FC-76DC対物ユニット双眼望遠鏡

タカハシFC-76DC対物ユニットを使った双眼望遠鏡です。この対物ユニットを使った完成品の鏡筒はFC-76DCUになりますが、EZMではピントが出ないので、対物ユニットのみを使って双眼望遠鏡に仕立てました。

鏡筒の構成は、対物レンズ側から以下のとおりです。
・ FC-76DC対物ユニット
・ 特注接続リング
・ BORG 80φL100mm鏡筒BK【7101】
・ BORG M77.6→M68.8AD【7801】
・ 笠井トレーディング BORG互換アダプター
・ 笠井トレーディング V-POWERII接眼部(お客様からご支給)
・ ビノテクノ EZM

クレードルはビノテクノ CRDL-105のベース部分に80mm鏡筒用バンドを特注製作して取り付けました(FC-76DC対物ユニットの外径も80mmです)。お客様のご要望でファインダー台座は上の写真の位置に取り付けました。

納品前に昼間の景色を見たところ、色収差が全く感じられない、すっきりくっきりした、タカハシらしい見え方でした。

新対物レンズ,ボケ部も色収差なし

星を見るときには無用の性能ですが、10.2cm新対物レンズはボケた部分の色収差も皆無であることがわかりました。

下の写真は上記新対物レンズを使って野鳥撮影されている方からご提供いただいた写真です。野鳥(オオルリ)の手前の水の光り方にご注目ください。ごく自然に白く光っています。

一方下の写真は、ほぼ同口径のフローライトレンズを使った野鳥(キビタキ)の写真です(同じ方からのご提供)。こちらの写真の手前の水は紫色の色収差を伴って光っています。

ピントが合っている部分はどちらも色収差はありませんが、手前の少しボケている部分(ピントが合っていない部分)に差が出ているのがわかります。

こういった部分まで野鳥写真の仕上がりに気を配られる方にはとりわけお勧めしたい対物レンズです。

ビクセンSD60SSビノ on 特注CRDL-mini

お客様よりご提供いただいた写真

クラウドファンディングで商品化されたビクセン鏡筒SD60SS(お客様よりご支給)の双眼望遠鏡です。正立デバイスはビノテクノ製EZPです。

お客様よりご提供いただいた写真

クレードルはビノテクノ製CRDL-miniを少しだけ特注アレンジしたものです。通常CRDL-miniは横抱きですが、写真の通り、小型の経緯台Giro Ercole Mini(お客様よりご支給)の両端に30mm角アルミフレームを固定する、いわゆる『逆ブランコ』形式で取り付けました。

バランスウェイトは1個あたり3.7kgのもの(お客様よりご支給)を両サイドに計2個取り付けました。SD60SS鏡筒はつくりがしっかりしているので意外と重いバランスウェイトが必要です。

今回鏡筒を1本だけお預かりしていたので昼間の景色を見てみましたが、外観同様、高級感の漂う像質でした。この鏡筒の双眼で月面を見たらさぞ素晴らしいだろうなと思いました。

ちなみに最近のビノ製作においては、製作実績のある鏡筒の場合、基本的に鏡筒はお預かりしません。預かっても、EZMのX-Y調整ネジ(CRDL-miniの場合は鏡筒のX-Y調整機構)で双眼視できることを確認するだけです。

そもそもX-Y調整ネジ以外の調整機構はないので、万が一双眼視できないときはパーツの加工不良が原因となりますが、信頼できる業者に加工を依頼しているので心配していません。実際今まで双眼視できなかったことは一度もありません。

むしろ鏡筒を預かると、新品の鏡筒を気づけないか心配ですし、送料も余分にかかります。こういった理由で鏡筒のお預かりは最小限にしています。

ただし今回は新規の鏡筒だったので、1本だけ預かって想定外の干渉やバランス、ピントが出るかどうかの確認をさせていただきました。

BORG55FLビノ

BORG55FL対物レンズと2インチダイアゴナル(どちらもお客様からご支給)を使ったシンプルな双眼望遠鏡です。ピント調整はアイピースの抜き差しで行うというサバイバルな仕様です。

パーツ構成は対物レンズ側から順に以下のとおりです。

  • BORG55FL対物レンズ
  • BORG40mm延長筒
  • 特注接続リング
  • 2インチスリーブ(ビノテクノEZMパーツ流用、一部追加工あり)
  • ORION 2インチダイアゴナル

