よい鏡筒にはよいアイピースを

またお金がかかる話で恐縮ですが、アイピースはぜひよいものをお使いください。よい鏡筒の場合は特にです。眼視ベテランの方たちには釈迦に説法ですが、よいアイピースはよい鏡筒のポテンシャルを最大限に引き出します。

「鏡筒を買うのが精いっぱいで、アイピースにまでお金をかける余裕がない」という方もいらっしゃると思います。正直言えば私も昔そうでした。「アイピースなんてどれも同じ」と、廉価版のアイピースしか持たず、「自分の鏡筒はまあこんなもの」とわかった気でいました。ところがあるとき知人から借りた高級アイピースを着けてみてびっくりしました。星像が全然違います。このときはじめてこの鏡筒のポテンシャルを知り、速攻でそのアイピースを購入しました。

いくらぐらいからを高級アイピースというか、人によって違いますが、私の場合「1本3万円以上」を目安にしています。露骨な言い方をするなら、3万円以上と1万円以下では明らかに違います。

特に双眼の場合2本要るのでさらに悩ましいのですが、せめてよく使う焦点距離だけでも購入しておくことをお勧めします。

選定にあたって注意すべきは、見かけ視野の広さにあまりこだわらないことです。アイピースの性能を数値で表すのは難しいのですが、見かけ視野は珍しく数値で表せるスペックです。このため売る側はこの数値をアピールしがちですが、実際に一度に見渡せるのは、私の場合せいぜい70度ぐらいまでです。それ以上は目をぐるりと回さないと見渡せません。また、アイピースによっては、見かけ視野が広くても良像範囲が狭いものもあります。

もっとも良像範囲は、主鏡のFにも左右されます。一般的にFの短い鏡筒の方が良像範囲は狭くなる可能性があります。ただしアイピースによっては、Fの短い鏡筒を想定した設計がなされているモデルもあるので一概に言えません。

具体的な機種選定は、アイピースメーカーや信頼できる販売店に相談することをお勧めします。もちろん、実際に貸してくれる知人がいるなら、それがベストです。