はじめに
電子観望を初めて知ったとき「冷却カメラは必要なし、意味なし」とネットで紹介されていました。「そうなの?」と思いつつも、冷却カメラと比べて安価な非冷却カメラで電子観望ができるのはありがたいとそのときは思いました。さっそく3万円ちょっとで非冷却カメラを買い求め、市街地にある自宅天文台で使ってみると、驚くほどよく映りました。10等級の系外銀河も楽勝です。
しかし一方で、電子観望をすればするほど、ある物足らなさが募ってきました。画質についてです。あのぼてっとした輝星がどうにも好きになれません。ノイズの多さも気になります。
「冷却カメラで電子観望するのはどうなのか?」
親しくさせてもらっている天体写真の達人にこの質問をぶつけたところ、「全然あり」との快答をいただき、冷却カメラ導入に踏み切りました。
冷却カメラによる電子観望の世界
冷却カメラによる電子観望は私にとって期待以上のものがありました。具体的には次にようなメリットが挙げられます。
- 輝星がぼてっとしていない
- ノイズが少ない
- 視野が広い
端的に言えば、見ていて実に気持ちがいいということです。「天体写真をやるわけでもないのにそんな投資はもったいない」と思われる向きもあるかもしれませんが、いいのです。そもそも趣味の世界に経済的合理性などありません(笑)。楽しいと思えることにお金をかけました。
ギャラリーの画像について
このギャラリーは、冷却カメラによる電子観望でどう見えたかのアーカイブです。
そういう趣旨なので、すべて画像処理がしてありません。いわゆる撮って出しの画像です(ただし画像サイズのみ変更)。ネット上で見られる画像処理済みの天体写真に比べると見劣りします。フラット補正が雑だったり、色が少し変だったり。あるいはトーンカーブを修正すればもっと淡い部分が浮き上がってくるのに。。。でもあえてそのままにしてあります。
こんな画像でも、対象に望遠鏡を向けて数分のうちに観測室内のパソコンモニターに浮かび上がる瞬間は、私にとって十分エキサイティングです。ねらった星雲星団の細かい構造に新しい発見があったり、周辺に別の天体が映り込んでいるのを見つけると、思わずニンマリしてしまいます。
すべての画像は1,500mmです。アンドロメダ大星雲のような大きい対象ははみ出してしまいますが、それでもあえて同じ焦点距離で統一しました。これにより、それぞれのサイズ感が分かります。
そういうわけでちょっと風変わりな天体ギャラリーですが、冷却カメラによる電子観望に興味ある方、あるいはすでにされている方の参考になれば幸いです。
電子観望データ
望遠鏡 | マクストフニュートン25cmF6(f=1,500mm) |
赤道儀 | CRUX320HD |
冷却カメラ | ZWO ASI 2600MC Pro(APS-Cサイズ) |
冷却温度 | 夏場 -7℃ 冬場 -15℃ |
ガイド鏡 | BLANCA-72SED + ZWO ASI 462MC |
観望ソフト | ASILive (ASI Studio) |
ガイドソフト | PHD2 |
スタック条件 | 60秒を5枚から10枚スタック |
キャリブレーション | 登録したバイアス、ダーク、フラット画像を 使ってASILiveで自動補正しながら電子観望 |
フィルター | 通常はCLSフィルター Hα領域はDual Band Passフィルター |
画像処理 | 画像処理なし |
撮影地 | 自宅天文台(三重県桑名市) |