2インチスリーブ下には特注のVブロック形状パーツを介してK-ASTEC製アルカスイスアリミゾ金具が取り付けてあります。写真では単純なアルカスイスレールに2本の鏡筒を載せていますが、実際にはお客様で用意される別形状のアルカスイスレール(写真なし)に搭載されます。

ちなみに左右平行の調整機構はありません。各パーツの部品精度を信じて組み立てたら、取り付けただけでぴったり像が一致しました。

正立光学系を使っていないので像は裏像になりますが、気軽に持ち運びできる双眼望遠鏡に仕上がりました。

EZMカラーバリエーション対応

先日納品したEZMのカラーバリエーション対応です。第1ケースと第2ケースをつなぐ中間リングは通常青色アルマイトですが、今回はFounder optics製FOT85のアルマイト色ダークグリーン(旧バージョンカラー)と合わせたいというご希望に対応しました。

お客様ご提供写真

色見本としてお客様から預かったFOT85のパーツもカラーアルマイト業者に渡しておいたところ、風合いも合わせるため、前処理としてショットブラストをかけてくれました。おかげで極めて統一感のある外観が得られました。

5/1よりEZM値上げします

たいへん申し訳ありませんが諸般の事情で、5/1以降のご注文より、下記の通りEZMとその関連商品の価格を値上げいたします。

商品4/30までの価格
(税別)
5/1以降の価格
(税別)
EZMペア(アルミコート)128,000円138,000円
EZM片側(アルミコート)64,000円69,000円
BINOKIT-BORG基本セット248,000円258,000円
BINO-BLANCA102基本セット521,000円531,000円
誘電体コート、銀メッキコートへの変更オプションは変更ありません


値上げ前の価格で購入ご希望の方は、4/30までにご注文いただくようお願いいたします。

EZM金属パーツ入荷しました

「4月下旬以降」とアナウンスしていたEZMの金属パーツが、思っていたより少し早く入荷しました。お待たせしていたお客様へはこれから順次組み立てて出荷していきます。またこれからご注文をいただく場合も通常通り2週間以内にお届けできますので、ご注文をお待ちしています。

EZMの金属パーツ(ミラーケース)

新対物レンズの写真性能-「野鳥編-2」

野鳥撮影用に新対物レンズを購入されたオーナー様から、カワセミの写真をいただいたの紹介させていただきます(前回記事はこちら)。

【共通データ】
カメラ:FUJIFILM X-T3
レンズ:ビノテクノ 新対物レンズ 10.2cm3枚玉SDアポ F7
補正レンズ:BORG 1.4xテレコンバーターDG

画像をクリックするとオリジナル画像(約8MB)が開きます
画像をクリックするとオリジナル画像(約8MB)が開きます
画像をクリックするとオリジナル画像(約6MB)が開きます

オリジナル画像を強拡大すると、その解像度の凄さが分かります。オーナー様、ご提供ありがとうございました。

双眼望遠鏡の調整サービス

弊社HPの「製品」ページにも案内してありますが、双眼望遠鏡の調整サービスを無償で行っています(送料のみお客様負担)。これは弊社製、他社製、自作品問わず、左右の光軸がずれて何ともならない状態になった双眼望遠鏡を、ちゃんと両目で気持ちよく見られるように調整するサービスです。

先日も一件、ご依頼主のオーナー様が中古で入手した双眼望遠鏡を調整させていただきました。

オーナー様から事前にいただいたお話によると、正立ミラーの2つのミラーボックスを接続するネジが緩んで(ミラーボックスの)ねじれ角度がずれてしまったそうです。その後試行錯誤でいろいろ調整を試みたものの左右の視野回転が大きくずれたままで、例えばオリオン大星雲を見るとそれがよく分かる状態とのことでした。

そこで双眼望遠鏡一式を送っていただき、こちらで調整することにしました。

ラベルもロゴ刻印もなかったので型式不明の鏡筒ですが、外観から察すると古いビクセン製の10センチオーバーだったので、それなりに古い双眼望遠鏡と思われます。正立ミラーは他社製、目幅調整機構付きクレードルは他社製か自作品かは不明です。

