できない記述がありました。私が仲間と主催していた双望会がDSPの前身とあります。これはあたかも、DSPが双望会の後継イベントであるという誤解を招く表現です。形としては似ているかもしれませんが、DSPは双望会の後継イベントではありません。双望会とまったく関係のないイベントです。主催者もまったく別メンバーです。「双望会を参考にした」というのが正確な表現ではないでしょうか。
さらに
「眼視の魅力を広く伝えるために間口をぐっと広げ、初心者も参加OKのイベントとなりました」
の記述は何を指しているのかよく分かりません。少なくとも双望会では初心者の参加を制限したことは一度もありません。もちろん排除したこともありません。
双望会に関する記述はおそらく成澤氏が会場で聞かれた情報を下に書いたと推測しています。双望会がDSPの中でそのように語られていることを残念に思います。
しかし繰り返しになりますが双望会とDSPは無関係であり、比較すること自体意味がありません。双望会の話がなくてもこの記事は成立しているので、言わずもがなという思いです。