昼間の景色で調整前の状態を確認すると、なるほどひどい視野回転のずれでした。視野中央を正立ミラーのXY調整ノブで合わせると、右と左で視野回転の量が30度以上違います。これではまともに双眼視ができません。さっそく調整に取り掛かりました。

まずはじめに行ったのは正立ミラーのミラーボックスねじれ角度の調整です。

一般的な仕様の正立ミラーは「90度対空」で、このときのねじれ角度は理論上アークコサイン(1/3)≒70.53度になります。とはいってもこの角度に合わせて正確にねじるのはほぼ不可能です。そのため、別の方法を採ります。これは90度対空であることを利用した方法です。

具体的には下の写真のように、定盤の上にマグネット付きVブロックを置き、さらにVブロックに表裏の平行度が出ている仕上げプレートをマグネット吸着させて、正しく90度で直行する平面を設けます。

定盤,マグネット付きVブロック,仕上げプレートで構成する90度直交平面

これに正立ミラーを密着させます。

この写真の正立ミラーは弊社製です。実際の調整対象は他社製でした。

「90度対空」仕様なので、ねじれ角度が正しければ、対物側のバレル端面とアイピース側のスリーブ端面が、90度直交面に同時密着します。調整前の状態では同時密着しなかったので、オーナー様のお話どおり、このねじれ角度はずれていました。ミラーボックス同士を接続するセットネジを一旦緩め、同時密着するねじれ角度にして再度締め付ければ、ねじれ角度の調整は完了です。

次に行ったのは、正立ミラーのミラーアライメント調整です。これはレーザーポインターを使った自家製のアライメント調整治具を使います。

レーザーポインターを使った自家製のアライメント調整治具

これに正立ミラーをセットしてミラーのアライメントを調整します。

この写真の正立ミラーは弊社製です。実際の調整対象は他社製でした。

これに調整対象の正立ミラーをセットして確認したところ、XY調整ノブのない側はほとんどずれていませんでした(実際のところ、このアライメントはまずずれません)。XY調整ノブのある方はいろいろ触っていたと思われるので当然ずれていましたが、XY調整ノブで修正して直しました。また調整原点がわかるように、XY調整ノブにミニグラインダーで小さい彫込を付けておきました。

調整ノブにミニグラインダーで付けた小さい彫り込みが、ミラーボックス中央を向いていると調整原点

ここまでの調整作業で正立ミラーは完璧な状態になったので、最後にクレードルの鏡筒平行調整を行いました。

調整済みの正立ミラーを双眼望遠鏡に取り付けたとき、両目に映る映像のズレが鏡筒の平行のずれになります。このずれを正立ミラーのXY調整ノブで調整すると必ず視野回転のずれが発生するので、鏡筒の平行もきちんと出さなければいけません。

今回のクレードルは鏡筒付属の鏡筒バンドをバカ穴で固定しただけの構造だったので、左右のずれはこの固定を一旦緩めて平行調整します(とはいっても微調整機構がないのでそれなりに慎重にやらないと合いません)。厄介なのは上下のずれです。実際今回のクレードルでは、左右よりも上下の方が大きくずれていました。このため鏡筒バンド固定部の下に薄いワッシャを追加して上下のずれを解消しました。

ちなみにこの部分はまた将来ずれる可能性がありますが、正立ミラーがずれてなければ復元は容易です(そのための調整原点マークです)。

これで調整作業は完了です。文章で書くと手間がかかっているように見えますが、実際の作業は1時間もかかっていません。

以上のようにねじれ角度ミラーアライメント鏡筒平行それぞれをきちんと整えると、必ずちゃんと見えるようになります。あらためて昼間の景色で確認すると、左右の像が気持ちよく一致し、本来の双眼望遠鏡としての見え方に戻りました。この双眼望遠鏡はすでに返却済みですが、オーナー様からも問題なく見えるようになったとのご報告をいただきました。

このようにビノテクノに預けていただければ、現在うまく両目で見えない双眼望遠鏡も本来の状態にすることができます。お困りの方はどうぞ気軽にお問い合わせください。

コンプレッサーを利用したエアダスター

すでに同様の工夫をされている方もいらっしゃると思いますが、エアコンプレッサーを利用したエアダスターを紹介させていただきます。

少し前までレンズやミラーの清掃には、スプレー缶タイプのエアダスターを利用していました。しかし頻繁に使うとあっという間に空になってしまいます。またエア圧力もそれほど強くなく、その点も不満でした。

そこで自作というか、市販パーツを組み合わせて用意したのが今回紹介するエアダスターです。

エアコンプレッサーを利用したエアダスター

構成は以下のとおりです。

ポイントはミストセパレーターを使ったことです。

透明カップの付いた機器がミストセパレーター

これがないと、エアコンプレッサーが吸い込む大気中のホコリや水分が、そのままレンズやミラーに当たってしまいます。ミストセパレーターは空気中のホコリや水分を除去する機能があるので、ここを通過した圧縮エアはとてもクリーンです。

ちなみにこのエアコンプレッサーの最高圧力は0.9MPa(一般的な工場で使われる圧縮エア圧力の約2倍)ですがこれでは強すぎるので、エアダスターとして使うときは0.3MPaに減圧しています。この圧力でもスプレー缶のエアダスターよりはるかに強力です。

細かい話ですが、それぞれの構成機器はワンタッチカプラーで外れるようにしてあります。普段使わないときは外して保管しています。こうしておけば保管場所も取りませんし、ミストセパレーターを蹴飛ばして壊したりしません。

市販のエアダスターにご不満を抱いている方の参考になれば幸いです。

EZM納品は4月末以降になります

EZM金属パーツの在庫が払底しました。パーツは注文済みですが、入荷予定は4月末以降です。
ついては大変申し訳ありませんが、以下の商品について、これからのご注文分の納品は4月以降になります。どうかよろしくお願いします。

<4月以降の納品となる商品>

  • EZM片側/ペア
  • BINOKIT-BORG
  • 双眼望遠鏡完成品(特注品含む)

新対物レンズの写真性能-「野鳥編」

2022/02/21 末尾にジョウビタキのトリミング画像(シャープ加工等無し)を追加しました。

野鳥撮影のベテランの方にお願いして、10.2cm3枚玉SD対物レンズユニットで撮影してもらいました。
星も見ても色の出方がきれいなのですが、野鳥撮影においてもこのレンズの色の出方はきれいです。
この「700mm望遠レンズ」は20mぐらいの距離からでも狙えるので、撮影チャンスが格段に増えるそうです。
レンズの解像度が分かるよう、トリミング画像とフルサイズ画像の両方を掲載しておきます。カメラはAPS-Cサイズ,、対物レンズ以外のパーツはほぼすべてBORG製品とのことです。

※ 画像をクリックするとオリジナル画像が開きます。

カワセミ(トリミング)
カワセミ(フルサイズ)
ツグミ(トリミング)
ツグミ(フルサイズ)
ヤマガラ(トリミング)
ヤマガラ(フルサイズ)
モズ(トリミング)
モズ(フルサイズ)
ジョウビタキ(トリミング)
ジョウビタキ(フルサイズ)
ジョウビタキ(トリミング) 2022/02/21追加
ジョウビタキ(トリミング) 2022/02/21追加
ジョウビタキ(トリミング) 2022/02/21追加

「BINOKIT用8.5cm対物レンズユニット」販売終了

BINOKIT用8.5cm対物レンズユニットの在庫が無くなったので販売終了となりました。ご購入いただいたみなさま、ありがとうございました。

これでBINOKIT用の対物レンズユニットは、昨年末に発売した10.2cm3枚玉SDのみとなります。こちらの方も引き続きよろしくお願いします。

BORGユーザー様必見!新対物レンズの写真性能

10.2cm3枚玉SDアポ対物レンズユニットは眼視だけでなく、写真撮影においても素晴らしいパフォーマンスを発揮します。下の写真はその作例です。

10.2cm3枚玉SDアポ対物レンズユニット + BORG製レデューサー0.72xDGQ

詳細は特設ページをご覧ください。上記写真のピクセル等倍画像や、星像確認用のフルサイズピクセル等倍画像、さらにBORG製パーツ構成例などが掲載してあります。

90FL/71FLからのアップグレードを検討されているBORGユーザー様には特にお勧めの対物レンズです!

138,000円/個(税込 151,800円/個)

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

今年もみなさんの天文活動が一層楽しくなるよう、
いろいろな提案をさせていただきます。

どうか本年もよろしくお願いします。